初任者研修講座⑨ -1 運命の展開 3
今回は長いです。
母の言葉では、父は明日に死ぬ。
重くのしかかる言葉であるし、もしかしたら、父が息を引き取るその時、私は側にいられないかもしれない。
人間誰もが死ぬのだが、でも父との別れがこんな形になることに、言葉もない。
私は父との最後にいられない。
講座は振り替えもできるので、日を変えよかと言うと家族全員が「行きなさい」と言われた。
何より父が「行ってきて、そして仕事の探し方を先生に聴いてきなさい」と言うので、父に何かあったらすぐに帰ってくるので必ず電話してと伝えて、後ろ髪を引かれる思いで講座に行った。
「お父さんごめんね、私が帰って来るまで、生きていてね」
「頑張ってね」
これが最後の会話なら、時を止めて欲しかった。
講座より父の側にいたかった。
講座なんざ、どうでもよかった。
気持ちを切り替えて講座を受ける。
自分は冷たい人間だなと、不意に我に返って自己嫌悪に苛まれる。
仕方がない、これが私の運命だ。
授業
講座の内容は整容服を着せたり、脱がしたり。
身体を動かす分気分は変る。
リンさんや竹山さん西村さんや尾身さんと、楽しく動いていると心が楽になる。
こんな時でも楽しい気持ちにはなるのだなと思った。
そして、何度も携帯を確認したが、連絡は来ない、父は大丈夫だ、よかった。
講座が始まる前に雑談で、田辺先生が私を見て仰った。
「あぁ、あなたこの講座の人だったのね、あなたの目が凄く印象に残ってたの、凄い目をした生徒さんがいて、どこのお教室の方かわからなかったけど、あなたこの教室の方だったのね」
その時は「えっ?」とか「はぁ」とか答えようがなかったので、たぶんそんな返事をしたと思う。
こちらはそれどころではなかったし、変わったことを言う先生だなと思った。
お昼の時間に田辺先生を捕まえて伝えた。
「話があるのでお昼に時間をいただけませんか?」
すると田辺先生は驚いた表情で
「何?なんの話?????私はそこの一番前の机にいるので、いつでもどうぞ」
私「では30分後にお願いいたします」
田辺先生は頷いてくれた。
お昼時間は1時間なので、30分だけ時間をいただくことにした。
運命の時間
お昼ご飯を食べ終わって、もうそろそろいいだろうと、前にある田辺先生の机に行った。
先生も緊張した面持ちで「お話は何ですか?」と優しく仰った。
続くよ
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