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芸能人の不幸な話を聞くと卑屈になるんだよね。


芸能人の不幸のニュースを見ると、卑屈さが暴れだす。

私よりも金もあり良い暮らしができ、生まれ持った才能を社会的にも認められている。それなのに不幸に陥るのなら、私だってとっくにダメになっている。だけど、私がダメになったところで何もならず皆いつも通りの日常を送るのだ、と思ったら、私の中の卑屈さが言葉として外にまで出始めた。

金夜から土日にかけて卑屈すぎて、何もできなかった。夫に良かったことの報告されても
「良かったね。どうせ、私なんて、、」
が始まる。非常に面倒い女である。
夫が楽しかった子供時代の話をすると
「幸せだったんだね。私もそうなりたかった。」
という。夫が励まそうと
「でも、今幸せでしょ。」
という。卑屈な女は
「今が幸せになったとして、昔の不幸が帳消しになるわけじゃない。」
と言って再び闇に消える。

闇に消えた女は、夫の車の助手席を乗せられて高速を渡った。着いた場所は昔、卑屈な女が1人暮らしをしていた場所だった。遠距離恋愛をしていた当時を思い出し、夫と過去を振り返った。卑屈な女が少しだけ闇から出てきた。

再び助手席に乗って、当時よく行っていたイオンモールに着いた。夫は
「あの頃のデートスポットと言ったらここだよね。」とルンタルンタしながらベビーカーを押してイオンを歩いた。

イオンのフードコートのキッズスペースに席を確保した。始めて使うキッズスペースに夫は
「赤ちゃんはあの時の俺ら知らないんだもんな。」
としみじみする。卑屈な女も、時間の流れに身を委ねてパスタをすする。

帰りは、昔の思い出の場所を辿りながら少し遠回りして高速に乗った。卑屈な女は窓の外から流れる景色を見て、当時と変わったお店を探しては夫に逐一報告した。それに1つ1つリアクションを取る夫をみて卑屈な女は満足した。卑屈な女は闇の中から夫の手により掬い上げられた。

掬い上げられた女はチャイルドシートに乗って寝ている赤ちゃんを見た。

掬い上げられた女は再び元に戻り、子供のとき自分が言われたかった言葉を我が子に投げかける。

大好き。

と言ってみる。

大好き大好き大好き、ずっと好き、

一生そう言えるように救われた女は夫に感謝する。

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