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第26集 普茶料理と走る〜走る料理人シリーズ|前書き 「走ることと食べること」|第一章 黄檗山の記憶━揚巻湯葉に宿る禅の心

作者:ビリケン(ランニング社会学*を研究する元漁師)


~~前書き 「走ることと食べること」~~

走ることと食べることは、人間にとって最も根源的な営みだ。足で大地を踏みしめ、舌で風土を味わう。その二つが交差するところに、新しい料理の可能性が生まれる。

江戸時代から続く普茶料理という精進料理の系譜と、現代のランナーが求める栄養とスパイスの融合。
郷土料理の研究家でありランナーでもある私は、一見相反するようなこの組み合わせに惹かれ、今日も走り、そして台所に立つ。

ランナーズスパイスとの出会いは偶然だった。いや、必然だったのかもしれない。
走る者が求める味と香りが、そこにはあった。

以下に記すのは、各地を走り巡って出会った普茶料理を、ランナーズスパイスでアレンジした記録だ。
料理は文化であり、文化は物語である。

※作中で使用するランナーズスパイスは、全てヴィーガン仕様のものを使っています。


第一章 「黄檗山の記憶━揚巻湯葉に宿る禅の心」

◆普茶料理発祥の地を訪ねて

京都府宇治市、黄檗山萬福寺。
隠元隆琦禅師によって黄檗宗とともに普茶料理が伝えられた寺として知られる。
初夏の朝、私はこの寺を訪れた。
ここには中国禅寺の食文化が息づき、黄檗宗が伝えた普茶料理とも深い縁を感じさせる。
境内を一周するコースは約2キロ。
石畳に響く足音が、悠久の時を遡るように感じられる。

隠元隆琦禅師が中国から伝えた普茶料理は、もともと「普く大衆と茶を供にする」という意味で、身分を問わず誰もが食事を共にするという精神から生まれた。
精進料理でありながら、中国風の調理法や食材を用いるのが特徴である。

その日の昼食に供された「もどき料理」の数々を見て、私は思った。
これはまさに、現代のプラントベースフードの先駆けではないか。
肉や魚を使わずに、その食感や味を再現する技術。
400年前の禅僧たちがすでに完成させていた智慧である。

◆伝統への新しい風

宿坊で一夜を過ごした翌朝、座禅の後、台所を借りて一品作らせてもらった。
住職の許可を得て、伝統の「揚巻湯葉」をランナーズスパイスでアレンジしてみたのである。

レシピ【スパイス香る揚巻湯葉】

<材料>    
・巻湯葉 4本
・片栗粉 大さじ2
・ランナーズスパイス 小さじ2
・昆布だし 400ml
・薄口醤油 大さじ1
・みりん 大さじ1
・生姜 少々
・揚げ油 適量

<作り方>

  1. 巻湯葉を一口大に切り、片栗粉とランナーズスパイスを混ぜた粉をまぶして170度の油でカラリと揚げる

  2. 昆布だし、薄口醤油、みりん、おろし生姜を合わせて煮立て、餡を作る

  3. 揚げた湯葉を器に盛り、熱い餡をかけて完成


ランナーズスパイスの複雑な香りが、淡白な湯葉に深みを与える。
走った後の疲れた身体にも優しく、それでいて満足感のある一品となった。
住職は、
「新しい風ですな」
と微笑んだ。

普茶料理の真髄は「もてなし」である。
誰もが美味しく食べられるように。
誰もが満足できるように。
その心は、現代のランナーにも通じるものがある。
一人で走っていても、実は多くの人に支えられている。
給水所のボランティア。
沿道の応援。
そして家で待つ家族。

黄檗山を後にする時、私は新しい使命を感じていた。
普茶料理とランナーズスパイスの可能性を、もっと多くの人に伝えたい。
そんな気持ちで、次の目的地へ向かう電車に乗り込んだ。

車窓から見える宇治川の流れは、時の流れを象徴しているようだった。
変わらないもの。
変わっていくもの。
料理もまた、そうした時の流れの中で育まれていくのだろう。

【スパイス香る揚巻湯葉】

黄檗山の静かな朝、湯気の向こうに新しい風が生まれます。
複雑な香りで素材の旨みを引き立てやすく、野菜や煮込み料理にも向いています。
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▶ 次の話 【第26集|第二章 長崎の風と胡麻豆腐━異国情緒が香る精進の味】は、8/7(金)20:00に公開予定!


*「ランニング社会学」とは、走ることを通じて社会を観察し、社会を通じて走ることの意味を解き明かすこと

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