蟹座・沼恋編 愛してはいけない人なのに、もう彼から離れられない
この物語は、恋愛フィクション小説です。皆様楽しんでくださいね💗
1.出会ってはいけない人
アイがハヤトに出会ったのは、偶然だった。
仕事帰りに立ち寄ったカフェで、隣の席に座っていた男性。それがハヤトだった。
「すみません、これ落としましたよ」
そう言って、アイのハンカチを拾ってくれた。
ただ、それだけだった。
なのに、その瞬間に見せた彼の笑顔が、なぜかアイの心に残った。
優しくて、穏やかで、どこか寂しそうな笑顔。
そのときのアイは、まだ知らなかった。
この人を好きになってはいけない。
そう思うほど、深く愛してしまうことになるなんて。
2.優しい人
それから二人は何度か偶然会うようになった。
ハヤトはいつもアイを気遣ってくれた。
「ちゃんとご飯食べてる?」
「最近、疲れてるんじゃない?」
ほんの些細な言葉だった。
でも、アイにはその優しさがたまらなかった。
誰かに心配してもらえることが、こんなにも嬉しいなんて思わなかった。
ハヤトと話していると、自分が大切にされているような気がした。
だからアイは、少しずつ彼を目で追うようになった。
会えない日は、何をしているのか気になった。
メッセージが届けば嬉しくて、返事が遅ければ不安になる。
まだ恋だと認めたくなかった。
でも、もう始まっていた。
3.愛してはいけない理由
ある日、アイはハヤトの秘密を知った。
彼には、簡単には離れられない家族がいた。
その家族との関係は、普通の恋人なら受け入れられないほど複雑だった。
ハヤトは苦しそうに話した。
「俺には、どうしても守らなきゃいけない人がいるんだ」
その言葉を聞いた瞬間、アイの胸が痛くなった。
彼には彼の人生がある。
自分が入り込んではいけない場所がある。
頭では分かっていた。
だからアイは言った。
「もう、会わないほうがいいよ」
ハヤトは何も言わなかった。
ただ、悲しそうにアイを見つめていた。
その目を見た瞬間、アイは自分の決意が崩れていくのを感じた。
4.別れられない
「分かった」
ハヤトは静かに答えた。
その一言が、アイには耐えられなかった。
もっと引き止めてほしかった。
「行かないで」と言ってほしかった。
なのに彼は、何も言わなかった。
帰宅したアイは、ベッドに横になって何度もスマートフォンを見た。
連絡は来ない。
当たり前だ。
自分から別れを告げたのだから。
それなのに、涙が止まらなかった。
「これでいいの」
何度も自分に言い聞かせた。
愛してはいけない人なのだから。
苦しくなる恋なら、終わらせたほうがいい。
そう思っていた。
その夜、スマートフォンが震えた。
『ちゃんと帰れた?』
ハヤトからだった。
たった一言。
それだけで、アイはまた彼のところへ戻ってしまった。
5.優しさは嘘なの?
