【第5話】台湾現地校|新しい場所が、いつしか「生活の場所」になる
台湾へ来て、我が子は現地校に通い始めました。
言葉も分からないまま、新しい環境に飛び込んだ我が子。
正直、期待半分、心配半分の毎日でした。
でも蓋を開けてみれば、子どもの適応力は、大人の想像をはるかに超えていました。
今回は、我が子が台湾での日々を通して、少しずつ「新しい場所」を「生活の場所」に変えている、そのあたたかい過程についてお話ししたいと思います。
「『鬼ごっこしよう』って英語で何て言うの?」
ある日、学校から帰ってきた我が子が、そう聞いてきました。
「Let's play tag. だよ。」
そう答えると、我が子は何度か口の中で繰り返し、満足そうにうなずいていました。
台湾の学校には、中国語だけでなく、簡単な英語でコミュニケーションを取ってくれる友達もいます。
「友達を遊びに誘いたい。」
我が子は、ただその一心で、必要な言葉を覚えようとしていたのだと思います。
勉強のために覚える単語は、なかなか頭に入りません。
でも、「今すぐ使いたい言葉」は違います。
必要だから覚える。
使いたいから覚える。
子どもの語学力は、教科書ではなく、「遊びたい」という気持ちが育ててくれるものなのかもしれません。
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「ママ、LINE交換してくれる?」
しばらくすると、我が子からもう一つお願いがありました。
「お友達のママとLINE交換してくれない?」
学校の中だけでなく、週末も一緒に遊びたいと思える友達が、できていたのです。
そう思うと、自然と頬が緩みました。
もちろん、お互いに予定があります。
毎週末遊べるわけではありません。
それでも、ときどき「日曜日、公園で遊ばない?」と約束できるだけで、我が子は本当にうれしそうでした。
その小さなやりとりの積み重ねが、私たち親子にとって、台湾での暮らしを少しずつ形にしてくれているように感じます。
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公園で待ち合わせ
実際に、日曜日に近所の公園で待ち合わせをして遊んだことがあります。
子どもたちは鬼ごっこをしたり、ボール遊びをしたり、汗だくになるまで走り回ります。
その間、親同士はベンチに座っておしゃべりです。
「この近くなら、この小児科がおすすめだよ。」
「このレストラン、おいしいよ。」
そんな地元ならではの情報を、たくさん教えてもらいました。
子どもが友達を作ることは、親にとっても、地域とつながるきっかけになるのだと実感しました。
台湾へ来たばかりの私たちにとって、それは本当にありがたい時間でした。
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イングリッシュネームという文化
台湾で「助かったな」と思ったことが、もう一つあります。
それは、イングリッシュネームです。
台湾では、英語教育の一環として、英語の名前を持っている子どもがたくさんいます。
「Kevin」「Amy」
本名とは別に、英語名で呼び合うことも珍しくありません。
正直なところ、中国語の名前は日本人には発音が難しく、なかなか覚えられません。
でも、イングリッシュネームなら覚えやすく、呼びやすい。
我が子も、
「今日はMikeと遊んだ。」
「Lucasと鬼ごっこした。」
というように、すぐに友達の名前を覚えていました。
もちろん、本名を覚えることも大切です。
でも、最初の一歩として、イングリッシュネームは子ども同士の距離を縮めてくれる、とても素敵な文化だと感じています。
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少しずつ、台湾が「生活の場所」になってきた
学校へ通い始めた頃は、毎日がどきどきでした。
何を言っているのか分からない。宿題も分からない。
朝、校門の前で我が子を送り出すとき、内心では「今日も無事に一日を過ごせますように」と、祈るような気持ちでいました。
帰ってきた我が子の顔を見て、笑っているか、疲れきっていないか。
そればかりを気にしていた時期もありました。
それでも、そんな毎日が、徐々に日常へと変わりつつあります。
「新しい場所」から、「生活の場所」へ。
この変化は、ある日突然訪れるものではありません。
分からない言葉に戸惑いながらも、学校に通い続けた日々。
たった一つの単語を覚えるために、必死に耳を澄ませた時間。
うまく伝わらなくてもどかしい思いをしながら、それでも友達に近づこうとした小さな勇気。
そうした目には見えない積み重ねが、少しずつ重なって、「生活の場所」へと変わっていくのだと思います。
これから先も、うまくいかない日や、くじけそうになる日が、きっとあるはずです。
それでも、今日という一日を精一杯生きることの積み重ねが、いつか我が子自身の大きな支えになる。
そう信じて、これからも我が子の歩みを、そばで見守っていきたいと思います。
