お世辞、 60代。
二十代
「可愛いね」
「綺麗になったね~」
そんな言葉を聞いてきた。
五十代になると、
「お若く見えますね」
そして六十代。
「アクティブですね」
私はその言葉を聞くたびに、
一瞬だけ考える。
それは褒め言葉なのか。
それとも、
「年齢のわりには」という枕詞が、
見えないところに隠れているのか。
もちろん悪気はない。
むしろ、相手は精一杯、
私を喜ばせようとしてくれている。
だから私は笑顔で、
「ありがとうございます」
と答える。
でも心の中では、
別の私が小さくつぶやく。
――お世辞って、年齢と一緒に育つんだな。
帰り道、
駅ビルのガラスに映った自分を見た。
私も、
そんな年齢になったらしい。
