窓口の前で、少し緊張してしまう方へ
■ 窓口という場所
市役所の窓口。
年金事務所の窓口。
運輸支局の窓口。
法務局の窓口。
——こうした官公庁の窓口に行く時、少しだけ、緊張する。
そういう方は、多いのではないでしょうか。
・書類は、これで合っているだろうか
・何か指摘されたら、どうしよう
・専門用語で説明されても、分からなかったらどうしよう
・順番が来るまで、なんとなく落ち着かない
——手続きの内容そのものより、窓口に行くこと自体が、少し重い。
今日は、その「窓口」という場所について、少しだけ書いてみたいと思います。
■ なぜ、緊張するのか
窓口の前で緊張するのは、なぜでしょうか。
理由の一つは、言葉だと思います。
官公庁の手続きには、独特の言葉が、たくさん出てきます。
申請、届出、認可、受理、補正——
普段の暮らしでは、あまり使わない言葉たちです。
その言葉の並んだ書類を前にすると、私たちは、外国に来たような、少し心細い気持ちになります。
もう一つの理由は、「間違えてはいけない」という気持ちだと思います。
役所の手続きは、なんとなく、「正しくやらなければいけないもの」という空気をまとっています。
だから、窓口の前で、私たちは、試験を受ける時のような気持ちに、少しだけなってしまうのです。
■ 窓口の向こう側にも、人がいる
けれども、13年この仕事をしてきて、思うことがあります。
窓口の向こう側にも、人がいる
——ということです。
窓口の職員の方々は、制度を盾に構えているわけでは、ありません。
毎日、たくさんの書類と向き合いながら、間違いのないように、丁寧に確認する仕事を、真面目にされています。
書類に不足があれば指摘するのは、意地悪ではなく、後でその方が困らないためです。
こちらが分からないことを、分からないと伝えれば、たいていの窓口は、ちゃんと教えてくれます。
——窓口は、壁ではなく、本当は、橋なのです。
ただ、制度の言葉と、暮らしの言葉が違いすぎて、その橋が、少し渡りにくくなっている。
——それだけのことなのだと思います。
■ 行政書士は、通訳のような仕事
私は、行政書士という仕事を、時々、通訳のようなものだと感じています。
制度には、制度の言葉があります。
暮らしには、暮らしの言葉があります。
「相続で、車の名義を変えたいんです」
——という暮らしの言葉を、
移転登録という制度の言葉に、翻訳する。
「この書類の、この欄が足りません」
——という制度の言葉を、
「つまり、こういうことを確認したいそうですよ」と、暮らしの言葉に、翻訳し直す。
——その往復を、ご本人の隣で、静かにやる仕事です。
通訳が隣にいると、外国でも、安心して話せるように。
言葉の橋渡しをする誰かがいるだけで、窓口は、ずっと渡りやすい場所になります。
■ 緊張するのは、真面目な証拠
最後に、一つだけ、お伝えしたいことがあります。
窓口の前で緊張するのは、真面目な証拠です。
・間違えたくない
・迷惑をかけたくない
・きちんとやりたい
——そう思うからこそ、緊張するのです。
いいかげんな気持ちの人は、緊張しません。
だから、窓口の前で少し身構えてしまうご自分を、責めなくて大丈夫です。
その緊張は、手続きに、誠実に向き合っている証なのですから。
■ 結び
官公庁の窓口は、少し緊張する場所です。
けれども、その向こう側にも、真面目に働く人がいて、
分からないことは、聞けば教えてもらえて、
どうしても言葉が難しい時は、通訳の役割をする人間もいます。
窓口は、壁ではなく、橋です。
もし、これから何かの手続きで窓口に行かれる方がいたら——
深呼吸を一つして、分からないことは「分かりません」と、そのまま伝えてみてください。
それだけで、窓口は、思っているより、ずっと優しい場所になります
