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魔法少女エターナルリンクre:Link第26話 『金色の転校生』

朝だった。
柔らかな陽射しが、障子越しに部屋へ差し込んでいる。
山の上にある神社は、朝の空気が少し冷たい。
木々のざわめき。
遠くで鳴く鳥の声。
そして。
「……姉さん、朝」
静かな声が、眠りの底へ落ちてくる。
「……ん……」
ユノカ=シオンは、布団へ顔を埋めたまま小さく呻いた。
身体が重い。
昨夜の戦いの疲労が、まだ抜け切っていなかった。
六枚翼。
白い門。
黒翼。
そして——ミルカ。
夢だったような気もする。
でも。
首筋へ残る微かな熱だけが、それが現実だったと教えていた。
「……起きないと遅刻」
セナの声。
黒髪ショートの妹は、相変わらず容赦がない。
「あと五分……」
「昨日も言ってた」
「……う」
反論できない。
セナは小さくため息を吐くと、カーテンを開けた。
朝日が、一気に差し込む。
「まぶし……」
「起きて」
「冷たい……」
「朝ご飯ある」
その一言で、ユノカの身体がぴくりと反応した。
「……何」
「味噌汁と焼き鮭」
「起きる」
即答だった。
セナが少しだけ呆れた顔をする。
「単純」
「お腹空いてるから仕方ない」
布団から起き上がりながら、ユノカは小さく欠伸をした。
だが。
立ち上がった瞬間。
視界が、少しだけ揺れる。
「……っ」
「姉さん?」
セナの表情が変わる。
ユノカは慌てて笑った。
「だ、大丈夫」
本当は少し違う。
身体の奥に、まだ“夜”が残っている。
魔力が濃い。
血が熱い。
まるで。
ミルカが、まだ近くにいるみたいに。
その時。
頭の奥で、くすっと笑う声がした。
(いるよ)
「……っ!?」
ユノカの肩が跳ねる。
セナが怪訝そうな顔をした。
「……姉さん?」
「い、いやなんでもない!!」
慌てて誤魔化す。
だが。
頭の奥では、ミルカが面白そうに笑っていた。
(反応おもしろ)
『急に話しかけないでよ!?』
(ごめんごめん)
全然悪びれていない。
でも。
その声を聞いていると、不思議と安心する自分もいた。

学校へ向かう道。
春風が桜を揺らしていた。
今日は少しだけ空気がざわついている。
理由は簡単だった。
「転校生来るらしいよ」
エリナが、朝から妙にテンション高く話している。
金髪ショートが朝日に反射して眩しい。
「しかも海外からって噂!」
「また情報早いね」
ユノカが苦笑する。
すると。
エリナは胸を張った。
「情報戦は基本です!」
「何と戦ってるの」
「世の中!」
「壮大……」
そのやり取りに、サクラが小さく笑った。
ピンク色の髪が春風に揺れる。
その笑顔を見た瞬間。
ユノカの胸が、少しだけ熱くなる。
最近、サクラを見るたびに妙に落ち着かない。
夢の影響。
それだけじゃない気がする。
その時だった。
――チリン。
胸元の鈴が鳴る。
ユノカの表情が、一瞬だけ変わった。
(……来る)
ミルカの声。
静かだった。
でも。
その声音には、わずかな警戒が混ざっている。
『……何が?』
(転校生)
その瞬間。
ユノカの胸がざわついた。

ホームルーム。
教室は朝から騒がしかった。
皆、転校生の話でもちきりだ。
男子たちは「美人らしい」と盛り上がり、女子たちは「どこの国なんだろ」と話している。
そんな中。
ルナだけが静かに窓の外を見ていた。
蒼い瞳が、どこか鋭い。
ステラも珍しく笑っていない。
「……来ますね」
小さな呟き。
その瞬間。
教室の扉が開いた。
担任教師が入ってくる。
「はい静かにー」
ざわめきが収まる。
そして。
教師は、後ろへ視線を向けた。
「今日から転入してくる生徒を紹介する」
次の瞬間。
教室へ、一人の少女が入ってきた。
——空気が変わる。
誰もが息を呑んだ。
金髪。
腰まで届く長い髪。
透き通るような碧眼。
白い肌。
まるで、人形みたいに整った顔立ち。
だが。
その美しさには、どこか“冷たさ”があった。
感情が薄い。
なのに。
圧倒的に目を引く。
少女は静かに教壇の前へ立つ。
そして。
透き通る声で名乗った。
「……アリア=ルクスリア」
その名前を聞いた瞬間。
ユノカの胸元の鈴が、強く鳴った。
——チリンッ!!
同時に。
頭の奥で、ミルカの声が低く響く。
(……嘘)
『え?』
ミルカの声が、初めて明確に揺れていた。
(なんで、“あれ”がここにいるの)
次の瞬間。
アリアの碧眼が、真っ直ぐユノカを見た。
その瞬間だった。
——ゾクリ。
背筋が凍る。
まるで。
“人間じゃない何か”に見られたみたいな感覚。
そして。
アリアは、ほんの僅かに微笑んだ。
その笑みは、美しかった。
けれど。
どうしようもなく、“白”だった。
🌙
つづく

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