読書記録#02 | 『ゴリラの森,言葉の海』
「読書記録」ではその名のとおり私が読んだ本を紹介します。ジャンルは限定しないつもりですが、このnoteのコンセプトのひとつ「科学の楽しさや研究の面白さを伝えたい」という思いから、サイエンス要素多めにしていきたいと思っています...
今日は、私の大好きな作家さんである小川洋子さんの対談本の読書記録です。
小川さんの書く文章や物語は、穏やかとも、優しいとも違う、広大な海の「凪」を思わせます。彼女の作品を読んでいると、波立っていた心が不思議とフラットになる感覚が何ともクセになります。
そんな作家・小川洋子さんと、霊長類学者の山極壽一さんの対談を書籍化したのが、「ゴリラの森、言葉の海」という本です。
タイトル : ゴリラの森、言葉の海
著者 : 山極寿一、小川洋子
出版社 : 新潮社
ページ数 : 224ページ
出版年 (初版): 2019年
前半部分はお二人の講演会や対談の内容をまとめたもの、後半はお二人が屋久島を訪れて森の中を散策しながら対談した内容をまとめたものです。内容は主に山極さんの専門であるゴリラの生態について。山極さんがゴリラの社会性や行動的特徴を紹介しながら、ときに他のサル目動物 (ヒトを含む) との比較を織り交ぜ議論を深めていきます。その中で読者は、ゴリラの奥深さを知り、小川さんの着眼点に唸らされ、ゴリラの森へと誘われて行くのです。
中でも私の印象に残っているエピソードは、「大人のオス同士のケンカは小さく若いゴリラが仲裁する」という内容の話です。
ゴリラは群れで生活し、その頂点に存在するのが「シルバーバック」と呼ばれるオスのボスです。その名の通り、背中に白い毛が生えているのが目印で、ゴリラにとっては強さの象徴でもあります。シルバーバックもそれを分かっているから、メンツをつぶさないためにシルバーバック同士は睨みあうんだけど、実は戦いたくないらしいのです。そうしていると自分たちより小さな若いゴリラがやってきてお互いの顔をのぞきこみ、その場が収まる。勝者を作らないことで両者のメンツが保たれるという、なかなか複雑な社会性をもつ生き物なのだそうです。そのような社会性が構築されていくのにどのような子育てが行われ、コミュニケーションがとられ、母性や父性が育まれていくのかといったお話が展開されていきます。
その他、この本の中で私が気になったトピック・キーワードをメモしておきます↓
・ゴリラは数秒で出産
・男女の違い (ジェンダーとセックス)
・「言葉」が孕む危険
・自分がどこから来たのか,何者なのか
・人間とは過去にこだわる生き物
・勝手に大人になる女と,儀式を必要とする男
・人間の多産性
・共感・連帯感から産まれる暴力性
・食べるということは社会性を発揮する場
・3次元世界での階層性・優劣の消滅
・村上春樹は走る、小川洋子は白髪を抜く
近くて遠いような、遠くて近いような、
ゴリラたちは私たち人間をどんなふうに見ているのかなぁ
そんな思いに耽りながら読了した一冊でした
そしてやはり小川洋子さんのセンスがすてき...
