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UPDATE 2.0 @東京ガーデンシアター 2026.07.09 ライブレポ

はじめに

昨年の7月17日、同じ東京ガーデンシアターで行われたのが初のWurtS × PEOPLE 1 × Chilli Beans.のスリーマンライブとなる「UPDATE」だ。そのライブの最後、1年後に同じ会場にてまた「UPDATE」が開催されることが発表された。途中アンプラグドライブの「UPDATE 1.5」が計画されるもののWurtS君の体調不良により中止となったが、今回の「UPDATE 2.0」では彼も復活し無事同じメンバーで2度目のスリーマンライブを開催することが叶った。

WurtS

1組目はWurtSだ。前回のオーガナイザーにしてトリを務めたWurtSから始まることで、1年前のイベントから地続きであることを感じる。そして前回の1組目はPEOPLE 1だったが、これもDeuの長期休養明けのライブだった。やはりしばらくライブをやっていなかったら1組目にしてあげるというのが仲間のよしみというやつなのだろうか、しかしこのWurtSのライブも活動を休止していたことを感じさせないような素晴らしいライブだった。

「RETURNS」という文字が映し出された映像から、否が応でも"WurtSが帰ってきた!"という気持ちにさせられる。そして紗幕に映された約1分前からカウントダウンする形をとった映像演出に合わせて自然と手拍子が巻き起こり、映像が終わったと同時にサポートDr. 城戸紘志の4カウントで始まったのは「魔法のスープ」だ。WurtS君のギターから始まったこのシンプルなギターロックを聴くと、ありきたりだけど"原点回帰"という言葉が浮かぶ。落ち着いた、でも熱を持った始まりだった。

終演後に貼られたポスター

"しとしと雨"という歌詞に合わせ青の照明に包まれた「ふたり計画」、フィーチャリング相手のなとりこそいないものの2人分のボーカルパートを担当してみせた「クラッシュ」を経て短いMCへ。(FCライブこそあったものの)久しぶりに大勢の観客のいるステージに帰ってきたということで改めてのごあいさつ。そしてサポートKey. 大樋祐大の跳ねるフレーズに導かれて始まったのは同年1月にリリースされたもののすぐに休養に入ってしまったためライブで演奏されていなかった「SOMEDAY」だ。CMソングということでより多くの人へ響くような親しみやすいメロディに温かい観客の拍手が乗っかる。

音源では星街すいせいを迎えている、EPのリードトラックにもなった「デジタルラブ」そして言わずと知れた代表曲「Talking Box (Dirty Pop Remix)」というダンスミュージック連発で観客を跳ねさせまくったあとは、前回同様Chilli Beans.のMotoを迎えて「タイムラグ!」だ。このイベントならではのコラボに大きな歓声が上がる。DJうさぎがノリノリになるのはこちらもコラボ曲の「リトルダンサー」で、もちろんPEOPLE 1のItoが一緒に歌う。こうやって生で聴くとItoの高音コーラスはとても美しいし、ちゃんとWurtSのノースリーブTシャツを着ているというコラボ相手へのリスペクトを欠かさないところも好きだ。

前回のアンコールと同様「分かってないよ」で会場の盛り上がりはクライマックスへ。サポートGt.佐藤亮とBa.黒川バンビがノリノリで跳ねまくり、1番と2番で上手と下手が入れ替わったり、ドラム台の前に集まったり、WurtS君を挟んで弾いたりと本当に楽しそうだ。満員のコールアンドレスポンスを経てアコギを手にしたWurtSは「最後に僕自身もアップデートして帰ろうと思います」と未発表の新曲「INSIDE」を演奏してステージを後にした。いつだって新しい、自分をアップデートし続けるWurtSが帰ってきた。そんな今日から始まる彼の第2章が楽しみになったライブだった。

