「第三の目」は、宇宙のアンテナじゃない──松果体という、光と時間のセンサーの話
みなさん、こんにちは。
「松果体を活性化させる」「サードアイを開く」という言葉を、耳にしたことがある方も多いと思います。宇宙のエネルギーを受信する器官、というような、少し神秘的なイメージを持たれている方もいるかもしれません。
でも、松果体について調べていくと、そこにあるのは神秘というより、とても具体的な、身体のしくみの話でした。今日はその話をさせてください。
光と時間を、静かに管理している器官
松果体は、間脳という場所にある、小さな内分泌腺です。網膜が受け取った光の情報を、視交叉上核という場所を経由して受け取り、夜になるとメラトニンというホルモンを分泌します。
メラトニンには強い抗酸化作用があり、深部体温を下げて、身体を休息モード(副交感神経が優位な状態)へと導いてくれます。私たちが夜、自然に眠くなっていくのは、この松果体の働きによるものです。
そしてもうひとつ。松果体を含む間脳のネットワークが落ち着いていると、脳全体に、リラックスした集中状態を示すアルファ波が、同調して広がっていきます。ヨーガの稽古のあとに感じる、あの「気のせいではない、たしかな心地よさ」は、この状態が起きているからだと考えられています。
つまり松果体は、宇宙からの信号を受け取るアンテナというより、光と時間という、とても地上的な情報を管理してくれている、身体のセンサーなんですね。
数字を追いかけるほど、遠ざかっていくもの
最近は、スマートウォッチなどでHRV(心拍変動)の数値を毎日チェックする方も増えました。整っているかどうかを、数字で確認したくなる気持ちは、私にもよく分かります。
ただ、数値を確認しにいくという行為そのものが、脳に小さな「評価」や「焦り」を持ち込んでしまい、かえってアルファ波が出にくい状態を作ってしまうことがあります。
整っている感覚は、視界がふっと広がったり、呼吸が滑らかになったりと、身体でちゃんと感じ取れるものです。数字は参考程度にして、まずは自分の感覚を、少しずつ信じ直していけたらと思います。
スートラに残る、光への集中
『ヨーガ・スートラ』第3章26節には、このような記述があります。
光の源にサンヤマ(深い集中)を向けることで、世界の仕組みについての知識が得られる
これは、内側にある光――間脳のあたり――に、静かに意識を合わせていく手順についての教えだと、私は理解しています。
同じスートラの第1章には、心が乱れたときに起こる状態として「ヴィヤーディ(心身の乱れ)」や「スティヤーナ(心の鈍さ)」といった言葉も出てきます。日々のストレスの中にいると、間脳への意識の通り道が、こんなふうに少し曇ってしまうことがあるのだと思います。
そして第1章33節には、「ウペークシャー」、つまり何が起きても、動じずに静かに見送る、という心のありようが説かれています。
子どもが何をしても、思わず怒らずにいられる。そんな状態のとき、松果体・間脳のシステムはとても穏やかに調律されていて、アルファ波が自然と満ちている状態なのだと思います。前回の記事でお話しした「失敗しても笑っていられる」感覚と、実はつながっている話なんですね。
地に足をつけてから、光へ向かう
この状態に近づいていくための手順は、実はとてもシンプルです。
まず、アサナで骨盤まわりの緊張を、丁寧にゆるめていくこと。地に足がついている感覚を、身体から取り戻していきます。
次に、吐く息を少し長くしながら、細かい雑念を追いかけすぎず、視界を少し広く持ってみること。
これを続けていくと、間脳のシステムが自然と落ち着いていき、アルファ波が無理なく増えていきます。
もうひとつ、付け加えたい大事なことがあります。
指導する側の人間が、日常の中でこの穏やかな状態にいられていると、その場にいる人たちの神経系も、なんとなくつられて落ち着いていくことがあります。これは、ミラーニューロンを通した、人と人との静かな共鳴のようなものだと思っています。
だからこそ、まず自分自身が整っていることを、私はとても大切にしています。
今日も読みに来てくださって、ありがとうございました。
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