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あの先生になりたくて#13 2学期

ーー15年後ーー
あれからどんな道を歩いても、私の心の中にはいつもあの先生がいた。
夢は一度も揺らがなかった。
私は、あの先生のようになる――。

#13  2学期

2学期が始まった。

最初は、「よし、頑張ろう!」と思っていた。
でも、その気持ちはすぐに押し流されていった。

待っていたのは、想像以上の仕事量。

運動会、作品展、敬老会、施設訪問会、クリスマス発表会、餅つき大会。
行事が途切れることはなく、準備に追われる毎日。

それだけじゃない。
なぜかいつも“夕方”に伝えられる、
「明日までに必要なもの」そこから準備に取り掛からなければならない。
画用紙を取りに行き型をとり、クラスの人数分の画用紙を切って準備する。
締め切りはいつもギリギリ。間に合っているのが不思議なくらいの感覚だった。

ロッカールームの掃除や子どもたちへのプレゼントの梱包。金メダルの後ろ面に園名のシールを貼りメダルを渡せるように準備する。400人分を新人3人で行った。子どもたちが帰った夕方から。

ほんの少しの時間さえ貴重なのに、毎日欠かせない先生たちへのお茶出し。
気づけば、時計はいつも遅い時間を指している。

土日も持ち帰りの仕事。
とにかく毎日、帰れない。

同期3人で、励まし合い、支え合いながら、毎日をなんとかギリギリで踏ん張っていた。

そして――
職員室の空気は、日に日に張り詰めていった。

誰かがミスをすると、空気が一瞬で凍る。
その中で行われる謝罪。

震える声で頭を下げる先生。
それを見ている時間が、私はどうしても苦手だった。
この謝罪に、どんな意味があるんだろうか。

園内の裏を飛び交うのは、誰かのミスを大きく取り上げた冷たい言葉ばかり。
終わりの見えない話し合い。
作品展前には、準備に日付が変わることもあった。

新人3人は、まともに会話する時間すらない。
ただ忙しさに振り回される日々だった。

そんな中、同期のひとりの様子がおかしくなっていった。

元気がない。
なんとなく、嫌な予感がしていた。

そして、その予感は当たる。

ある朝、幼稚園に一本の電話が入った。
体調不良で出勤できない、という連絡だった。

その言葉に対して周りの反応は心配ではなく、怒りだった.....。

「こんな忙しい時に!」......と。

翌日、その子は出勤してきた。
でも、表情は明らかに暗かった。

心配で声をかけると、「大丈夫」と返ってきた。
けれど、その笑顔は、どう見ても無理をしている。

休めば陰口を言われる。
出勤すれば嫌味を言われる。

まるで標的にされたかのように、冷たい言葉が向けられていた。
それでも私たちは、3人で励まし合った。
それしかできなかった。

2学期はギリギリの毎日を、ただやり過ごす。
そんな日々だった。

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