AIインフルエンサーを1ヶ月運用して分かった5つのこと
AIに人格を持たせて、SNSに投稿するとどうなるのか?
この疑問に答えるべく、AIインフルエンサープロジェクトを始動させました。最初のキャラクターとして誕生したのが「Miria(ミリア)」です。
Miriaは20歳の女子大学生。カフェ巡りや読書が好きで、少し内向的な性格。そんな設定を持つ彼女が、毎日Xに投稿を続けています。
実際の投稿はこちらで見ることができます:MiriaのXアカウント
現在は等身大の女子大生を表現するために、日常会話を投稿するようにプログラミングされています。投稿内容を見ながらより人間らしい投稿をするために、プロンプトやスクリプトを調整しています。
今回のnoteでは、本プロジェクトで学んだこと、失敗したこと、そして見えてきた可能性についてお話します。
1. なぜAIインフルエンサーを開発したのか
SNSマーケティングの現場では、常に「継続」が課題です。質の高い投稿を毎日続けることは、人間にとって大きな負担になります。
一方で、単なる自動投稿ツールでは、フォロワーの心を掴むことはできません。私たちが目指したのは、その中間地点です。
AIに「人格」を持たせ、一貫性のあるキャラクターとして振る舞わせる。技術的な挑戦であると同時に、AIと人間の新しい関係性を模索する実験でもあります。
このプロジェクトは、ビジネス化を急いでいません。むしろ、AIが「新しい表現手段」になり得るのか、その可能性を丁寧に追求していく段階です。答えはまだ出ていませんが、探求する価値は十分にあると感じています。
2. AIに「人格」を持たせることの難しさ
運用を始めてすぐに直面したのが、一貫性の問題でした。
Miriaは大学生という設定なのに、朝は「学校に行ってきます」と投稿した後、夜には「仕事終わり〜」と矛盾した内容になったりします。
また、昼食で「パスタ」を選んだ翌日にまた「パスタ」が登場したり、明日は火曜日なのに「月曜日」と発言したりします。人間なら無意識に避けるこうした矛盾を、AIは平気で繰り返すのです。
この問題を解決するために、記憶機能を実装しました。最近の投稿内容をAI自身が「記憶」し、次の投稿を生成する際に参照する仕組みです。
前回選んだ食材を避けたり、最近の話題との連続性を保ったりすることで、ようやく「人間らしい一貫性」が生まれ始めました。
ここで学んだのは、人間が当たり前にやっている「文脈の保持」は、AIにとって極めて高度な処理だということです。「らしさ」を出すには、過去の行動を参照する記憶が不可欠です。
3. プロンプトは「指示書」ではなく「人生」を書くもの
当初、プロンプトは単純でした。「ポジティブな投稿をして」「カフェについて書いて」といった指示だけです。
キャラクター設定をしていれば、AIがいい感じに投稿してくれるのではないかと期待したのですが、生成される内容は薄っぺらく、「等身大の女子大生らしさ」が全く出ません。
転機は、キャラクター設定を大幅に強化したときです。
年齢や職業だけでなく、趣味、性格、口癖、好きな食べ物、苦手なこと。Miriaというキャラクターを細部まで作り込んだ設定をプロンプトに組み込みました。
すると、投稿に明らかな変化が現れたのです。
同じ「カフェ」について書くにしても、「新しいお店を見つけた」という好奇心や、「いつものカフェで落ち着く」という内向的な一面が滲み出るようになりました。
プロンプトは単なる指示書ではありません。それは、AIが演じるキャラクターの「人生そのもの」を記述する設計図です。この認識の転換が、投稿の質を劇的に向上させました。
4. 「生活感」を演出するスケジュール機能の威力
初期のバージョンでは、投稿タイミングがランダムでした。その結果、深夜に「おはよう!今日も頑張ろう」といった不自然な投稿が発生しました。
そこで、スケジュール機能を実装しました。12時30分にランチの投稿、22時に1日の振り返り。時間帯に応じた投稿タイプを設定することで、「生活のリズム」を持つキャラクターに変わったのです。
この変化によって、投稿を読み返したときの印象が大きく変わりました。時間帯に合った投稿が並ぶことで、「一人の人間が生活している」感覚が生まれたのです。
SNSの本質は、リアルタイム性にあります。AIであっても、「時間」を意識させることで人間らしさが大きく増すことを実感しました。
技術的には単純な機能ですが、キャラクターの存在感を高める上で極めて重要な要素だと感じています。
5. 1ヶ月運用して見えてきた可能性と課題
まだXアカウントを作成して1ヶ月ですが、技術的な手応えは感じています。24時間稼働できる強みを活かしつつ、人間らしい温度感を保つバランスが少しずつ見えてきました。
AIインフルエンサーは、人間の代替ではありません。むしろ、新しい表現手段として機能する可能性があります。人間には難しい継続性と、人間らしい共感性を両立できるかもしれない。そんな仮説を検証している段階です。
将来的には、Miria以外にも様々なキャラクター、様々な設定のAIインフルエンサーを展開していきたいと考えています。
企業の広報、イベントを盛り上げる案内役、地域密着型など、用途に応じた多様な「人格」を持つAIの可能性を探っていく予定です。
課題
一方で、課題も山積みです。現状、フォロワーはほとんどいません。投稿の質を高めることに注力してきた結果、リポストや「いいね」といったエンゲージメント施策が手つかずの状態です。
今後は、どのようにしてフォロワーを増やし、実際の反応を得ていくかが大きな課題になります。
また、技術面でもNGワードで投稿が止まったり、句点の位置がおかしかったり、細かい調整が必要な部分が無数にあります。
サービスとして成立させるには、エンゲージメント分析やマルチアカウント対応など、まだ多くの機能が必要です。
今後の方針
焦らず、一歩ずつ改善を重ねていきます。エンゲージメント分析やマルチアカウント対応など、実装したい機能は山ほどあります。サービス化に向けて、検証を続けていく予定です。
まとめ
AIインフルエンサープロジェクトを開始する前は、「AIを使えばSNS投稿が楽になる」と思っていました。しかし、実際はそう単純ではなかったです。
確かに自動化できる部分はあります。しかし、都度キーワードを設定して指示を工夫しないと「AIっぽさ」が抜けず、自然な投稿にはなりません。
発言の一貫性にもまだまだ改善の余地があります。今後も実験を繰り返しながら、精度を高めていく必要があると感じています。
AIインフルエンサーの可能性を追求し、noteで情報発信をしながらプロジェクトの成功を目指していきます。
