Jロックの軽音に間違えて入部、すぐ退部する
大学一回生の新学期、はやくバンドがやりたいと勢いいさんでいた私。
軽音部に入ればバンドが組めると安直に考えていました。
よくよく調べず、前のめりに、春からの入部を決意。
ですが、話を聞いていると、想像していたほど部員に洋楽ハードロック好きがいない…?
のちにHR./HMファンがいることもわかり、彼との出会いがのちに大きく世界を開くことになるのですが、バンドとは関係ないので別の章で改めて書きたいと思います。
私が一瞬だけ所属したZ大学軽音学部の新歓ライブ。
花形ボーカルの上級生は、WANDSの「世界が終わるまでは」を歌っていました。
その軽音学部は、Jロック人口がマジョリティだったのです…!
なんなら、もう一つの音楽サークル〈JAZZ研究会〉の方が、ハードにゴリゴリの音が聞こえてくるではないですか。
「しくった…。ワイはあほや。」
入部してすぐにそう思いました。
ちなみに、WANDS先輩にカリスマ性があるのは私にもわかりました。
特にバンドや音楽が好きではない他校の友人紗羽子を招待し、試しにスター資質のありそうな演者はこの中にいるか、と尋ねてみました。
私も私でまだ部活でなんの功績も残していないというのに、とんだ上からなに様発言です。
「あんまりいないね。このボーカルの男の人はいいんじゃない?ちょっとキザだけど。」
彼女が挙げたのは、WANDS先輩でした。
軽音部には、活動熱心だからなのか、留年をしている強者な先輩もちらほらいて、WANDS先輩も5回生であると女子部員たちの噂に聞いていました。
部長に至っては、6回生だと聞きました。
でもなぜか、常識やルールからちょっと外れた人たちほど、音楽や芸術の世界では、危うい異才を放っているような錯覚に陥ることも事実です。
少なくとも、普通の暮らしをしてきた田舎女子の目には、2人の先輩たちにはちょっとしたカリスマ性があるように見えました。
講堂のステージの真ん中で、WANDS先輩は2枚目の声を出していいました。
「…よく、好きだとか、特別だ、とかぼくがそんな風にみえることがあったとしても。それは大抵の場合、勘違いです。恋というのはたぶん、まぼろし。…幻影なんです。」
大学5年間の間に、どんな経験をしてきたのでしょうか。多分彼は相当、浮き名を流してきたのに違いありませんでした。
「やっぱり、ナルシストだね…。」
隣の紗羽子が冷静に感想を述べました。彼女の機嫌悪くなる前に、そろそろ帰らせなくては。
(あーあ。どこかに骨太ヘッドバンガーいねぇかなあ。)
私はグラムロック風の渋いシャツを着た6回生の部長に退部の意を伝えました。
そこからBANDのメンバー探しの旅がまた始まりました。
