[掌編]エスパー

 大変だ。おれはエスパーになってしまったのだ。瞬間移動、テレポーテーションだ。おととい町でもらった試供品のエナジードリンクのせいだろう。配っていた女性が好みの感じでつい受け取ってしまったのだ。あれを飲んでからおかしい。排便しようとすると瞬間移動してしまうのだ。移動距離は回を重ねるごとに長くなっている。最初は便器に座って力んだとたん、ドアの外に出ていた。トイレ前の廊下に脱糞したおれは何が起きたのか理解できなかった。昨日の朝は居間のテーブルの上で粗相をすることになった。少しずつ距離が伸びているとすると、次は隣の部屋に移動してしまうかもしれない。隣にはときどき顔を会わせるだけの若い女性が住んでいる。そこへいきなり下半身丸出しで現れて糞をするという行為がどうしたら許されるだろうか。おれは便意をこらえながら頭を抱えた。予め外に出ておけばせめておれの部屋の中に移動できるだろうか。もう時間がない。おれはアパートの裏の茂みの中へ入って野糞をすることにした。尻をまくって力を緩めたとたん、おれは風呂場に移動した。湯舟に浸かっていた隣の女性と目が合うと同時に排便の快感が訪れた。

《了》


※この作品はTwitterで行われた「匿名超掌編コンテスト」に出品したものです。

ここから先は

0字

メンバーシップ ¥ 300 /月

◆概要 公私ともにいろいろな創作、制作活動をしている涼雨零音の活動情報やノウハウ共有の場です。家庭や…

スタンダードプラン

¥300 / 月
1ヶ月無料

いただいたサポートはお茶代にしたり、他の人のサポートに回したりします。