今年亡くなった兄をアボカドにした話
2月に兄が亡くなった。
私にとっては3人いる兄のうちの、1番上の兄だった。
両親は健在。
親より早く逝ってしまった。
新盆のため、兄の家にお坊さんがお経をあげに来てくれた。
お葬式で全く泣けなかった父が、今回は遺影を見て涙がとまらなくなってしまった、と電話で話してくれた。
私は離れた所に住んでいるので、その話を父から聞いて自宅に飾ってある兄の写真を眺めた。
兄ちゃん、どこに行ってしまったのかな…
ふと、1か月前にスーパーで買ったアボカドがおいしくて、種を水耕栽培していたものが目に入った。
最近、パカーンと割れて根も出てきた。
ネットニュースで種から育てたアボカドが20年後、たわわに実り、今では2~30個収穫して食べています、という記事を見たばかり。
そうだ!兄ちゃんをアボカドにしよう!

兄が火葬されて遺骨になった日、遺骨の置かれた部屋に大きな大きなスイッチョン(ウマオイ)が現れた。緑色のバッタのような昆虫。
寒い時期の2月、ウマオイが出るはずはなく、そこにいるみんなが兄がスイッチョンになって出てきた!!と、どよめいた。
どうしても、いなくなってほしくなくて目に見える何かに、みんなが兄を重ねた。
私の種好きは今に始まったことではなく、おいしい果実を食べると種を洗っては、庭のプランターに埋めている。
以前、勤めていた会社でお客さんから、ポンテローザという品種のレモンをいただいた。
グレープフルーツほどの大きさの特大レモン。
会社のみんなですっぱい、すっぱいと笑いながらレモンをかじった。
また、ある時はお義母さんから、みかんとオレンジをかけ合わせた「紅マドンナ」という、とてもおいしい柑橘をいただいた。
嬉しかったり、おいしかったりした思い出の種は、そっとプランターに埋めている。

右は今年種を埋めた紅マドンナの苗🍊
兄は自分がアボカドにされたことを怒るだろうか?
「ば⁉︎瞬。俺もっとかっこいいべー!!」
と、笑顔で話す兄の顔が浮かぶ。
兄ちゃん、もしアボカドが20年後実ったら、オリーブオイルかけて食べちゃうからね。
もし、枯れたら、今度は別なものにするよ。みかんでいい?
ふと、兄が笑った気がした。
