見出し画像

カンブリア爆発の前夜――5億4000万年前の海に何がいたのか

こんにちは!

突然ですが、「カンブリア爆発」って聞いたことありますか?
約5億4000万年前、地球の海で多種多様な動物が一気に出現したとされる、生命史最大のビッグバン。教科書にも載っている有名な出来事です。

ところが最近、中国・雲南省で見つかった化石群が、その"常識"を揺さぶりはじめているんです。

■ 江川生物群、700点超の化石が語る"前史"

約5億5400万〜5億3900万年前の江川生物群の復元図。エディアカラ紀末の海には、すでに多様な動物群が存在していた可能性がある。Credit: Xiaodong Wang

発見されたのは「江川生物群(Jiangchuan Biota)」と呼ばれる化石群です。場所は中国・雲南省、年代はカンブリア紀の直前、エディアカラ紀末の約5億5400万〜5億3900万年前。

出土した化石はなんと700点以上。しかも保存状態が良く、体の内部構造まで読み取れるものもあるんです。研究論文は「Science」誌に掲載されました。

■ カンブリア爆発の前に、すでに舞台は整っていた

江川生物群から見つかった化石(左)と復元図(右)。エディアカラ紀末に、すでに現代的な動物群につながる特徴が現れていた可能性を示す。Credits: Gaorong Li (fossil photographs) and Xiaodong Wang (artistic reconstruction)

この化石群が特に注目される理由は、含まれる生物の多様さです。

左右相称動物、後口動物系統の初期メンバー、さらにカンブリア紀に典型的だと思われていたタイプに似た動物まで見つかっています。

つまり、「突然始まった」と言われてきたカンブリア爆発の少し前に、すでに現代型動物の原型がかなりそろっていた可能性が出てきたんです!オックスフォード大学の研究チームは、この生物群を"エディアカラの奇妙な世界からカンブリアの現代型動物世界への移行的な群集"と位置づけています。

■ なぜ今まで分からなかったのか

江川生物群から見つかった新発見の化石の一つ。保存状態の良さが、この時代の動物進化を読み解く鍵になっている。Credit: Gaorong Li

じつは、今回の化石が見つかったのは「炭質フィルム」として保存されていたから。体の細部がそのまま記録されており、摂食構造や腸のようすまで観察できる標本もあります。

これまで見つからなかったのは、本当にいなかったからではなく、たまたま見える形で残りにくかっただけかもしれない。「いない=存在しなかった」ではないという、科学の難しさを感じさせますよね。

この江川生物群は、化石記録と遺伝学が示す系統分岐の年代のズレを埋める、貴重な実物証拠としても注目されています。

■ おわりに

カンブリア爆発は"突然の爆発"ではなく、長い助走の末に訪れたものだったのかもしれません。後口動物系統の早期メンバーが含まれるということは、私たちヒトにつながる系統の起源にも影響する発見です。

中国・雲南省の海底に静かに眠っていた小さな化石が、生命進化の"前夜"を初めて具体的に見せてくれる——そんなロマンがある発見だと思いませんか?

最後まで読んでいただきありがとうございました!

いいなと思ったら応援しよう!