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未来のお花屋さんを取り調べ

7月も後半戦。もう10日も経ってしまったが、七夕の話にお付き合いいただきたい。

長男がどんな願い事をするか、数日前から妻とともにワクワクしていた。以前、書いたこともあるが、昨年は『アフリカゾウになれますように』だった。

今はウルトラマンにゾッコンの息子。毎日見えない敵を戦っている彼の姿を見てきた我々にとって、今年の予想はとても簡単である。

『ウルトラマンになれますように』

これで間違いない。

そして、七夕当日。息子を幼稚園まで送って行った際、可愛く飾り付けされた笹の中から、我が子の短冊を懸命に探した。おっ、あったぞ。少しドキドキしながら、その文字を読んだ。

『おはなやさんになれますように』

そんなはずない。動揺してしまった私は、冷静を装いながら、添えられた名前を何度も確認した。しかし、間違いなく息子の名前だ。ウルトラマンでは無いことは100歩譲って、なぜお花屋さんなのだ。息子の口から「おはなやさん」の6文字は聞いたことがない。

その日の夕食は息子への事情聴取となった。お花屋さんになりたいと書いたことはすぐ認めた。証拠もばっちりなので当然である。次に、いつから計画していたのか尋ねた。少し前からとの供述。最後に、何故なりたいのかを、りんごジュースをそっと差し出し、優しく問いかけた。

「なれそうだから」

なんだ、その拍子抜けの答えは。全国のお花屋さんに謝ってほしい。並々ならぬ熱意を持って、短冊に書き示したのではないのか。

ここからは、誘導尋問である。 「昨年はアフリカゾウになりたいと書いていたが、もう気持ちはないのか?」との問いかけには、「僕は人だからなれない」との現実的な回答。「じゃあ、ウルトラマンを目指さないのか?」と聞くと、「ちょっと難しそうだから」と、哀愁を漂わせながら小さな声で答えた。

まだ諦めなくていい。もっと大きな夢を描いていい。大人になったら嫌でも現実を見てしまう。もっと子どもらしくいてほしい。 そう言いかけたのをグッと堪えた。息子なりの想いがあったのかもしれない。今年の願い事を蔑ろにしてはいけない。

気を取り直して、お花屋さんになったら、どんなお花を置くのか聞いてみた。

「んーとね、チューリップ‥‥」

それ以上の言葉は出てこなかった。

チューリップ専門店か。そこそこな夢を描いていたのかもしれない。

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