現役生ですら勘違いしている「文理融合」の本当の意味。いま情報系を目指すべき理由と元「中の人」の本音。
1. 「文理融合」って、結局どっちなの?
「文系」
「理系」
進路を考えるときに、一度はぶつかる壁。
「プログラミングに興味あるんだけど、数Ⅲや物理が苦手だから理系はムリかも…」
「文系にしちゃったけど、これからはITやAIの時代だし、そういう学びが必要かな…」
「将来は起業したいけど、理系分野だけでなく文系分野への理解も大切になるよね…」
そんな風に悩んでいる高校生のみなさんにとっての救世主。
それが、いま爆発的に増えている「文理融合(ぶんりゆうごう)」の学部です。
文字通り、文系と理系が「合体」した学部。
なのですが、そういわれても高校生のみなさんはイメージできますか?
文系クラスと理系クラスが同じ授業を受けるの?
文系クラスの生徒は理系クラスの数学や理科についていけないし、
理系クラスの生徒は文系クラスの国語や地歴公民についていけない。
まして、大学での学びとなると…。
「具体的に何をするのかイメージがつかない」
「文系と理系がどっちつかずで中途半端になりそう」
そういう不安を感じる人も多いはず。
実は、私は元国立大学のアドミッションコーディネータでした。
簡単に言えば、大学入試の「中の人」になります。
そんな私はこれまで多くの受験生やその保護者の方の相談にのってきました。
2. 現役大学生すら勘違い?「文理融合」の落とし穴
以前、私が所属していた大学。
まさに「文理融合」を掲げる学部がありました。
ある日のお昼休みの学食、
私はその学部で学ぶ現役の大学生グループに声をかけました。
「『文理融合』ってどういう意味?自分の言葉で説明してみて」
ふとこんな質問をしてみました。
私はいつもいろいろな学生に話しかけ、
気になっていることのヒントを得る習慣がありました。
いかにも活発な学生がこちらを向いて、
「文系でも理系でも受験できる学部…、ですかね?」
と、やや不安そうに答えてくれました。
活発で運動系サークルに入っていそうな学生からの、
「共テでは理科と地歴公民の配点とか、個別試験では数学と英語を選べたよね?」
という声に周囲も「そうそう!」とうなずいていました。
確かに間違いではありません。
私も高校生に一般選抜の説明をするときに、
共テでは理科と地歴公民の配点を選べること、
個別試験では数学と英語から選べることを説明しています。
受験生目線で一番気になるポイント。
受験のときに「どの科目が必要か」。
ある意味ではちゃんと私の話を聞いていてくれたのですね。
しかしながら、
元「中の人」の本音は違いました。
高校生に「文理融合」の中身や魅力。
ちゃんと伝えたかったことが伝わっていなかったのかもしれない。
私からの質問をきっかけに、
受験当時の思い出話に花を咲かせる学生たちを見ながら、
「文理融合」への強い疑問と反省が生まれたのです。
文理融合の本質は、「文系型でも理系型でも受験できる」という入口(入試時の科目選択)の話ではありません。
「入学したあとに、何を学ぶのか」という本質の話なのです。
つまり、「文理融合」って何ですか?
入試説明会や進路相談会の現場で、
高校生やその保護者、あるいは高校の先生方に質問されたとき、
私がいつもお伝えしていた「こたえ」をお話します。
3. 文理融合を一言でいうと…?
つまり、「文理融合」って何ですか?
「文(ことば)」を「理(すうじ)」にする力を学ぶ。
「理(すうじ)」を「文(ことば)」にする力を学ぶ。
これが、「文理融合」です。
と、私は説明の冒頭でイメージしてもらっていました。
すこし抽象的でしょうか。
それでは、高校生やその保護者のみなさんが
毎日100%触れているInstagramやTikTokを取り上げ、
「おすすめ欄(レコメンド機能)を例にしながら、
私の一言の意味を解き明かしていきましょう。
① 「文(ことば)」を「理(すうじ)」にする力とは?
ふと見ているInstagramやTikTok。
「あ、この動画おしゃれで好き」
「このコスメ、ちょっと気になる」
「このネタ、ウケるんだけど笑」
心の中でこんなことを思ったりしていませんか?