PEOPLE 1

2組はPEOPLE 1だ。いつも通りのバンド名が刻まれたお立ち台、「POP MUSIC」と書かれた(「大衆音楽」のフレーズである)デコられたピアノやマスコットの犬の巨大なオブジェなど、ワンマンでなくてもその世界観を発揮することに余念がない。今回のSEはアルバム「星巡り、君に金星」の1曲目「PEOPLE SAVE THE MACHINE」であり、そこから始まった1曲目は先日のツアーの本編最後に演奏されてとてもエモーショナルだった「金字塔」だ。2曲目、ドラマ主題歌となった「メリバ」でDeuは

"2026年夏 僕らは相変わらず傷だらけで
来るべき最悪を想像しては居心地を悪くしている
それでも僕は君を愛している
メリーバッドエンド この世界の全て 僕の全て"

とやはり歌詞を変えて歌う。この部分は毎度西暦と季節が変えられて歌われるが、それはつまりちゃんとその時々のことを歌っている曲になっているということだろう。いつも傷だらけだけど、それはちゃんと挑戦してるという証だよな、とも思う。PEOPLE 1の音楽とライブはいつも新しいし、曲によって楽器を持ち替えながらその挑戦を支える2人のサポートメンバー、ベントラーカオルとHajime Taguchiはもはやもう4・5人目のピポワンのメンバーとも言っても過言ではない。

「新訳:スクール!!」はライブ用のリアレンジ版なだけあって観客を踊らせまくるわけだが、今回初めて上手側の前方でピポワンのライブを観たことで実感したのはドラムのTakeuchiのスキルだ。複雑な展開の多い曲たちを生ドラムとサンプラーを駆使しながら叩き分け、この曲にいたってはItoからマイクをもらって前で観客を煽ったりまでする。そして一瞬の間奏の隙にItoへマイクを戻し、すぐさまドラムセットに戻りソカビートを叩いている。PEOPLE 1はバンド界でもかなりイロモノだと思っていて、あまり従来のバンドらしい曲は他に比べたら少ないかもしれないけれども、それでも彼らがちゃんと邦ロックの文脈にいるのは(生ではなく打ち込みのドラムが増えてる現代においても)ちゃんと正規メンバーとしてドラマーを全うする彼の力が大きいように見える。

昨年も来ていた「音楽塾ヴォイス」からの花

僕の一番好きなものの歌を、とDeuが告げて始まったのは「夏は巡る」だ。これは彼が夏を好きというようにも捉えられるし、飼い犬の「ナツメグ」のことも指しているのだからおそらくダブルミーニングだ。奇しくもこのイベントは毎回夏。同じ夏は2度とないけれど、この3組のライブを観られるような夏なら巡ってほしいと思う。

"止まぬ雨のような 明けぬ夜のような うるさいファンファーレで街を襲え"

の歌い出しと共に赤い照明に包まれて始まったのは代表曲「DOGLAND」で、その熱狂のまま「銃の部品」へ。少し落ち着いた後にDeuが語ったのは"一見煌びやかに見えるようなアーティストの日常生活はそんなに綺麗なものなんかじゃない"という内容のことで、もちろんそんな生活を歌った新曲「生活」へと続く。最後は観客にタオルを回させる「エッジワース・カイパーベルト」で、ラストラビではなんとWurtSとうさぎDJもステージに登場する。頭上で回される色とりどりのタオルを見ながら

"好きなものが多いほどこの世は ずっと楽しい"

ってことを再認識したし、予備のスティックを奪って楽しそうにTakeuchiのシンバルを叩くWurtSや「WurtS君おかえり!」とハグをするItoの姿を見ると自分の好きなもの同士がこうやって共演していることへの幸せを噛み締めることができた。

Chilli Beans.

