ショートショート『その日、日本から10円玉が消えた。』
「10円玉を廃止します」
昼休みのコンビニで、そのニュースを見ていた。
財布の中を探せば一枚くらいは出てくるかもしれない。
その程度の存在だった。
「なお、保有している10円玉は、一枚につき一万円で交換します」
私は反射的に財布を開いた。
人間というのは、現金な生き物だ。
小銭入れの隅に、10円玉が一枚だけ転がっている。
「四百十円になります」
私は五百円玉を差し出した。
すると、店長らしき男性が飛んできた。
「四百円です」
「え?」
「四百円です」
店長は笑顔だった。
私は思った。
この国は、まだしばらく退屈しなさそうだ。
こちらの企画に参加させていただきました。
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