「今日はやめとけ」と言われた日。吹雪の中で竿を出した初心者の結末
漁港を中心に、親子で釣りを楽しんでいる「青の釣り人」です。
釣りを始めて2年目になります。
1年目は、春・夏・秋の釣りが中心で、冬の釣りに挑戦したことがありませんでした。
理由は単純です。
「雪が降る季節に、魚なんて釣れる気がしなかった」から。
それに、昨シーズンは稀に見る大雪で、
釣りどころではなく、気付けばそのまま冬が終わっていたのでした。
初めての冬の釣りは、正月三ヶ日に
2026年を迎え、のんびりとした正月三ヶ日に
"新年釣り始めの儀”を執り行うことにしました。
場所は、まさかのあの漁港。
夏から秋にかけて、
親子そろって3度のボウズを食らった、因縁の場所です。
「リベンジしよう」
そう言ったのは、息子でした。
冬の漁港探しは、想像以上に厳しかった
冬の釣りに挑戦するため、昨年末に市街地近辺の漁港をいくつもリサーチしていました。
しかし、現実は厳しく…
ほとんどの漁港が雪捨て場になっていたのです。
昼夜を問わず行き交うダンプトラック。
騒音、振動、そして安全面。
魚がいるかどうか以前に、
釣りができる環境には、ありませんでした。
市街地を離れ、リベンジを誓う
それならば、市街地から離れた漁港ならどうだろう。
そう考え、
年末から毎日のように天気予報をチェックし続けていました。
狙うのは、晴れ予報の日。
「この日しかない」
そう思える日を、ただひたすら待ち続けたのです。
決行の朝、太陽が顔を出した
そして迎えた決行の日!
朝、カーテンを開けると――
太陽が顔をのぞかせていました。
「これは、祝福を受けているに違いない」
そんな風に思いながら、親子で出発。
目的地までは、車でおよそ30分の距離。
車内では、会話も弾み
「今年はどんな魚に出会えるかな」
「冬といえば、ロックフィッシュ釣りたいね」
期待が膨らみ、息子のテンションも上がります。
雲行きが怪しくなったのは、その途中だった
ところが――
トンネルを過ぎたあたりから、空の様子が変わり始めたのです。
太陽は雲に隠れ、
フロントガラスに、ちらほらと雪が…
「……あれ?」
嫌な予感を抱えたまま目的地に到着すると、
今度は風が一気に強くなり始めます。
息子の提案で、風除けになるよう車の向きを調整して、
竿を取り出し、急いで仕掛けを準備していると――
雪も激しくなり、猛烈な吹雪に襲われることに。
「今日はやめとけ」と言われた日
普通なら、ここで撤退。
誰が見ても、そう言われる状況です。
できることなら、このときの自分に
「今日はやめとけ」
と、声をかけてあげたい。
それでも――
釣りがしたいですと、ここまで来た親子の頭に、
“撤退”の二文字が浮かぶことはありませんでした…
寒さよりも、釣りたい気持ちが勝った
指先はかじかみ、
吹雪は容赦なく体温を奪っていく。
それでも、竿を握る手に迷いはありません。
息子は、過去にアイナメ(アブラメ)を釣った実績のある仕掛け「ハヤブサ・ハゼだぜ」で、
父は、信頼のワーム「エコギア・キジハタグラブ」で
ロックフィッシュを狙います。
吹雪の中、それでも竿を出した
ゴロタの多い漁港。
フリーリグで、まずは足元の壁際から探っていきます。
リフト&フォールで、できるだけ丁寧に。

吹雪に背を向けつつ、
カニ歩きと後退りを繰り返し、少しずつ移動。
ときおり顔を上げ、息子の姿を確認しつつ、
途中に点在するボラード(係船杭)をギリギリで避けながら、
およそ20メートルは探ってみましたが、まるで反応なし。
「ここなら出るかもしれない」
そう思いながら、続けて根の多いエリアを探ろうとしたのです。
指先の感覚が、少しずつ消えていく
しかし――
手袋はしているけれど、指先の冷たさに我慢の限界がきました。
アタリなのか、
ただ風に煽られているだけなのか。
竿を通して伝わるはずの感覚が、ほとんど分からないことに気づき、
父の心は、静かに――ぽきっと折れ、
釣りを断念することを決めました。
息子の仕掛けが、まさかの場所へ
息子に撤退を告げようと顔を上げると、
吹雪の中でも必死に竿を上下させている姿が見えます。
「ほぅ、頑張ってるな……」
そう思った瞬間、
投げた仕掛けが、吹雪にあおられ、
海ではなく、まさかの10メートル先の陸へ。
車止めに引っかかり、見事な根掛かり状態…
仕掛けの回収を父に託し、
息子はすぐさま車内へ退散していきました。
その判断は、正解だったと思います。
結果は、親子そろってボウズ
こうして、この日の釣行は――
リベンジ失敗っ!
完全ボウズで終了っ!!
魚の姿を見ることは、ついにありませんでした。
「今日はやめとけ」と言われた日の結末
帰り道、トンネルを抜けると、雪が止んでいます。静かな車内で、さっきまでの釣行を思い返します。
悔しさというよりも、
どこか満足している自分がいました。
あの吹雪は、
確かにこう言っていた気がします。
「今日はやめとけ」
でも、不思議と後悔はありません。
なぜなら――
あの時間も、あの寒さも、あの判断も。
すべてが、次につながる釣行だったからです。
なぜ釣れなかったのか、帰ってから考えてみた
家に帰ってから、この日の釣行を振り返ってみました。
諸先輩がたの記事を参考に理由を考えてみると、大きく3つありました。
1 冬の魚の居場所
冬になると魚がいなくなるのではなく、居場所が変わります。
浅く閉鎖的な漁港は、水温変化が大きく、冬は魚が溜まりにくいようです。
2 水温の低下による活性の低さ
冬の魚は無駄に動かず、目の前に餌が届かなければ口を使いません。
吹雪と強風の中では、その繊細な操作を続けること自体が難しい状況でした。
3 天候が悪すぎて、十分な時間と範囲を探れていない
これが一番大きな理由かもしれません。
冬の魚は点在しているため、時間をかけて探る必要があるようです。
しかし今回は、安全を優先して早めの撤退を選択しました。
結果としてボウズではありましたが、
それは「失敗」ではなく――
冬の釣りがどれほど条件に左右されるかを知る、必要な一日だったのです。
ボウズの日にも、意味はある
魚は釣れなかった。
でも、
冬の厳しさを体で知ったこと
無理をしてはいけないラインを学んだこと
親子で「引き際」を共有できたこと
これは、釣果以上に大きな経験でした。
初心者の釣りは、
「釣れる日」だけが正解じゃない!
「やめる勇気を知る日」も、
確かに釣りの一部なのです。
次は、もう少し穏やかな日に
それでもまた、親子で竿を出すのです。
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