それから二人は、離れたり近づいたりを繰り返した。
アイは何度も決心した。
今度こそ別れよう。
今度こそ忘れよう。
でも、ハヤトから優しい言葉をもらうと、その決心は簡単に消えてしまった。
「無理しなくていいよ」
「アイが笑ってくれてるだけで嬉しい」
「辛いときは俺に話して」
その言葉が、本当に優しさなのか分からなくなった。
もしかしたら、ハヤトはアイを繋ぎ止めるために言っているだけなのかもしれない。
もしかしたら、自分は騙されているのかもしれない。
そんな疑いが、少しずつ心に芽生えていった。
それでもアイは、彼の声を聞きたかった。
矛盾していた。
疑っているのに、好きだった。
6.疑うほど好きになる
アイは友人に相談した。
「そんな人、やめたほうがいいよ」
当然の答えだった。
「もっと普通の恋をしたほうがいい」
それも分かっていた。
普通に恋をして、普通に会って、普通に一緒に笑う。
そんな恋のほうが幸せなのかもしれない。
でも、心は言うことを聞かなかった。
ハヤトのことを考えないようにすると、余計に彼を思い出してしまう。
会わないと決めた日は、時計ばかり見てしまう。
メッセージが来ないだけで、不安になる。
そして連絡が来れば、一瞬で安心する。
「どうして私は、こんなに弱いんだろう」
アイは自分を責めた。
でも、本当は弱いのではなかった。
それだけ深く、誰かを愛してしまったのだ。
7.彼の言葉を信じたい
「俺のこと、信じられない?」
ある夜、ハヤトが聞いた。
アイは答えられなかった。
信じたい。
本当は、心から信じたい。
でも、怖かった。
「あなたの優しさが、本物なのか分からないの」
アイがそう言うと、ハヤトは黙った。
しばらくして、彼は小さな声で言った。
「俺だって、アイを傷つけたくない」
その言葉に、アイの胸が締めつけられた。
優しい。
やっぱり優しい。
だからこそ怖かった。
こんなに優しい人が、自分を傷つける未来が来るかもしれない。
愛してはいけないと分かっているのに、もっと好きになってしまう。
アイは自分の気持ちから逃げられなくなっていた。
8.離れようとするたびに
アイは何度も別れを切り出した。
「もう終わりにしよう」
そのたびにハヤトは、無理に引き止めなかった。
「アイがそうしたいなら、そうするよ」
その言葉が、アイには一番苦しかった。
本当に終わってしまう。
そう思うと、怖くなった。
「……ごめん」
「どうして謝るの?」
「私、やっぱり無理」
アイは泣いた。
ハヤトは何も言わず、ただアイの手を握った。
その温もりが、アイをまた彼のところへ戻した。
「離れたくない」
とうとうアイは言ってしまった。
ハヤトは何も言わなかった。
ただ、強く手を握り返した。
その瞬間、アイは悟った。
もう、自分はこの恋から抜け出せない。
9.蟹座のような愛
アイは、自分でも不思議だった。
どうしてここまで彼を大切に思うのだろう。
彼の幸せを願ってしまう。
彼が苦しんでいると、自分まで苦しくなる。
彼が笑えば嬉しくなる。
彼が悲しめば、そばにいてあげたくなる。
自分が傷ついても、彼を嫌いにはなれなかった。
むしろ傷つくほど、彼を守りたいと思ってしまう。
それは、アイの持っている深い愛情だった。
一度心を許した相手を、簡単には見捨てられない。
だからこそ、この恋は沼だった。
抜け出したいのに、抜け出せない。
忘れたいのに、忘れられない。
そして今日も、アイはハヤトを想ってしまう。
10.騙されていてもいい
ある日、アイはハヤトに尋ねた。
「ねえ、私のこと、本当に好き?」
ハヤトは少し驚いた顔をした。
そして、アイの目を見つめた。
「好きだよ」
その答えを聞いても、疑いは消えなかった。
本当なの?
嘘じゃないの?
自分を繋ぎ止めるために言っているだけじゃないの?
