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cute_violet8353
幻想小説|尊き君へ─第11話:相愛と君と─
そうして。
僕は、目覚めない君を抱えて──
ひたすらに、森の中を歩いていた。
でも、歩いている途中で──
僕は、少しだけ違和感を感じていた。
それは──
先ほどよりも、森の中が薄暗くなったように思えて、ならなかったから。
僕の……気のせい、だろうか。
ふいに、僕は“君”へと。
──視線を落としていた。
「
……はやく。
君の“声”が聞きたいよ。
」
腕の中で眠っている君を──
僕は、静かに眺めていた。
森の中にある静寂は──
まるで、僕たちを包み込むようにして。
ゆっくりと、
まとわりついてくるようだった。
「
……ごめんね。
僕は、君が大切なあまり──
君に委ねてばかりだったのかもしれないな。
僕がもっと、
しっかりしないといけないね……。
」
心から慕っている“君”を守りたい──
これは、僕の“想い”であり、
同時に、僕の“意思”でもある。
この世界は、きっと──
君の“心”から始まっている。
だけどね、僕にだって──
“心”は、宿っているんだ。
それは、もちろん。
言葉だけでは、説明できないくらいに。
そんな気持ちが──
君に、向いているんだ。
「
僕は、どうやら──
君がいないと、もうだめみたいだ。
……紡さん。
この責任は、取ってもらわないとね。
」
先ほどよりも──
少しだけ、足を早めた僕の後ろで、
何かが這うような音が、聞こえる。
──早々に、この森から出なければ。
幸いなことに。
僕には、体力が有り余っていた。
そして、
愛おしい“君”を胸元へ引き寄せると──
僕は、足早になって。
森の中を迷うことなく、また進んでいった。
