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脳MRA読影で知っておきたい後方循環系の血管の破格とは?

脳MRAを読影していると、「血管が見えない」「細い」「左右差がある」と感じることがあります。
しかし、そのすべてが病的とは限りません。

特に後方循環系では、生まれつきの血管バリエーション(破格)が非常に多く、正常変異を理解しておくことが重要です。

今回は、脳MRAで頻繁に遭遇する後方循環系の破格について、実際の読影で役立つポイントを整理します。


後方循環系の基本解剖

後方循環系は主に以下の血管で構成されます。

  • VA:椎骨動脈

  • PICA:後下小脳動脈

  • AICA:前下小脳動脈

  • BA:脳底動脈

  • SCA:上小脳動脈

  • PCA:後大脳動脈

椎骨動脈(VA)が合流して脳底動脈(BA)となり、そこから小脳動脈群や後大脳動脈(PCA)が分岐します。


PCA(後大脳動脈)の破格

fetal PCAを知っておく

PCAのP1部は低形成〜欠損していることがあります。

この場合、後交通動脈(Pcom)を介して内頸動脈系からPCAが灌流される形となり、これを

fetal PCA

と呼びます。


読影ポイント

MRAでP1が細い、あるいは描出されない場合でも、

  • 急性閉塞

  • 重度狭窄

とは限りません。

対側との比較や、後交通動脈の発達を確認することが重要です。


SCA(上小脳動脈)

SCAは比較的安定した血管で、

  • 欠損

  • 完全無形成

は稀です。

そのため、MRAでSCAが見えない場合には、

  • 動脈硬化

  • 血流低下

  • 撮像条件

  • 閉塞

なども考慮する必要があります。


BA(脳底動脈)

脳底動脈は通常存在しますが、

  • 細い

  • 左右偏位

  • 軽度低形成

はしばしば認めます。


注意点

特に両側VAが細い場合、BAも低形成に見えることがあります。

MRAでは流速依存性の影響を受けるため、

「細い=狭窄」

と短絡的に判断しないことが重要です。


AICA・PICAは相補的

ここが後方循環読影で非常に重要です。

AICAとPICAは相補的関係を持っており、

  • 一方が発達

  • もう一方が低形成

  • 片側無形成

となることがあります。


実際のMRAでよくある所見

例えば、

  • PICAが非常に太い

  • AICAが見えない

というケースがあります。

これは異常ではなく、PICA優位型である可能性があります。

逆に、

  • AICAが発達

  • PICA低形成

というパターンもあります。


読影時の落とし穴

AICAやPICAは細い血管であり、

  • flow-related artifact

  • MRAの空間分解能

  • 血流方向

の影響で描出不良となることがあります。

そのため、

「見えない=閉塞」

とは限りません。

症状や梗塞分布と合わせて評価することが重要です。


VA(椎骨動脈)の左右差

椎骨動脈は左右差が非常に多い血管です。

特に、

  • 右VA低形成

  • 左優位

は日常的によく見られます。


VA低形成の判断

一般的には、

  • 細いが連続性がある

  • 頭蓋内まで描出される

  • smooth narrowing

であれば先天的低形成を疑います。

一方、

  • 急激な途絶

  • 壁不整

  • 局所狭窄

があれば病的変化も考慮します。


後方循環MRA読影のコツ

「左右差」はまず破格を考える

後方循環では正常変異が非常に多いため、

まずは

  • 生理的変異

  • 低形成

  • 発達差

を考える習慣が大切です。


単独所見で閉塞と決めない

特にAICA・PICAは、

  • 描出されない

  • 細い

だけでは閉塞診断できません。

DWIやFLAIR、症状との対比が重要です。


まとめ

後方循環系は、前方循環よりも解剖学的バリエーションが豊富です。

特に重要なのは、

  • fetal PCA

  • AICA/PICAの相補関係

  • VAの左右差

  • BA低形成

を正常変異として理解しておくことです。

MRAでは「見えない=異常」ではなく、

  • 血流

  • 解剖

  • 撮像特性

を総合的に判断することが、正確な読影につながります。

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