そう思ってしまう。
それでもアイは、彼の胸に顔を埋めた。
「私、あなたのこと信じたい」
ハヤトは何も言わず、アイを抱きしめた。
その腕の温かさに包まれて、アイは目を閉じた。
騙されているのかもしれない。
それでも今だけは、この優しさを信じたかった。
11.愛してはいけない恋
友人からは、何度も言われた。
「その恋は、あなたを幸せにしないよ」
きっと正しい。
アイ自身も分かっている。
未来が約束された恋ではない。
誰にも祝福されないかもしれない。
何度泣くことになるかも分からない。
それでも、好きになってしまった。
恋は、頭で選べるものではなかった。
「この人を好きになろう」と決めたわけではない。
気づいたときには、心の中にハヤトがいた。
そして、消そうとするほど大きくなっていった。
だからアイは思った。
愛してはいけない人を好きになったことを、今は後悔しないでおこう。
たとえ苦しくても、この気持ちだけは嘘ではないのだから。
12.それでも会いたい
数日間、二人は会わなかった。
アイは少しだけ冷静になれると思っていた。
ところが、時間が経つほどハヤトに会いたくなった。
声が聞きたい。
顔が見たい。
笑っているところが見たい。
そんなことばかり考えていた。
そして夜、ハヤトからメッセージが届いた。
『元気?』
たった三文字だった。
それだけなのに、アイの胸はいっぱいになった。
『会いたい』
気づけば、そう返信していた。
送信したあと、アイは後悔した。
また戻ってしまう。
また傷つくかもしれない。
それでも、返信を待ってしまう。
しばらくして届いた。
『俺も会いたい』
アイはスマートフォンを胸に抱きしめた。
もう、どうなってもいい。
今は彼に会いたかった。
13.あなたを選んでしまう
二人で会った日、ハヤトはいつもと変わらなかった。
優しくて、穏やかで、アイを気遣ってくれる。
「最近、ちゃんと眠れてる?」
「食事は?」
その言葉に、アイは泣きそうになった。
やっぱり好き。
どうしても好き。
「私ね、あなたといると怖いの」
アイは正直に話した。
「いつか捨てられるんじゃないかって思う」
ハヤトは黙ってアイを見つめた。
そして言った。
「ごめん。でも、今の俺にはアイを簡単に手放せない」
その言葉に、アイの涙がこぼれた。
正解なんて分からない。
未来も分からない。
それでも今、目の前にいる彼を選んでしまう。
それがアイの恋だった。
14.沼の底で
帰り道、アイは一人で歩いていた。
自分はどうして、こんな恋をしてしまったのだろう。
もっと簡単な恋ならよかった。
もっと幸せになれる恋ならよかった。
何度もそう思った。
でも、心の奥では分かっていた。
ハヤトに出会わなければ、知らなかった感情がある。
誰かをこんなにも大切に思うこと。
誰かの幸せを、自分の幸せより願うこと。
そして、失うことが怖くて泣いてしまうほど好きになること。
それは苦しい。
だけど、嘘ではない。
アイは夜空を見上げた。
「私、まだあなたから離れられないよ」
誰もいない場所で呟いた。
その言葉は、ハヤトには届かなかった。
それでもアイの心には、はっきり響いていた。
15.もう、戻れない
愛してはいけない。
そう思っていたはずだった。
騙されているかもしれない。
いつか傷つけられるかもしれない。
それでも、アイはハヤトを嫌いになれなかった。
むしろ、知れば知るほど彼を大切に思った。
「もう、戻れないんだね」
アイは小さく笑った。
恋をする前の自分には戻れない。
彼を知らなかった頃にも戻れない。
だったら、今はこの気持ちを抱えて生きていこうと思った。
幸せになれる保証なんてない。
正しい恋だとも言えない。
それでも、誰かを愛したという事実だけは消えない。
ハヤトの優しさが嘘だったとしても。
いつか別れる日が来たとしても。
今、彼を愛している気持ちだけは本物だった。
アイはスマートフォンを握りしめた。
そして届いた一通のメッセージを見る。
『今日はありがとう。また会おうね』
アイは涙を浮かべながら微笑んだ。
「うん。また会いたい」
その瞬間、アイはまた深い恋の沼へ沈んでいった。
(了)
🌸 メンバーシップへようこそ 🌸
ここでは一般公開していない**「繊細さんのための潜在意識講座」**や、心が軽くなる考え方、龍神エネルギーのお話などをお届けしています。
毎日を少しでも前向きに、自分らしく歩んでいけるような場所を目指しています。
あなたとのご縁を、心よりお待ちしています。
いつも読んでくださり、本当にありがとうございます。
皆さまの「スキ」やコメント、フォローが創作を続ける大きな励みになっています。
恋愛物語や占い、心が少し軽くなるような記事をこれからもお届けしていきます。
「また読みたい」と思っていただけましたら、ぜひフォローしていただけると嬉しいです。
これからも華龍をよろしくお願いいたします。
この記事を書いている私は、占い師として活動するために「ゆりか占いスクール」で学んでいます。
運営されているのは、占い師ゆりかこと高木優里香先生です。
占術の知識だけではなく、鑑定の伝え方、占い師として活動方法、集客やAI活用についても学んでいます。
「華龍の紹介と言ってもらえれば特典がつきます!!」
下記から申し込めます↓
