【食の歴史】すき焼き 🇯🇵 農具を鍋にしたワイルドな始まり✨
日本の冬を代表するご馳走であるすき焼き。その名前の由来をたどると、現代の華やかな食卓からは想像もつかないほど意外で力強い光景が浮かび上がってきます。
江戸時代、日本では仏教の影響などもあり、表向きには牛肉を食べることは禁じられていました。しかし、厳しい農作業に従事する人々にとって、スタミナがつく肉料理は密かな楽しみでもありました。彼らは家族に見つからないよう屋外で、手近にあった農具の「鋤(すき)」を鉄板代わりに使い、その上で肉を焼いて食べたのです。これが「鋤で焼く」から「すき焼き」と呼ばれるようになった始まりだと言い伝えられています。
その後、明治時代に入り文明開化の波が押し寄せると、明治天皇が牛肉を召し上がったことで、日本中で空前の「牛鍋(ぎゅうなべ)」ブームが巻き起こります。横浜を中心に広まったこの牛鍋は、現代の関東風すき焼きの原型となりました。一方、関西では古くからの「焼く」スタイルが守られ続け、現在の関東風(煮る)と関西風(焼く)という二つの文化が共存する形になったのです。
■ すき焼きの豆知識💡
すき焼きに欠かせない「しらたき」について、かつては「肉を硬くする」という説がありました。しらたきに含まれるカルシウムが肉のタンパク質に反応するという理由でしたが、近年の調査では、通常の調理で使う程度の量であれば、肉の硬さに大きな影響は与えないことが科学的に証明されています。
また、関西風では最初にお肉を焼いて砂糖と醤油で味付けするのに対し、関東風は「割り下」という調合したタレで煮込むのが特徴です。最後に卵にくぐらせる食べ方は、熱々の肉を冷ますためや、強い味付けをまろやかにするためなど、日本人の繊細な工夫から生まれた知恵と言えるでしょう。
