6年半ぶりの京都で、流れに身を任せてきた
京都へ、一泊二日の短い旅。
選んだのはちょっと背伸びなホテルに、特別拝観チケットつきのプラン。
出発の日が近づくほど、行きたい場所やお店がいくつも浮かぶ。
プランにあるホテルとお寺は初めて向かうところで、効率よく回るには地図を見ねばと焦る。
以前は毎年訪れていたし、日本だし都会だし、どうとでもなるでしょ、と妙な自信で打ち消す。
結果、行きの2時間半の新幹線で、1日目の道順を3パターン考えた。
「なんとかなりそう」
京都駅に降りると「やっと帰ってきた!」と高揚する。
特別拝観のチケット交換をつるりと終える。
「幸先いいな」とほくそ笑み、想定より30分早いバスに乗り込んだ。
なめらかに走るバスの中、スマホでルート確認するわたしのアタマに急ブレーキがかかった。
『拝観料は現金のみ』の赤い文字に「現金、下ろしてない!」
額にじわりと汗が滲む。
泣く泣く途中下車してコンビニで現金を下ろす。
「手数料なぁ……」と、もれるため息。
幸い、行きたいお寺までは徒歩圏内。
気を取り直して歩き出すと、息をするたび、土と雑木林の匂いが入ってくる。
時雨れるからか、空気に潤いを感じる。
足取りは軽く、歩幅は大きくなる。
「散歩、アガるなあ」
冷えるけれど柔らかい空気に誘われて、お寺をふたつ、歩いて巡った。
わたしが旅先で必ず訪れることにしているのは、地域密着タイプのスーパーマーケット。
その土地の、飾らない食文化に触れるのが楽しみ。
お寺めぐりからホテルへ向かおうと乗った市バスは経路違いで、
「また降りなきゃ……」としょげたところに、ひょっこり、地元のスーパーと出会った。
「もう、入る流れだな、こりゃ」
気になっていた地元のプリン屋さんの商品を見つける。
惣菜コーナーで初午(はつうま)という風習、いなり寿司を食べる慣習をはじめて知る。
スーパーを楽しみ、今度こそ目的の市バスに乗れば、アメリカ発の系列ホテルに着く。
アンバーのガラス扉を入る。
高い天井に整ったバースペース。
「ちょっと背伸びと思って来たけど……まるで海外……?」
勝手のわからなさに、くっとのどが詰まりかける。
「このさい、教わろう」と腹をくくって尋ねると、こちらが選べるように使い方を教えてくれるフロントスタッフ。
勇気とお金を出してバーに入ると、わたしが困る直前に声をかけてくれるバースタッフ。
気づけば、ワイン一杯で半刻もくつろいでいた。
あるようでない旅の計画。
しょげても緊張しても、気づけばするんと馴染んでいる。
流れに身を任せたら、想定外の、心地よい時間が待っていた。
夕飯は、スーパーで求めたいなり寿司で済ませた。酢飯ではなく、出汁のきいたやさしい甘さに頬がゆるむ。
眠る前に銀行口座を確認していると、コンビニの手数料は無料だった。
「やった!」
じわりと、喜びが湧いた。
─ 旅をする 1─
