朝の一幕(20字小説)
置き去りのおにぎり、必死に生きている証。
(完)
今回の20字小説のネタになったのは、タイトルにもあります通り、我が家の朝の一幕です。
現場に出向くタイプの仕事をしている夫から要望される昼食は、お弁当ではなく、おにぎりです。
朝は時間がない(…という言い訳をしている)もので、炊き立てのホカホカごはんはありません。
事前に焚いておいたごはんを電子レンジで温め直して、ふりかけを混ぜ込んで、丸く握ったおにぎりです。
おにぎりと言えば、さんかくにしたくなるのですが、夫は仕事道具をパンパンに詰め込んだリュックに、巾着袋に入れたおにぎりを詰めます。
早くおにぎりケースを買ってあげたいところなのですが、「かさばるから、これがいい」と言われます。
なので、おそらくですが、夫が食べる頃には、形はいびつになっているものと想像します。
なので、あまり深いことは考えずに、サクッと握ります。
ちなみに、わたしの朝の役割は、おにぎりを握るところまで。
普段は、わたしが身支度をしている間に、夫が自分で焼きのりをつけて、アルミホイルに包み、自分の荷物に入れるのです。
しばらく風邪ひきさん(わたしの風邪症状が移り、更に悪化していてかわいそう)だった夫は、ルーティーンのおにぎり昼食をお休みしていました。
久しぶりにおにぎり昼食を再開することにした、とある日のこと。
前日の夜に夫の希望を確認していたわたしは、朝起きた後、これまでのルーティーン通り、おにぎりを作って、台所に置いておきました。
夫が、この後に使う焼きのりやアルミホイルの準備をしていた姿を確認していたので、「きっと、持って行っただろう」と思っていたのです。
出かける寸前も、忘れ物がないかどうか、口に出して確認をして、最寄り駅まで夫を送り届けました。
自宅に戻り、「さて、コーヒーでも飲もうかな」と思って、お湯を沸かそうとしたその時。
台所で、とあるものを見つけてしまいました。
そう。夫が持って行ったはずのおにぎりです。
しかも、おにぎり用にカットしている焼きのりも、アルミホイルも、準備したまま、置いてある。
台所に、おにぎりがポツン…と置き去りになった光景を見て、なんだか、その場だけ時間の過ぎるペースが違うように感じたのです。
夫に「お昼ご飯、忘れているよ~」とLINEして、昼食時間に買い出し行けないようなら、事前に買いに行くよう、伝えました。
うん。必死だったんだね。
夫の体調は、まだ全回復していたわけではありませんでしたし、一時的にルーティーンを変えていたので、忘れるのは仕方のないことだと思います。
これは、わたしのフォローが不足していた、ということです。はい、妻の怠慢です。
ただ、わたしが仕事の日だったら、置き去りになっていることにも気づかず、夜に帰宅して捨てることになっていたであろう、おにぎり。
気づいてもらえたおにぎりは、わたしの在宅中のお昼ごはんとなりましたとさ。
めでたしめでたし。(?)
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ということで、かなりお久しぶりの20字小説をお届けしました。
なんて、些細な日常なんでしょう。
最後までお読みくださり、本当にありがとうございます。
こちらでは、温かいコーヒー☕を準備して、あなたのご来訪をお待ちしております。
またお会いできたら、うれしいです。
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