カラス
どこに飛んでいくの?なにが見えてるの?
そこにはなにがあるの?
君から見るこの世界はどうだい?
しなやかに両翼をなびかせてどこかへ飛んでいく君は、
ホームでただ電車を待つだけの、僕にはすごく輝いて見えたんだ。
夕日のせいじゃないよ。
真っ黒なはずの君が光を放ってた。
下へ下へ重力に従って生きるより、
上へ上へ自分の思うままに飛んでいきたいな。
どこにも身体が接着していたくなんかないんだ。
何かの一部になんてなりたくない。
こんな汚いコンクリートになんか触れていたくない。
どこみても、灰色の世界。
人々は、白も黒も使う勇気がないのだろう。
中途半端だってうっすら皆気づいてる。
本物なんてこの世界にはない。偽物ばっか。
なぜ皆は灰色の家を出て、灰色の道を歩いて、灰色の景色に憧れるの?
そんなことをおもう自分も、
今持つ灰色のスマホの先に、着衣している灰色のズボンがあって、灰色の電車に揺られている。
みんなみんな、灰になっちゃえばいいのに。灰と一緒になっちゃえばいいのに。
とはいえない自分もまた灰色なのだな。
真っ黒なカラスはどこかへ旅立っていった。
せめて、その姿が小さく見えなくなるまでは目に焼けつけようと思ったのに
君はすぐ角を曲がり、その姿は、灰色のビルのせいで見えなくなってしまった。
おいていかないで。ぼくもつれてって。
