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熱と筋肉痛 映画「梟」ネタバレ感想

映画「梟」のネタバレがあります

【あらすじ】
盲目の天才鍼師ギョンスは、病の弟を救うため、誰にも言えない秘密を抱えながら宮廷で働いている。しかし、ある夜、王の子の死を“目撃” し、恐ろしくも悍ましい真実に直面する。
見えない男は、常闇に何を見たのか?
追われる身となったギョンスは、制御不能な狂気が迫る中、昼夜に隠された謎を暴くために闇夜を駆ける―絶望までのタイムリミットは、朝日が昇るまで。

私の仕事は肉体労働であり、重いものを毎日運ぶ業種である。階段を駆け上るし、全速力で走る場面も多い。筋肉痛は日常茶飯事である。現在は腰痛を、先輩から教えてもらった、ロキソニンテープを大量に貼ってから無理矢理起き上がって治す方式で治しているが、これが本当に良いのかはわからない。仕事は体力を使うが、手が人よりも常に冷えている。パソコンとか段ボールとか、他人が触ったところを触るとだいたいみんな温かくてびっくりだ。なんで数秒触っただけなのに物体に熱がうつるんだ。時々、仕事でもたまに抱きついてくる人がいるが、(性的な意味ではなくコミニュケーションで)相手のほうが常に熱い。私は常に冷えている……冷えは身体に良くないというが、小さい頃から常に冷えていたので、これが普通であると思っていた。冷えに関しては、ちなみに何もしていない。好物は氷水である。

今回、主人公で盲人のギョンスは鍼師であるため、いろんな人の触診をする。近所の人から王様まで、身体に直接触り、患者の体温を見ながら治していくのだ。
その中で冷えについての話をめちゃくちゃしていた。やっぱり……お腹の調子が悪い王の側室にも言っていたし、咳が出る昭顕世子(王の息子。王子さまみたいな人)にも結構言っていた。ギョンスごめんなさい。休憩時間にはギンギンに冷えた緑茶をがぶ飲みしています。冷えは良くない。やはりそうなのか……

ギョンス役のリュ・ジュンヨルさん 
手がとにかく、手タレレベルで美しい

面白いと思うのは、側室と世子、2人の「体調不良は心理的原因」という事実を、側室は聞かれてもないのに自分から喋り、世子はギョンスから指摘されるということである。
どんな人の病気も心理的ストレスだと決めつける取引先のオッさんがいて、あまりに失礼すぎるので毎回腹が立っていたが、この映画を見て真っ先に彼を思い出した。よくわからないが、どんな病気でも全て、心理的ストレスが原因だと言っている。コロナで休んだ人にも、ものもらいになった人にも、骨折で休んだ人にも言っていた。ちなみにオッさん自身は、めちゃくちゃ元気である。100くらいまで生きそうだ。心理的ストレスとは……

王の孫、世子の子どもである若殿さまがおねしょをして、それを隠していてギョンスに出会う場面がある。若殿さまはギョンスが目が見えないと分かるやいなや「父や母の顔を見たことがないのか」と言った。父親である世子は清に人質に取られていたから、若殿さまも、父母の顔を大きくなるまで見たことがなかったのだ。同じように「見えなかった」エピソードから、若殿さまはギョンスを信頼するようになる。

若殿さま かわいい 
宮廷の中では元気に走り回っているイメージ

若殿さまのエピソードが示すように、この映画では肉体的な「見える、見えない」心理的な「見える、見えない」時間や場所的な「見える、見えない」が、複雑に絡み合っている。タイトルには「梟」とついているが、鳥の梟は瞳孔が大きく、弱い光に敏感な桿体細胞が網膜に多いため、夜目がきく。ただしその代償として昼間は眩しすぎるため、目を細めていることが多いらしい。この映画の主人公ギョンスも同じで、明るいところでは見えないが、暗くなると少し見える体質なのだ。宮廷ではそれを隠し、夜中に薬を整理するなどして立ち回り、腕の良い鍼師として知られるようになる。

施術の途中で世子から目が見えることを知られてしまったギョンスは世子に、「見えないほうが良いこともある、人々は盲人が見えることを好みません。私はそうして宮廷に来た」という意味のことを話す。
ギョンスは目の見えない場面でバカにされたり、騙されたりする経験を何度もしている。肉屋で少ない肉を渡されたり、宮廷の同僚からいじめのようなこともされている。不正を見ないようにしてじっとしているギョンスの生き方は、まさに宮廷では規範とされる「余計なことを見ない、聞かない」だった。
対して世子は、心理的方面で「見える人」だった。父親が清を恨み、頑なに清との友好を拒むことを国のためにならないと感じ、それをやめるように提言している。

世子役のキム・ソンチョルさん めちゃいい人

清と父親との板挟みは、彼の体調不良に拍車をかけている。世子は間違えた文字で手紙を書いていたギョンスに清の拡大鏡を渡し、正しい文字を書きなさい、きちんと見なければいけない。きちんと見ないことは体に悪い。と言う。しかし、その「ものごとを正しく見ようとする姿勢」を疎んじた父親から、殺されてしまう。この話は史実に基いており、こう記されている。

