あの先生になりたくて#5研修
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あの出会いから15年
どんな道を歩いても、私の心の中にはいつもあの先生がいた。
夢は一度も揺らがなかった。
私は、あの先生のようになる――。
#5就職前研修
研修もいよいよ終盤に差しかかった3月のある日。
幼稚園の子どもたちが行く“お別れ遠足”に、私も参加させてもらうことになった。
子どもたちは園のバスで現地へ。
私は園長先生の車に同乗させていただき、一足先に出発した。
その車内でのこと。
「研修、来てみてどう?」
「すごく楽しいです!」
(本心だった。毎日が新鮮で、夢の中にいるような時間だったから。)
私がそう答えると、園長先生はほっとしたように笑って言った。
「良かった!実はね、ここ数年、人が入ってはすぐ辞めてしまって…全然定着しないの。
先生たちの仲も、あまりよくなくてね。」
少しだけ、車内の空気が変わった気がした。
少し間を置いて、続ける。
「なんていうか.....みんな、すごく“強い”のよ。」
(強い……?)
「就職試験のとき、あなたはなんとなく、辞めずに頑張ってくれるんじゃないかと思ったのよね。」
突然の言葉に、私は思わず背筋が伸びた。
「が、がんばります……」
(そうだったんだ。新人の私に、こんな正直な話をするなんて。
なんだか、とてもまっすぐな園長先生だな。)
すると園長先生は、ハンドルを握ったまま、こちらに大きな笑顔を向けて――
「だから、頑張んなさいよぉ〜!」
と、力強く言った。
その瞬間、不思議と胸がじんわりと温かくなった。
“期待”というより、“応援”してもらえている気がした。
パワフルで、正直で、飾らない。
そんな園長先生の人柄が、私は好きだと思った。
そして、この場所で頑張りたい、と思ったのだった。
この車内での会話は、
これから始まる日々の、静かな序章だったのかもしれない。
