毒を唼む

端的なもの
例えば、本だったりとか

言葉はエッセンス
綴るはスパイス

時期は梅雨
6月頃、俺の元に届いた一通の手紙
毒になるのは
言葉だろうか?或いは綴った文章?

幕が上がる。曇硝子の心拍のまま行ってらっしゃい



3年前の6月頃
横浜にある本埠頭のターミナルで
殺された痕跡があまりない死体が見つかったらしい

「今日、見つかったみたい」
「・・・俺達には関係ないものだ」
「そうかなぁー?」

「いずれ見つかる。
それに本部はまだ手出しするなって
連絡してきたくらいだからな」

「綺麗なものだよね。外傷がないなんてさ」

今朝のニュースを見ながら
同居人はテーブルに置いた
マグカップから一口珈琲を含む

白昼夢の始まりを信じて疑いはしなかった
この業界に足を踏み入れた俺には関係がなかったから
きっとそれは、すぐそこにある
得体の知れないモノ

時は6月中旬
雨が降り頻る午前

早急に本部に呼び出されてのミィーティングは
俺達の管轄区域のターミナルの死体が
組荒らしの見せしめだと分かった

抗争を持ちかけた後に
幹部が一人犠牲となったのが
首領と''交渉''する余地が更々無いと
呆気ない決裂だった

「以上で話は終わるが、他に報告は?」

俺達、''幹部''は口を出さない
王がいつでも正しいから

「これで、定例会議を終わる。解散」

それから、3日後
俺は、家のデスクで仕事をしていた

すると、玄関のポストがカタンと音を立てた
チラシか或いは手紙だろうと
いつもならおもうが、今回は嫌な予感がして
ポストを開け、一枚の封筒を取り出した

手紙が入っているのは確かだが
異様な膨らみも感じる

恐る恐る、中を確認すると
丁寧に切り取られた薬指と
小さな便箋が一枚

便箋には、
「彼奴が、裏切ってくるとは思わなかった・・・」
そう記されていた

「んー、そこでなにしてるのぉー?」
「いや、いま封筒が届いてさ」
「手紙?」
「うん。まぁ、そうだな」

同居人は俺を後ろから抱きしめ
「余所見してたとか良い度胸じゃん」と
笑い交じりの囁きを落とした

そして
俺の、いや、俺達の王は居なくなった

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