川を下り そして海へ
Flowing from the river to the sea.
大型バスのようなジェット船が、ゆったりと流れを下って行く。
水辺の席に腰かけた二人は、船ばたをたたくピチャピチャという水音を聞きながら、まわりの山々を見上げて、はしゃいでいた。
山で生まれた美桜とメイが、川を下り 海に向かっている。
親戚のおばちゃんを訪ねて、一日かけての旅だ。
朝早く、父さんといっしょに
トラックでダム湖のある町まで出ると、そこで大きなバスに乗った。
途中でバスを降りて、船に乗り換える。
この先はまだ道路がないので、「船で川を下るんだよ」と教えられた。
父さんに連れられておばちゃんの家に、たどり着いたのは夕方で
クタクタの二人は、夕飯をごちそうになると、すぐに眠くなってしまった。
だが、翌朝は、張り切って早起きした。
楽しみにしていた海を見に行くのだ!
街を抜けて松林を少し歩く。
ザワザワとかすかな音が響き
枯れて砂地に落ちた松葉…海からの風に漂う匂い
すると、急に目の前が開け、柔らかく波立つ朝の海が広がっていた。

二人は足を止め、息をのんでうねる水面を見つめた。
押し寄せる波 その静かな力強さ!
これが 海…
これが 海なの ?
あんまり大きくて、美しくて… 二人は声も出ない。
こんな眺めは見たことがなかった。
ざざ〜 ざざ〜と寄せる波の音も生まれて初めて聞いた。
潮風の匂いも初めてだ。
山で育った二人にとって、それは夢のような別世界だった。
「すごい、海ってこんなに大きいんだ!」
「ずうっと続いてる…」
この水の塊りがどこまで続いているのか、二人は知るよしもない。
「あっちに行ってみようよ」
「うん」
魔法から解けたように、二人は砂浜を駆け出した。
息をはずませて駆けてゆくと、なにやらにぎやかな声がする。
漁師のおじさん達が大勢、海辺で網を引いていた。
おばさんや子供もいる。
立ち止まり目をまるくして見ていると
「あんたらも入いりぃ」
「さあ、入らんし」
おばさん達が声を掛けてくれた。
「え〜 どうしよう」
恥ずかしくて、おずおずと綱をにぎったが
いつの間にか、みんなといっしょに「よーいしょ よーいしょ」と声をあげていた。
やがて、海の中から重そうな長い網がズルズルと砂地に上がって来る。
中は、ピチピチ跳ねまわるサンマでいっぱいだった。

「ほれ、持ってけ!」
おじさんが、五、六匹ぐっとつかみあげて二人に差し出す。
銀色にピカピカ光って、水のしたたるサンマ !
いつしか陽も登り、海は青く輝き始めていた。

川を下り そして海へ
Flowing from the river to the sea.
すごい、海ってこんなに大きいんだ!
Wow, the ocean is so big!
いつしか陽も登り、海は青く輝き始めていた。
Before I knew it, the sun had risen,and the sea was now shine blue.
発音は こちらへ
Flowing from the river to the sea.
Wow, the ocean is so big!
Before I knew it, the sun had risen,and the sea was now shine blue.
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