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4 使用人達の時間割り (4)

執事―ロダンが朝一番にすることは、庭師ーバンサの元へ行き、朝摘みの花を受け取り、地下のトイレの手前にある水場でサルーン、パーラー、ダイニングルーム、そして玄関と廊下用にも花を準備する。
セル氏の仕事部屋と寝室の花は、その日の状況によって活ける時と活けない場合がある。
洗面台の花は小さめのものを2つ用意するのが定番であるが、この花は一年草と決めている。
1階の各所に活ける花は多年草の切り花と決めている。
品種や量はバンサの見立てに任せきりで、これがまた多すぎず少なすぎずの見事な仕事である。

花の準備を終えて取り掛かるのが、地下から1階、屋根裏のそれぞれのトイレ掃除を下から順番にこなす。
勿論この時に花のセッティングも忘れずに。
因みに2階のトイレは家政婦―ミズリの担当だ。

ロダンは毎朝バンサから花の名前と共に手渡される為、最初こそ全く判らずチンプンカンプンだった花の世界も、今ではすっかり魅了され、香りだけでも随分と名前を言い当てられるまでになった。
ロダンにとってバンサは、花の師匠でもあるのだった。

朝一番にセッティングされた花は、セル氏がその部屋に入った時に仄かに香るくらいになっている。
その香りは強すぎても弱すぎても良くない。
好い加減が一番難しい。

トイレ掃除を終えると地下の執務室へと向かう。
届いたばかりの新聞に目を通す。
主人ーセル氏は5社からとっているのだが、あまり必要がない、又はあまり目にして頂きたくないような部分に付箋を貼り、見出しだけが見えるようにしておくのだ。
セル氏はその付箋の貼られた記事の見出しのみを注意深く見て、必要の有無を判断していけば良いので、時間と労力に無駄がないと言って、この方法をとても気に入っている。

新聞の置き場所は仕事部屋の机の上だ。
セル氏はそこを『書斎』と呼んでいる。
まだ就寝中であるセル氏に気付かれないように、そっと中階段を上がって置いてくる。

セル氏が動き始めると、ロダンは一旦地下の使用人ホールへと向かう。
バンサが居る事は殆ど無いが、賄いの準備を終えたポルカ、2階の水回りの掃除を終え地下のランドリーに洗濯物を入れ終えたミズリ、そして外出していなければ必ず他の手の足りていない箇所の仕事を手伝ってくれているネルと、打ち合わせをする為だ。

おおよそこの時点で、午前9時前後といったところだろうか。
ポルカが作ってくれた賄いを食しながら、一日の予定がほぼ決まってくる。

セル氏は昼食はあまり摂ることがないので、午後3時のティータイムを中心に前後の予定を決めていく。
夕食、食後そして就寝までを決めたら丁度、使用人達の朝食も終わりとなる。
使用人達の昼食はまちまちで、ポルカが用意したものを各々のタイミングで食する形をとっている。

朝食と打ち合わせを終えた使用人達は、其々に右手を挙げ、お互いの健闘を祈りながら持ち場へと向かっていく。


(4 使用人達の時間割り (5) へ続く)


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