「癒しの記憶」として買い続けているもの #私のベストコスメ
2020年は、これまでで一番体と向き合った一年だった。もともとフルリモートで働くフリーランスだったので目に見える影響は少なかったけれど、社会が大きく変化したことによるストレスは水面下で健康を蝕み、たびたび体調を崩した。2021年になってから2回救急車で運ばれ、治療をしながら少しずつ自分の体を気候の変化や社会のリズムに合わせられるようになってきた。
20代はずっと「やりたいこと」「やらねばならないこと」に追われ続け、それこそが充実した生活なのだと信じて疑うことなく30歳を迎えた。けれどそんな暮らしは、体調の悪化によって唐突に終わりを迎える。それからは「いかに休むか」を模索する日々だった。
幼少期から好奇心旺盛であれもやりたい、これもやりたいという気持ちが溢れがちな私にとって、まだ体力が残っているうちに「このへんでやめておこう、休憩しよう」と先回りして自分を制御するのは難しい。本当の休息を得るには、知識も訓練も必要だ。
そんな私が毎日自分のスイッチを切るために重視しているのがスキンケアの時間だ。これまで美容に無頓着で起きて10分で家を出たりもしていた私がスキンケアの時間を大切にしはじめたのは、そこに成分や効果効能以上の意味があると気づいたからだ。
と同時に、スキンケアブランドを転々としてきた私の「指名買いブランド」が決まった。実際、この半年間一切浮気することなく、2本、3本と買い足して今に至る。
そのきっかけは、ほんのささいなことだった。
***
ある日、ネイルポリッシュを買いにTHREE AOYAMAへ行った。THREEのネイルが好きでよく百貨店に入っている店舗で買い物はしていたけれど、表参道のお店で買い物をするのは初めてだった。お店自体には何度も訪れたことはあったが、静謐な空気に気圧されてぐるっと一周だけしてそそくさと帰っていた。
その日は遅めのランチでも食べようと店舗に併設するカフェへ向かったところ、冬色のネイルカラーが欲しかったのを思い出し、初めて「買いものするつもり」でお店に足を踏み入れた。
小売の視点から見ても「買うつもり」の姿勢でお客様に来てもらえるかどうかはとても重要なポイントだと思っている。買い物する気がまったくないと、店舗スタッフさんとのコミュニケーションが苦痛になるからだ。だからこそ来店前に「試したいもの」「聞きたいこと」などの目的を作り、コミュニュケーションの障壁を取り払わなければならない。
その日、私ははじめて「お客さま」としてTHREE AOYAMAを訪れた。
百貨店のコスメカウンターとは異なり、THREE AOYAMAはTHREEだけの空間だ。商品の陳列にもゆとりがあるし、まわりを気にせずゆっくり相談することができる。私はお目当てのネイルカラーを早々に決め、店頭で見つけたバスエッセンスに惹かれ、気づけば美容部員さんとすっかり話し混んでいた。当時すでに疲れがではじめていた頃だったので、自分をメンテナンスするためのご褒美として奮発して一緒に購入した。(とてもよかったので#買ってよかったもの の記事でも紹介した)
アプリに残っていたその日の買い物記録がこちら。

買い物に満足して会計を待っていると、「お肌にあったスキンケアのサンプルをお渡しするために軽いカウンセリングをしてもよいでしょうか」と提案された。どのブランドでも買い物をしたらサンプルがもらえるものだが、あらかじめ決められたアイテムではなく選択の幅があることに驚いた。
結果的に、スキンケアの領域を超えてライフスタイルの話まで含めて、しっかり相談にのってもらうかたちになった。人と会わない、直接話す機会が少ない状況になって半年が経っていた頃だった。人と会って話すだけで、こんなにも人は癒されるものなのかと発見した瞬間でもあった。
そしてそのときおすすめしてもらった化粧水と乳液が、今の私の定番となっている。初回の買い物から一ヶ月も経たずに再来店することになった。この化粧水は、半年間で3回空になった。
私は美容に明るいわけではないので、THREEのスキンケアラインが他と比べて何にどれだけ効果があるのかはよくわかっていない。それでもデイリーユースにはやや高めの化粧水をリピート購入しているのは、私にとってスキンケアは「美白」や「保湿」のようなわかりやすい効果効能よりも「癒し」が重要なのだと気づいたからだ。
THREEのスキンケアラインにはすべてアロマ成分が含まれており、肌につけた瞬間にじんわりと癒しの空気が体全体を包んでいく。深呼吸をしながらゆっくりと肌に染み込ませていく時間が、私にとって「スイッチオフ」の時間になっている。
THREEがリラックスのトリガーになったのは、その商品の特性だけではなくTHREE AOYAMAで過ごす時間の影響も大きいような気がする。空間も接客もゆったりとした余白があり、慌ただしい日々から一瞬離れられるオアシスのような場所。THREEのスキンケアを使うと、お店で過ごしたときの穏やかな気分が蘇る。
私は「癒しの記憶」としてこのスキンケアを使っているのだ、と思う。
もちろん、SNSや雑誌を読んでいるとそこに謳われている効果効能に惹かれてつい浮気しそうになることもある。でもそのたびに、私はこの「癒しの記憶」とともに時間の経過を受け入れながらゆっくりと年をとっていく方が幸せだろうな、と思い直す。ついあれもこれもがんばりたくなる性格だからこそ、美容だけは「がんばらない、癒しの時間」として大切にとっておきたい。
みんなが認めるベストコスメと同じくらい、「私だけのベストコスメ」との思い出もまた、美しさを育むはずだと信じて。
▼noteではそれぞれのコスメとの思い出やエピソードを綴るお題 #私のベストコスメ への投稿を募集中です!
いいなと思ったら応援しよう!
サポートからコメントをいただくのがいちばんの励みです。いつもありがとうございます!