世子は、帰国後間もなく病にかかり、命を落とした。彼の全身は黒く変色し、目や耳、鼻、口から血を流した。彼の顔は黒い布で半分だけ覆われており、側近たちは、彼の顔の変色の原因を特定できなかったが、彼は薬物中毒によって亡くなったかのように見えた。

(朝鮮王朝実録 1645年6月27日)

ギョンスが王の子殺しを知り、宰相や若殿さまに向かって「私なら王様の右手を麻痺させられます」と言う場面がある。すごいなぁと思った。
王の殺人を認めさせるためには、左手で文字を書かせる必要があるのだ。実際に嘘の施術を行い、好転反応だと言って鍼を首に突き刺し、右手を麻痺させる場面を見ると、鍼治療めちゃくちゃ怖いな…と感じた。鍼治療にはいろんな効果があり、血液やリンパの流れが良くなる、脳内にモルヒネ様鎮痛物質が分泌されて痛みが和らぐ、針により体内に異物が入ることで、白血球が増加し、免疫力及び自己修復力が上がる、ホルモンなど、自律神経の働きが調整されるなどがある。私自身実際、仕事で足を怪我した直後に会社の健康診断に行ったら、白血球がすごい値になっていて恐怖を感じたことがあった。
人間の身体を快方に向かわせることができる鍼なら、その反対のこともできるのだ。なお、この右手麻痺中に、世子を殺した医者が怒鳴り込んできている。目が見えないとはいえ、ギョンスの肝の座り方がすごすぎる。

王役のユ・ヘジンさん 良い人の役しか見たことがなかったため、怖くて泣きそうになった
まさに麻痺する直前のところ

めちゃくちゃ怖いエピソード盛り沢山の映画だが、ギョンスの先輩、宮廷の中で助けてくれるアンパンマンみたいなぷくぷくした感じの人が良かった。彼はギョンスの目が見えないことをいいことに、「色男はつらいぜ〜」とか、「今から本を向こうで読んでくるぜ(本当は寝る)」とか、嘘ばっかり言うのだ。彼の場合、あまりにくだらない嘘しか言わないため、ギョンスの仕事には支障が及ばない。こういう人っていいよなあと思う。

パク・ミョンフンさんが演じています

高校時代、すごく声の小さい友だちがいて、時々何を言ってるのか本当にわからなかったけど、聞き返すとその都度激怒するため、あんまり聞き返したりせずに雰囲気で会話をしていた。ちなみに言っていることはほぼ悪口か下ネタだったので、この先輩を見て、その時のことを思い出してしまう。ちなみに友だちは弁論部に入っていた。本当に、何故なんだ。

人間は他人からいろんな影響を受ける。見たり聞いたりして、いい場合もあるし、悪い場合もある。だけど、そこからどのくらい吸収するかは人による。人間のいいところはそこだよな〜といつも思う。
手塚治虫のブラック・ジャックに、まさに「針」って話があって、吸収、と聞くといつもこの話を思い出してしまう。内容は、地震で静脈に間違って折れた針が入った患者をブラック・ジャックが救おうとするのだが、うまく血液の中から針を救出できない。そのうち針は、患者の体の中で行方不明になってしまう。ブラック・ジャックが言うセリフ「かってにしろ!」……数日後、ムシャクシャして病院に電話をかけるブラック・ジャック。なんと、針は患者の腕の動脈から発見されたという。身体をめぐって、どこも傷つけずに静脈から動脈へ移動してきたのだ。かなり悔しがるブラック・ジャック。ブラック・ジャックのエピソードの中でもいちばん好きかもしれない。
私は声の小さい友だちの言っていることをあんまりわからなかったけど、彼女と一緒にいるのが好きだった。友だちの清らかな雰囲気、森ガールみたいな外見だったけど言っていた下ネタの邪悪さくだらなさ、善と悪がマーブルみたいに混ざりまくって、それが一番の魅力になっていた。それらをうっすら横で感じながら海とかカラオケとか、いろんなところに一緒に遊びに行ったこととかを時々思い出す。
友だちと久しぶりに会ったとき、まだ小さい彼女の子どもと手を繋いだら、火のように熱くて驚愕し、思わずギャと声を出してしまった。まだ話せないし、すごく小さいのに握力が強くて、なんかこわい。彼女の旦那さんも暑がりで体温がとにかく高いらしい。子どもが、何を考えているのかは手を繋いでいてもわからない。まるであのころみたいだ。でも一生ずっとこのまま、この人には熱い火のような手のままでいてほしい。熱、逃げないでずっと、ブラック・ジャックが見逃した針みたいに、小さいこの人の体をめぐり、元気のもとであってくれと思った。
「梟」に関しては以下のトレーラーがカッコ良いのでおすすめです。


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