2025.3.20の空
今朝はとても晴れて気持ちのいい天気だった。長引いた冬もそろそろ終わるんじゃないかと予感させた。所用を済まし、昼過ぎくらいに空の絵を描き始める。天気は曇りに変わっていたが、ほんの少し青空が雲の隙間から見える。雲の表情が前回描いた空の時と比べ、激しいように感じた。太陽が雲に隠れ、雲の隙間が極端に明るい。
最初は青空が見える部分に絵の具を薄めに置いた(もともと渋めのブルーの下地を用意していた)。そこから一旦画面全体に雲のベースカラーとしてグレーをグラデーションを作りながら置いた。厚紙(※1)なので、発色が落ちることも想定しつつ、乾くのが早いことも見越して結構絵の具をシャバシャバにして画面に乗せていく(経験上、下地を用意していると吸収性が抑えられ多少描きやすくなる)。雲も青空も色が本当に絶妙で、赤っぽかったり黄色っぽかったり、単純ではないのだ。部分によっても視点によっても時間帯によっても常に印象が変わり続ける。最初に描いた青空がのぞく部分は、すぐに見えなくなってしまったけど、絵の中では消さなかった。絵として面白いなと思ったら消さないこともある。
ひとしきり描き終えて、終わろうと思ったが、暗い部分がやや弱いようにも感じ、紫っぽいグレーみたいな色で、ちょっと大胆に雲の影を描き起こした。さらにもうワントーン明るい色で光を描いた。すこし時間がたち、若干遠方の空が赤く染まりかかっているようにも見え、細い線を重ねて微妙に暖色を追加した。

※1 「厚紙に油彩」について、私の場合基本的に画材屋さんから頂いた水彩やデッサンの額装の際に使用するマットの廃材を「厚紙」として使用している。表面はアイボリーのマーメイド紙であることがほとんどだ。水彩紙なのですこし表面に凹凸がある。この技法というか、素材を使用し始めたきっかけは、東京でシダネルとマルタン展を見た際に、特にマルタンの作品群に「厚紙に油彩」が多く見られたことからだ。当時だと「厚紙」というのは現在の段ボールよりもっと厚みのある上質なボール紙をさしている(らしい)。耐久性についてはホルベインの技術情報Q&Aにて回答頂いたので以下に引用する。
質問略
【回答】
お答えしづらいご質問を賜りました。
桜井様のお試み例ですと、事実上の実用性を有すると考えます。
「厚紙への油彩制作」は、従来より結構見られる技法で、
現実には作品の形で保たれている物がほとんどです。
しかし絵具メーカー側から(厚紙は、油彩制作での支持体あるいは
下地として)お勧めする技法ではありません。
ご説明する迄もないでしょうが、ひとくちに厚紙と言っても
材質や厚さが一様ではありませんから、そこに問題がはらまれていて、
一括りに是非を明言できかねる次第です。
小社のWebサイトでご覧になった記事はこれですね。
https://technical-info.holbein.co.jp/a133
説明の後段にございますように、紙の劣化と言うよりも、
油彩画の油の硬化後の剛性に支持体(=紙)が追随できず、
機械的に破壊するものです。
厚紙作品の保持性は、逆にその厚紙自体を油が補強する形になっていて、
外力に耐えるからです。
発色汚損は、油のしみ込みに基づく明度低下と色相変化が要因で、早晩露呈します。
多くのボール紙は台紙に上質紙のような白紙が貼られたのみです。
そこへ油がしみれば、その上質紙がなかば透明化し、
ボール紙自体の褐色が露呈することで、前記の明度低下に褐色色相が加わります。
それが画面の彩度を損ねる次第です。
油のしみ込みですから、すぐに現象発露してその侭維持されます。
桜井様のご試験で考えますと、マット紙の水準ですから
劣化はまず問題にならないと考えます。
表面のマーメイド紙は油彩用紙のような処理品ではありませんから
油遮断性の点で遜色がありますが、
ご説明では実験品が既に2年を経て、現在看過できる水準にあるとのことですから、
発色面でも問題にはなっていないのでしょう(添付頂いたお作品に
違和感を抱きませんでした)。
事実上の実用性を有すると考えます。
上、ご説明申し上げます。
こう言ったところをご一考頂ければ幸いです。
敬具
