雨の日だって楽しい【ぬいぐるみたちのやさしい物語】
外はあいにくの、いえ、2匹のクマたちにとっては最高の雨模様でした。
ヒグマとシロクマは、雨の日に外で遊ぶのが何よりも大好きなのです。
ザーザーと降る雨の中、2匹は庭に飛び出すと、大きな水たまりを見つけて大はしゃぎ。

「見てて、シロクマ!大ジャンプだよ!」
ヒグマが勢いよく水たまりに飛び込むと、泥水がバシャーンと高く跳ね上がりました。
「すごい!わたしも負けないから!」
シロクマも一緒になって泥の中に飛び込みます。
右に転がり、左に寝そべり、気がつけばヒグマもシロクマも頭から足の先まで泥だらけ。
本来の毛並みが何色だったのか分からなくなるほど、見事な泥色に染まっていました。
その頃、リビングの窓から外を眺めていた魔女は盛大にため息をついていました。
「あ~あ、またやってる。……まぁ、楽しそうだからいいんだけどさ」
魔女はこうなることを見越して脱衣所に特大のバスタオルを用意し、お風呂場の準備を始めます。
やがて、満足するまで遊び尽くした2匹がトボトボと玄関に入ってきました。
「ただいま。泥だらけになっちゃった」
「これじゃ、ヒグマみたい!」
2匹は慣れた足取りで脱衣所へ向かうと、洗濯機のフタを自分たちで開けました。
そして、窮屈そうに体を丸めながら2匹並んで洗濯槽の中へと器用に入っていくのです。
「はいはい、動かないでね。洗剤入れるから」
魔女がポチッとスタートボタンを押すと洗濯機はいつものようにウィーンと音を立てて動き出し、勢いよく水が流れ込んできました。
ヒグマとシロクマは、狭い洗濯槽の中でちょこんと綺麗に背筋を伸ばして立ち、目を閉じてじっとしています。
水と洗剤が混ざり合い、洗濯槽が左右にゆっくりと回り始めると、2匹もその動きに合わせて中で一緒にゆっくりと左右に回っていました。
やがてすすぎが終わり、洗濯機はいよいよ「脱水」の工程に入ります。
ゴーーーッと音を立てて洗濯槽が高速回転を始めると、2匹は遠心力で洗濯槽の壁にピタッと張り付きました。

「目が回る~!」
「飛ばされちゃう~!」
目を白黒させながらも、2匹はなんだかアトラクションに乗っているみたいで少し楽しそうです。
「よし、脱水完了!」
ピーピーという終了音とともに魔女がフタを開けると、すっかりピカピカの毛並みに戻った2匹が顔を出しました。
しかし、高速回転でぎゅっと絞られた2匹は水分が抜けていつもより少しスリムになり、心なしかお互いにペシャンコに寄り添っているようでした。
ここからが魔女の本当の仕事でした。
魔女は両手に大きな業務用ドライヤーを持つと、ぶおぉぉーっ!と凄まじい温風を吹き付けます。
「うわぁ、あったかいねぇ」
「極楽、極楽……」
ヒグマとシロクマは、風に吹かれて顔の毛をなびかせながら本当に気持ち良さそうに目を細めています。
魔女が「はい、右向いて」「次は後ろ」と指示を出すと、2匹は言われた通りにくるくると向きを変え、綺麗に立ったまま乾かされていきました。
温風をたっぷり浴びるうちに、絞られて縮んでいた毛並みはどんどん空気をつつみ、元のふっかふかな姿へ膨らんでいきます。
しばらくして、まるでお日様の匂いがするような元の姿に戻った2匹。
「ありがとう!」
と嬉しそうに笑う2匹を見て、魔女は「どういたしまして」と微えみました。

(※記事内のイラストはAIによって生成されたものを使用しています)
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