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タイ南部、信仰と風景をめぐる

2009年12月5日 トラン ⇒ パタルン ⇒ ソンクラー 263Km

朝、トランを出発した。

空はすでに白く明るく、熱帯の朝独特のぬるい空気が肌にまとわりついていた。この日の行き先は決めていた。ソンクラーを中心に、寺や廟、博物館など地図の上に点在する場所を、ひとつひとつ訪ねていくだけの一日。

ソンクラーへ

パタルンを抜け、ソンクラーへ入ると、風景の質が変わった。

ソンクラー湖の気配が空気に滲みこんでいる。この地域はタイ南部のなかでも独特の雰囲気を持っていて、仏教、道教、イスラム教が重なり合うように共存している。一本の道を走るだけで、寺の黄金屋根、廟の赤い提灯、モスクの白い塔が次々と目に飛び込んでくる。

まず訪れたのは Wat Khao Bo

Wat Khao Bo

小高い丘の上にある寺で、境内に立つと南の平野が遠くまで見渡せた。風が草をなでる音だけが聞こえる、静かな場所だった。

続いて Wat Khlong PleWat Phranon Laem Pho

Wat Khlong Ple
Wat Phranon Laem Pho

ソンクラー湖畔に近いこれらの寺は、水の近さを感じさせる湿った空気に包まれていた。参拝者の姿はまばらで、仏像と、花と、線香の煙だけがそこにあった。

ソンクラー市街の廟と像

街に入ると、道教系の廟がいくつも現れる。

Chumphon Shrine

Chumphon Shrine(チュンポン廟) は赤と金に彩られた廟で、内部は香煙で霞んでいた。地元の人たちが熱心に手を合わせている姿を、少し離れたところから眺めた。信仰というものは、観光客には少しよそよそしい。でも、その真剣な横顔を見ていると、こちらまで背筋が伸びる気がした。

近くには Phra PhoThisat Kuan Im(観音菩薩像)と Thepnaja Hat Yai Shrine も並んでいて、この一帯は廟が集中する祈りの街区になっている。

Phra PhoThisat Kuan Im
Thepnaja Hat Yai Shrine

岬に近いあたりには Cat and Rat Statue(猫とねずみの像) があった。沖に浮かぶ「ネコ島」と「ネズミ島」にまつわる像だという。どんな物語が背景にあるのかは知らない。ただ、海を背にした像のシルエットは、妙に印象的だった。

Cat and Rat Statue

大仏と半島の南端

Phra Phuthamongkol Maharat はソンクラーで最も存在感のある大仏像のひとつで、遠くからでもその姿が目に入る。台座の上の像は、街を見下ろすわけでもなく、ただそこに在るように見えた。

Phra Phuthamongkol Maharat

Luang Pu Thuat Statue も、同じくソンクラーを代表する高僧の像。タイ南部では至るところで見かける名前だが、そのたびに土地への根付き方の深さを感じる。

Luang Pu Thuat Statue

Central Mosque と Folk Museum

Central Mosque(中央モスク) はソンクラーのムスリム地区に静かに建っていた。白い壁と緑のドーム。午後の光の中で、その建物はひどく穏やかに見えた。

Central Mosque

Folk Museum では、ソンクラーの民俗品や生活道具が並んでいた。かつてこの地で人々がどう暮らしていたかを示す品々は、地味だが誠実な展示だった。

Folk Museum

Welcome Gate、そして帰路へ

最後に訪れたのは Welcome Gate。ソンクラー県の入口に建つ門で、この日の行程を締めくくるのにちょうどいい場所だった。

Welcome Gate

門をくぐるのではなく、門の前に立って振り返る。今日一日、寺と廟とモスクと像と標識を、ひたすら訪ね歩いた。信仰の形が、場所ごとにこんなにも違う。でも、どこでも人は何かに手を合わせ、何かに祈っていた。

それだけで、長い一日は十分な旅だったと思える。

2009年12月5日 トラン〜パタルン〜ソンクラー


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