岩と海とカニの村
2009年12月26日
パチュアップキリカン ⇒ ホアヒン ⇔ チャアム 238Km
サムロイヨットからホアヒンへ
パチュアップキリカンを出発してホアヒン、そしてチャアムへ。この日の走行距離は238km。ずいぶん欲張ったルートになったが、それだけ見どころも多い一日だった。
朝、宿を出るとまず目に飛び込んできたのが、木造の可愛らしい建物。この旅の起点となる一枚を撮って、いよいよサムロイヨット国立公園へと車を走らせる。

サムロイヨット国立公園 ― Wat Khao Daeng
最初の目的地はWat Khao Daeng

石灰岩の奇岩がそそり立つ景観は、さすがタイ屈指の国立公園というべき迫力だ。岩肌に刻まれた文字を眺めたり、真っ白な像が青空に映える姿を写真に収めたり。境内の朱色の屋根のお堂は、周囲の荒々しい岩山とのコントラストが美しく、しばらく足を止めてしまった。橋のかかる水路の先には、どこまでも続く海岸線とマングローブの緑。乾いた道の向こうに見える尖った山並みは、いかにもこの地方らしい景色だった。
洞窟探検 ― Tam Sai
続いて向かったのはTam Sai(サイ洞窟)

海沿いの道をしばらく走り、案内板の立つ入口から山道を登る。緑の葉をかき分け、岩をよじ登るようにして進む道は、ちょっとした冒険気分を味わわせてくれる。洞窟の中は真っ暗で、フラッシュを焚いてもわずかに光の差し込む隙間が写るだけ。ひんやりとした空気と静けさの中、自然が作り出した造形の不思議さに圧倒された。振り返れば眼下に広がるのは、どこまでも青いアンダマンの海。汗をかいた甲斐のある眺めだった。
Baan Pu(カニの村)のビーチ
洞窟を出て向かったのは、通称「カニの村」ことBaan Pu

海辺には金色に彩られたナーガ(蛇神)がカニ像を守る、独特の存在感を放っている。屋根付きの東屋から見渡す海岸は、弧を描くように長く伸びていて、パノラマで撮った一枚には静かな入り江の全景が収まった。犬が日陰でくつろぎ、遠くには海水浴を楽しむ人たちのボートが浮かぶ、のどかな午後の光景。
小腹が空いたところで、地元の食堂に立ち寄る。汁物とタイ風のサラダ、それに緑の葉物を使った一皿。旅先で食べるこうした素朴な料理は、いつも格別に美味しく感じる。

観音像とホアヒンの街
海沿いをさらに進むと、白い観音像が出迎えてくれる。緑豊かな参道の先に立つ姿は穏やかで、旅の疲れを一瞬忘れさせてくれた。ここにも金色のナーガ像があり、この地方ではやはり蛇神信仰が根強いのだと実感する。

やがて到着したホアヒンの街は、高層ビルも建ち並ぶ賑やかな町。国立公園やのどかな漁村を巡ってきた目には、少し都会的に映った。

Wat Neran Chararam と Wat Khao Takiap
チャアム方面へ向かう途中、ペチャブリ県のWat Neran Chararamに立ち寄る。真っ白な仏塔がいくつも整然と並ぶ様は圧巻で、参道の緑との対比も美しい。

この日最後に訪れたのはホアヒンのシンボル、Wat Khao Takiap。海に突き出た岩山の上に建つ寺院で、白い仏像や旗がはためく境内からは、ホアヒンの海岸線を一望できる。境内をうろつく猿や、のんびり寝そべる犬の姿もこの寺らしい風景。日が傾く中、最後にもう一体の像と山の上に建つお堂を見上げて、この日の行程を締めくくった。

国立公園の荒々しい自然、洞窟の静けさ、漁村ののどかな空気、そして寺院の荘厳さ。一日でこれだけ違う表情の景色に出会えるのが、この街道沿いの旅の面白いところだ。238kmを走り抜いた体は疲れていたが、心はすっかり満たされていた。