私も電車の中などでは表情に出さないように気をつけますが、
そういったSNSを見ていると心の中の喜怒哀楽は忙しいものです。
人間の「感情」、「好み」、「心の動き」。
これらはすべて「文(ことば)」です。
外から見ているだけでは見えない、
人間のあいまいで言葉にできない行動。
それをすべて「0.1秒」とか「1回」といった
「理(すうじ)」に変換してAIに計算させる。
そして、その計算させる仕組みを作っていく。
これが「文(ことば)」を「理(すうじ)」にする力です。
② 「理(すうじ)」を「文(ことば)」にする力とは?
AIがありとあらゆる大量の数字を計算すると、
今度は膨大な「データ(数字の山)」を弾き出されます。
「ユーザーAさんは、画面滞在時間が平均5.4秒、保存率23%…」
けれども、
この数字の山をまるっと見せられても、
意味がわかりませんよね。
そこでこの数字の山を分析します。
「つまりユーザーAさんはいま、韓国コスメのトレンドに強い興味をもっている(ことば)」
というような、意味のわかる形に通訳(翻訳)してあげるのです。
これが「理(すうじ)」を「文(ことば)」にする力なのです。
★ ここがポイント!
理系の「数字を扱う技術」を使って、文系の「人間の心理や社会の仕組み(言葉)」を動かす。この両方のキャッチボールができる人を育てるのが、情報学部やデータサイエンス学部なんです!
4. 文理融合の学部では、具体的にどんなことを学ぶの?
これまでの学部では、
以下のように学びが完全に分断されていました。
経済学部(文系)お店の売上を伸ばす戦略を、過去の経験や理論(ことば)から考える。
理工学部(理系)とにかく複雑な計算や、AIのプログラム(すうじ)をつくる。
これが文理融合の情報学部やデータサイエンス学部では、
文系と理系の両方をドッキングしたカリキュラムになります。
学ぶことの具体例を少し紹介してみましょう。
① 文系のデータ分析
コンビニの購買データ(すうじ)を分析して、「次にヒットするお弁当のアイデア」や「売上を1.5倍にする棚の並べ方」を提案(ことば)する。
② 社会の課題をITで解決する
「地域の過疎化でバスの乗客が減っている」という社会課題(ことば)に対して、乗客の移動データをAIで分析(すうじ)し、「一番無駄のないルートで走る、予約制の乗合タクシーのシステム」を設計する。
「実社会や人間の生活(ことば)に、最先端のIT技術(すうじ)をどう役立てるか」を考える。
とてもエキサイティングで、わくわくしてくる学問ですよね。
5. 文系だから諦める必要は一切ない!
実際に多くの高校生や保護者のみなさんに向けて、
入試説明会や進路相談会の現場で語りかけてきた私だから断言できます。
「文理融合」≠「中途半端な学部」
むしろこれからの社会で、
一番求められているを学べる。
「技術もわかるし、社会や人間のこともわかる人材」
私の言葉でいえば、
「すうじもことばもわかる人材」
それを育てる最先端の学部なのです。
だからこそ、
「数Ⅲ(理系の難しい数学)は不要」
「国語や英語、地歴公民の成績も重視」
というような文系の受験生にも優しい国公立大学が増えてきました。
ただ、文系から進学を目指すみなさんは、
入試対策としても入学後の履修としても、
数学を深めることがひとつのテーマです。
数学への不安や苦手意識のある方は、
ぜひこちらの記事も参考にしてみてください。
「情報系?理系でしょ、文系だからムリ…」
そう思い込んで自分の可能性を狭めていいんですか?
学べる大学が増えてきているのですから、
本当にもったいないです。
しっかりと対策さえしていれば、
むしろ大学生活の後半戦からは、
文系出身のよさを最大限に活かすこともできるのです。
入学後の不安がある方は、
こちらの記事で文系出身でもできる対策を紹介しています。
文系から情報学やデータサイエンスを学べる学部に、
総合型選抜や学校推薦型選抜などで入りたいと考えているあなたに、
オープンキャンパスでのとっておきの方策を紹介しています!
ぜひ参考にしてみてください!
