もう十分がんばってきた人に、さらに「がんばって」と言うのか
「がんばってくださいね」
この言葉は大抵善意で使われます。相手を応援したい、励ましたい、前向きな気持ちを伝えたいという思いから、自然に出てくる言葉でしょう。けれど、私は時々この「がんばって」に強い違和感を覚えることがあります。特に、長い間つらい環境に耐えてきた人に対して、その言葉が向けられたときです。
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\boxed{\scriptsize{
\begin{array}{l}
\textsf{Amazonのアソシエイトとして、ぶどうフローズンは} \\
\textsf{適格販売により収入を得ています。}
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例えば、毒親から逃れて一人暮らしを始めた人の話を聞いたときでした。その人は、何年ものあいだ親から精神的に追い詰められ、否定され、支配されるような環境で暮らしていました。外から見ると実家暮らしでも、本人の中では毎日が消耗戦だったのだと思います。家の中なのに気が休まらない。相手の機嫌を読み続ける。怒られないように振る舞う。自分の感情を押し込める。そういう生活は、ただそこに存在するだけで大量のエネルギーを消費します。
ようやくそこから逃れて一人で暮らせるようになりました。その話を聞いたある人がこう言ったのです。
「これからがんばってください」
私は、その言葉に少し引っかかりました。
いや、この人、今まで相当頑張ってきたのではないかと。むしろ、必要なのは、もっと頑張ることや頑張り続けることではなく、やっと休めることなのではないかと思ったのです。
もちろん、「がんばって」と言った人に悪意はありません。慣れない一人暮らしにも大変なことはありますし、応援のつもりだったのでしょう。日本語では半ば挨拶のように使われる言葉でもあります。
しかし、言葉というものは、受け取る側の状態によって意味が変わります。元気な人にとっての「がんばって」は、「応援してるよ」に聞こえるかも知れません。でも、既に限界まで耐えている人にとっては、「まだ足りない」「もっと耐えろ」と聞こえてしまうことがあります。
特に、長期間苦しんできた人は、自分でも気付かないうちに頑張り過ぎの状態になっていることがあります。だから、そういう人には、
「今まで本当に大変でしたね」
「まずはゆっくり休んでください」
「安心して暮らせるといいですね」
そんな言葉のほうが自然なのではないかと思うのです。
「がんばって」という言葉そのものが悪いといおうことはありません。本人が好きでやっていることに対して「がんばって」と言うのは、とても良いことだと思います。
例えば、発表会に向けて練習している人。自分の意思で本を書いている人。趣味の制作に夢中になっている人。資格試験に挑戦したいと決めた人。そういう、本人が望んで進んでいることに対しての「がんばって」は、背中を押す言葉になり、「応援している」「楽しみにしている」という温かさがあります。
しかし、本人が好きでやっているわけではなく、ただ必死に耐えているだけの状況ではどうでしょうか。逃げたくても逃げられない。休みたくても休めない。すでに疲れ切っている。そういう人に向かって「がんばって」と言うと、「もっと耐えろ」という意味に変わってしまうことがあるのです。
だから、「がんばって」と言いたくなったときは、少し立ち止まって考えてみるといいと思います。この人はいま、自分の意思で前向きに挑戦しているのだろうか。それとも、苦しみに耐えながらなんとか持ちこたえている状態なのだろうか。もし後者なら、必要なのは励ましではなく、「休んでいい」という許可なのかもしれません。
世の中には、もっと頑張れば何とかなるという空気が強くあります。しかし、本当に必要なのは、これ以上頑張らなくてもいいと言ってもらえることだったりします。特に、長く苦しみ続けてきた人にとっては。
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