【ファンタジー小説】第十三話 魔女の森とラジオ 『今日も魔女の住む森で 機械仕掛けのワンダーランド編』
台風が去り、すっかり静かになった魔女の森。
そこには、魔女と『紫の霧のペンダント』を首から下げたヒグマにぴったりとくっついて暮らす、ぬいぐるみたちと日記ちゃんの姿がありました。
超合金ハリケーンパンチによって殴り飛ばされた増幅装置を湖から引き揚げて、再び組み立てるのはとても大変な作業で時間がかかりそうでした。
しかし、ある日の朝のこと。
ぬいぐるみたちと日記ちゃんが仲良く手を繋いでキノコ狩りに出かけると、大杉の周りに紫の霧が立ち込めているのを見つけました。
紫の霧は少しずつ元の姿に戻ろうとしていました。
あの台風の日以来、SNSには超合金ハリケーン・ベアが街中で未確認飛行物体を撃退したという信じられない噂が証拠映像とともに大量に出回りました。
それに、喋るシロクマとウサギの噂も……。
魔女とぬいぐるみたちは、紫の霧が戻ってきているのは、その映像を見た人たちが夢を見たり、空想したりすることの楽しさを思い出したからじゃないかと、冗談交じりに話していました。
しばらくすると、世間では「SNSの映像はどうせAI生成動画だろ」という意見が大勢を占め、すっかりブームが去ってしまったのですが、それでも紫の霧は広がり続けました。
「やっぱり、先生のおかげだね!」
先生がどこかで、みんなのことを想って夢を見続けてくれている。
ぬいぐるみたちはそんな風に信じるのでした。
そんなある日。
魔女とぬいぐるみたちが魔女の家でおやつに、「苺とブルーベリーのタルト」を食べながらラジオを聴いている時のことです。
【ラジオパーソナリティー】
続いてのお便りは、ペンネーム『森の先生』さん。
『森の皆さん、お元気ですか? 私は皆さんとの楽しい思い出とともに、元気でやっています。リクエストはもちろんこの曲』 ……とのことです。
それではお聴きください。
『超合金ハリケーン・ベアのテーマ』
スピーカーから流れ出したお馴染みの激しいギターのイントロに、ウサギの耳がピンと立ち上がり、フクロウは翼をバサッと広げ、ヒグマとシロクマがパッと顔を見合わせて笑いました。
魔女も優しく微笑みながら、みんなと一緒に拳を振り上げて歌いました。
『嵐と共にやってきて♪
平和を守る無敵の力♪
悪い奴には一撃必殺♪
今だ!
行くぞ!
超合金ハリケーン パーーーンチ!!』
窓の外では、豊かに蘇った紫の霧が、秋の柔らかな日差しを浴びてキラキラと輝いていました。
おしまい

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