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『コンビニ人間』 は意外に気持ち悪くない。だから気持ち悪い。 (芥川賞2016)

ローラー滑り台みたいな小説だった。軽やかに進んでいくのに、小刻みなむず痒さが蓄積し続け、最後には放り出される。そして、むず痒さが残り続ける。


一見、気味が悪いんだけど

本作の設定は、まったく近代小説らしからず、まるでルソーの思考実験のよう。

というのも、主人公はあたかも自然人みたいに、あるいは縄文人みたいに、確固たる自我を持たず、よってこだわりも葛藤もないからだ。

そんな彼女にとって、コンビニ店員という画一的な仮面(あるいは能面)は、むしろ快適。

のっぺらぼうにとっては、自分も均質な仮面をつけていた方が、かえって安心して社会を歩ける、というわけだ。

でも現実に立ち返れば、我々の多くは自分の顔をこそ大事にするから、そんな無機質な仮面は息苦しくて仕方がない。

それでも村八分にならぬよう、我を忘れてムラのために「死んだ町(=オフィス街)」で働いている。

こんな社会でうまくやれるのは、主人公のように疑いなく機械になれる、無個性で不自然な存在のみ。
僕はこの作品を、そういう社会批判だと受け取りたい。

でも考えてみれば、そんな大層な個性なんて、そもそもこちらも持ち合わせてないのかも。

そして恐ろしいことには、「コンビニ店員」という役職を例えば「コンサルタント」に置き換えてしまえば、本作に特異な気持ち悪さは大方消えてしまう


meme: an element of a culture or system of behaviour passed from one individual to another by imitation or other non-genetic means.

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