3組目はChilli Beans.であり、今回は彼女らがオーガナイザーゆえトリということになる。グッズやポスターに使われるキービジュアル、バンド呼び込みの映像に至るまであらゆるところに"チリビ節"が散りばめられており、そうやってイベントをデザインしていくのはとても労力のかかることだろうけど、ここまでの2組のライブの良さからもその充実度が窺える。SEなしで始まったチリビのライブの1曲目は「star flower」で、そんな充実度の高いイベントへこちらを招いてくれているように感じる。

先ほどのピポワンの「スクール!!」を受けてか、偶然の一致か初期曲「School」を畳みかけた後はヒットドラマとなった「じゃあ、あんたが作ってみろよ」の挿入歌「that's all I can do」だ。おそらく知名度の高いこの曲の"変わることに対する応援歌"のような歌詞に、ドラマの内容とリンクして勇気づけられた人も多いはずだ。と、ここまで「rose」や「lemonade」、「シェキララ」(これらは終盤に演奏されることも多いが)などは無しで意外にも落ち着いたスタート。結局この3曲は演奏されることがなかったが、そのくらいチリビがこのガーデンシアターでのUPDATEをホームととらえ、他の2組や我々観客を信用しているということだろう。

Maikaのうねるベースがグルーヴを生み出す「See C Love」、チリビの持つダーク&サイケデリックな部分が際立つ「cyber」を経て最近のライブ化け曲枠「pain」へ。その名の通りヒリつくような痛みを持って前進するビートが満員の観客のクラップを煽る。

"壊して埋めて生きてんの 笑うのは張り裂けそうだから"

という歌詞はまさにスクラップ&ビルド、産みの苦しみを歌っているようにも捉えられる。この曲の間奏ではサポートDr. 吉田雄介(tricot)のスキルが火を吹く。曲のテンポを損なわないギリギリのところをせめぎ合うアドリブから一転、落ちサビではシンプルなビートで景色が開けたようになり自然とクラップが巻き起こる。さらには「yesterday」ではサポートKey.半田彬倫が叙情的なピアノの伴奏を響かせる。ここ最近のチリビのライブのクオリティを一段上に押し上げているのは間違いなくこのサポートメンバー達の手腕によるものだろう。

UPDATE 2.0のキービジュアル

1年前は最後に演奏されていた「ひまわり」は曲の通り暑い太陽を思わせるオレンジの照明が、ステージを現実のそれに勝るとも劣らない真夏の景色へと塗り替えていく。「just try it」ではMotoの歌声が伸びやかに響く。そしていつものライブver.のイントロで始まり、サビではワイピングが起こったのはカラフルなサウンドの「Tremolo」だ。この曲の2番のAメロは特にサポートメンバー2人のアレンジが光る場面で、そのテクニックに唸らされる。ラストは合いの手が楽しい文字通りの「HAPPY END」で幕を閉じた。

アンコールを求める拍手が鳴り響く中戻ってきたチリビの3人とサポートメンバーの2人。Motoがアコギを準備しながら、今回はChilii Beans.がオーガナイザーということで昨年のWurtS同様コラボ曲を作ったということを説明する。そのタイトルは「Feel like slowing down feat. WurtS, Deu, Ito, Takeuchi」であり、PEOPLE 1の3人とWurtSがステージ上に現れる。

Motoの弾き語りから始まった曲は温かみを感じさせながらも、ちゃんとLilyのギターソロが目立つところがあったり、Deuのハスキーボイスがめっぽう似合う譜割りがあったりと、ただ穏やかなだけじゃない、Maikaが作ってMotoが歌詞を考えLilyがギターアレンジを施すことで3人によってこの3組のためにアップデートされた楽曲であることがわかる。何より左からDeu、Lily、WurtS、Moto、Ito、Maika、Takeuchiと歌詞にある通り肩を並べて横並びで7人が歌う姿がとても様になっていた。

おわりに

コロナ禍に活動を開始した3組はコラボや対バンなどで共に切磋琢磨してきた仲である。そして今現在、コロナ禍も過ぎ去りロックフェスが飽和気味になっていたり、アイドルを呼ばないと集客ができなくなっていたりという逆風の中でもこの3組は大丈夫だろうなと思った。こうやって肩を組んで歩いてきた、支えてくれる仲間達のことを頼ることができるからだ。ライブ後、2027年7月7日のUPDATE 3.0という次の約束がモニターに映し出される。さながら年に一度だけ会える織姫と彦星が如く、この7月に我々は3年連続UPDATEというイベントと出逢う。今はただそのいつかのために息をし、生活を続ける。

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