見出し画像

4 使用人達の時間割り (5)

ポルカはティータイム用の軽食を作りながら、夕食の下ごしらえを始めだす。

ミズリは助手と二人でランドリーから取り出した洗濯物のアイロン掛けや、1階部分の各部屋の掃除に取り掛かる。

ネルは玄関周りの清掃を中心に、所構わず手伝いに入る。

ロダンは屋敷を出て、庭師―バンサの元へ行き、今決めたことを伝える。

バンサは愛妻シェリーの作る弁当を持参して来ていて、庭の端にある作業部屋兼休憩室にいる。
以前は使用人ホールまで来て、愛妻弁当を冷やかされながら食べていたが、最近はホールまで足を運ぶ事がなかなか億劫なようで、めっきり姿を現さなくなっている。

午後のティータイムは、庭のサンルームで過ごす事が多くなってきているセル氏。
バンサの事を想うと、庭に咲く花を愛でながら過ごすこのひと時は、会話などなくても、バンサと共に過ごしている事と同じ意味を持つように感じられる。
ティータイムを終えると、セル氏は様々な過ごし方をする為、使用人達もそれに伴い多少の動きの変化を求められる事となるが、そんな事はここの使用人達にしてみれば、大した問題でもなかった。

ポルカは夕飯の仕込みや調理を本格的に開始し、合間に来る食材の調達のチェックや発注をこなす。

ミズリはセル氏がティータイムを楽しんでいる間に、助手と2人で2階のセル氏の寝室と仕事部屋、そして書庫全ての部屋の拭き掃除をしてから掃除機をかける。この掃除機は業務用、パワーも充分だが重さも半端ではない。いつも地下に置いてあるから、この上げ下げはロダンかネルが何も言わなくてもしてくれる。
掃除機をかけ終えたら、アイロン掛けして一日経った衣類をクローゼットに入れ、ベッドメイキングまで素っ気なくこなす。

バンサは朝早くに出勤している為、午後4時半が就業時間となっている。
よってティータイムが始まるのを合図に、庭の手入れの最終チェックが始まる。
2時間程をかけて気になるところを回り、草花や畑の野菜たちとの会話の時間となる。

ネルはこの頃もう一度車の中を念入りに清掃し始める。そして状態によっては車の整備士とメンテナンスのスケジュール調整をとったりする時間になることもある。

ロダンはティータイムの間は、セル氏の陰で待機し、必要な時だけお茶を足したり、ケーキを取り分けたりしている。
そしてセル氏がティータイムを終え、サンルームを後にし、足音が聞こえなくなったことを確認すると、軽い清掃をしながら食器類を持ってポルカの元へと足早に歩を進める。
厨房のカウンターにそれを置いて、すぐさま夕食用のカトラリーや食器などのセレクトへと手を伸ばす。
家政婦室へ行き、ナプキンなどのリネン類をカゴに忍ばせ、ワインセーラーのある貯蔵庫へと向かう。
そこで夕食時の酒を数秒で選ぶ。
カウンターへ戻り、先程から持っているカゴの中にこれまた先程選んでおいたカトラリーや食器を手際よく入れ、1階の食堂へと向かう。

ミズリがこの時点で掃除を終えていないという事は、未だ嘗て一度も無く、何の躊躇も無くテーブルのセッティングを始める事となる。


(4 使用人達の時間割り (6) へ続く)


いいなと思ったら応援しよう!