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幻想小説|尊き君へ─第11話:相愛と君と─



そうして。

僕は、目覚めない君を抱えて──

ひたすらに、森の中を歩いていた。





でも、歩いている途中で──
僕は、少しだけ違和感を感じていた。


それは──

先ほどよりも、森の中が薄暗くなったように思えて、ならなかったから。



僕の……気のせい、だろうか。



ふいに、僕は“君”へと。

──視線を落としていた。




  ……はやく。
  君の“声”が聞きたいよ。
              」




腕の中で眠っている君を──

僕は、静かに眺めていた。



森の中にある静寂は──

まるで、僕たちを包み込むようにして。

ゆっくりと、
まとわりついてくるようだった。




  ……ごめんね。

  僕は、君が大切なあまり──
  君に委ねてばかりだったのかもしれないな。

  僕がもっと、
  しっかりしないといけないね……。
                     」




心から慕っている“君”を守りたい──



これは、僕の“想い”であり、


同時に、僕の“意思”でもある。




この世界は、きっと──


君の“心”から始まっている。




だけどね、僕にだって──


“心”は、宿っているんだ。



それは、もちろん。
言葉だけでは、説明できないくらいに。






そんな気持ちが──


君に、向いているんだ。






  僕は、どうやら──
  君がいないと、もうだめみたいだ。

  ……紡さん。

  この責任は、取ってもらわないとね。
                    」





先ほどよりも──

少しだけ、足を早めた僕の後ろで、

何かが這うような音が、聞こえる。





──早々に、この森から出なければ。



幸いなことに。

僕には、体力が有り余っていた。


そして、



愛おしい“君”を胸元へ引き寄せると──


僕は、足早になって。
森の中を迷うことなく、また進んでいった。








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