見出し画像

苦手克服はもう辞めた。

苦手を克服することばかりに夢中だった私達親子が、もう一度気づいたこと。



少年団では“中心選手”だった。


低学年の頃、息子は地元の少年団で中心選手だった。
地区の中でも目立つ存在で、「うちの子、けっこうやれるんちゃう?」と思っていた。

でも、自分の現在地をもっと正確に知りたい。
そう思って、スクールに通わせたり、1時間かけてJ下部のサマースクールにも参加するようになった。

そこで出会った友達から、
「クラブチームに移籍した」
「J下部のセレクションを考えている」
そんな話を聞いて、
「えっ、そんな先のこともう考えて動いてるの?!」
と、衝撃を受けたのを覚えている。

次は“セレクションクラス”に挑戦。合格して、通うようになった。
トレセン活動も始まり、地区トレまで進んだ。
ただ、うちの地区から県トレに進むのは数年に1人。
ほとんどの子がそこで止まり、もちろん息子もダメだった。


評価されない現実。速さがすべて。


県トレでは、体格のある子、スピードのある子が目立った。
足が遅く、体格でも目立つタイプではなかった息子は、プレーしていても評価されにくかった。

そして、いつしか私たち親も、本人も、こう思うようになった。

「足さえ速ければ…」
「惜しいけど、追いつけない」
「今のは、速さがあれば通ったよね」

何気なくこぼした言葉が、きっと息子の心に残っていたと思う。

だから彼は、“足を速くする”ことに集中していった。

フォーム矯正に2年。
陸上教室にも通い、フォームを直すための練習を続けた。
動画を撮っては確認し、少しでも速くなるよう工夫を重ねていた。

でも、評価にはなかなか繋がらなかった。


スペインで変わった。足の遅さがハンデじゃなかった。


そんな中、初めてのスペイン留学に行った。
すると、日本でずっと悩んでいた“足の遅さ”が、まったく気にならなくなった。

それどころか、試合でまず評価されたのは――
「パスミスやトラップミスが少ないこと」だった。

それが、彼にとっての“自信のはじまり”だったと思う。


「次こそは通用する選手に」。自分で決めた課題。


1回目のスペイン留学では、思うようなプレーができなかった。
止められない、判断が遅い、知識がない――悔しい思いをたくさんした。

だから帰国後、息子が自分で決めた課題は「トラップ」だった。

ただ止めるのではなく、
どこにボールを置くかまで意識した“ファーストタッチ”。

右足でも左足でも、相手が来る方向を見て、次のプレーがしやすい位置に置く。
そのために何度も動画を撮っては、角度や姿勢を確認し修正していった。

そして、自分のポジションのプロ選手のプレーもたくさん見るようになった。
どう動いて、どう止めて、どうパスを通しているか――
“見る力”も養っていった。


そして、再びスペインへ。自信がプレーに表れた。


2度目のスペインでは、自分の武器をもう一度取り戻していった。

判断の速さ。トラップの質。正確なパス。
そのすべてが、試合の中で自然と発揮されるようになった。

派手なゴールやドリブルではないけれど、
「構成を任せられる選手」として信頼される存在に。


でも帰国すると、また「速さ」が求められた。


自信を持って帰国したものの、少年団ではやはり「足の速さ」が一番の評価基準だった。

だんだんと、また私たちも本人も
「足さえ速ければ…」という空気に戻っていった。

いつの間にか、再び“苦手の克服”ばかりに意識が向き、
せっかく磨いた“武器”であるトラップやパスの精度も落ちてしまった。


そして今、もう一度“自分の武器”と向き合っている。


今回、再びスペインへ渡り、本人は改めて自分の“武器”を再認識できた。
そして、それをまた磨こうとしている。

さらに今は、頭で考えすぎず、パッションを出すプレーもできるようになってきた。
スペインの空気の中で、失敗を恐れず、自分を出せるようになった。



苦手を克服することも大事。
でも、自分だけの武器を磨くことは、もっと大事。

足が速くなくても、通用する。
スペインで、それを証明してくれた。

これからも、“武器を磨くこと”と“情熱を持ってプレーすること”
その両方を忘れずに、進んでいってほしい。

そう願いながら、私はまた彼の背中を見つめている。



ここまで読んでくれてありがとうございました。

またリアルな育成の記録、書いていきます。
応援してもらえたら嬉しいです!

いいなと思ったら応援しよう!