📕「一度も愛してくれなかった母へ、一度も愛せなかった男たちへ」遠野なぎこ
毒親の程度を比べるものではないということは、十分理解している。
だけど、これまで読んできた毒親本・漫画の中で、この本が最も強烈だった。
遠野なぎこさんーー本名・アキミがどれほど母親を憎んでいるのか。それと同時に、どれほど母親からの愛を求めているのかが、痛烈に伝わってきた。
母親を「憎みたい」「決して許さない」という思いと、「でも愛されたい」という思いは、子どもの頃から大人になってまで、ずっと変わらないんだなと思った。
(なぎこさん自身も著書の中で「母親が死んでも、その存在に永遠に縛られ続けるだろう」と語っている。また、母親の死後も、YouTubeにて「今でもその存在に縛られ続けている」と語っていた)
毒親は、子どもの『一生』を壊すのだろう。
毒親たちは、子どもが愛を求めても何も与えてくれないどころか、むしろ暴言や、時には暴力で返す。その結果、子どもはトラウマやPTSDを患うことになり、人間関係においてもその後悩まされるようになる。
なぎこさんの場合は、母親から「容姿が醜い」と言われ続けたことが、その後の美醜コンプレックスや摂食障害に繋がったと語っていた(確かインタビューで「鏡が怖い」と語っていた記憶がある)。
なぎこさんの過激な恋愛の仕方も、毒親との問題に通じるのだろうと思った。
アキミ、なぎこ、と状況によって二重の人格を使い分けてその場を取り繕うのも、心理学で「解離性障害」と言われているものに似ているように思った。
心理学では、酷い家庭環境で育った者は「解離性障害」が起こりやすいと言われている。
本文の中で、私が最も印象に残ったのが「愛人の勃起したペニスを、中学1年生の娘(アキミ)に自慢する母親」のシーンだ。衝撃的すぎた。そんな母親がいるのかと。
私が様々な毒親本・漫画を読んでみて感じたことは、毒親に共通しているのが、母親の場合「親である前に女」だということだ。「親になりきれていない」し「女を捨てきれていない」のだ。
なぎこさんの分析では「母親にとって、子どもの存在は、好きになった相手との関係を繋ぎ止めるための道具にすぎない」とのことだった。
どういう感覚で命を生んでいるのかーー。本当に、毒親の持っている価値観が理解できない。
他にも、母親を守ろうとする娘・アキミの健気な行動をことごとく踏みにじる姿などが描かれている。
アキミが朝ドラデビューが決まり報告した時や、結婚の報告をした時まで、母親は「あ、そう」と冷たく返事し、無関心でいたそうだ。
とにかく、母親の毒親っぷりが最初から最後まで凄まじい自伝的小説だった。怒りや、胸糞悪さが募った。
(追記)
2025年7月、遠野なぎこさんは自宅のマンションにて遺体で発見された。死因は「事故死」と発表されている。心から、ご冥福をお祈り致します。
(遠野なぎこ「一度も愛してくれなかった母へ、一度も愛せなかった男たちへ」)
