3日目:ユニバース25
啓介です!
今回も記事を開いていただきありがとうございます^_^
先日ユニバース25という実験の論文を読んだので、その要約と感じたことをまとめようと思います。
ユニバース25とは?
アメリカのJohn B Calhoun MDという方が行った実験で、ネズミを通して生命の社会性について研究されていたそうです。ざっくり言えばネズミを理想的な(巣箱や餌が十分にある)環境でどのように繁栄していくのかを記録した実験です。規模や条件を変え何度も実験をしたようで、今回取り上げるユニバース25はそのうちの25回目の実験とのことです。
外敵も何もない条件なら、場所と餌の許す限り繁殖し続けるのか?いざ試すとそうはならず、最終的に全滅してしまったそうです。ネズミたちは如何にして全滅するに至ったか、一緒に見ていきましょう。
1.第二の死
話はヨハネの黙示録より始まります…あ、まってブラウザバックしないで。実際に論文がここから始まっているんです。。。
要約すると、生命には第一の死(肉体の死)と第二の死(精神の死)が存在し、第二の死こそが現代医学(公開当時1973年)の主題であると切り出しています。
そして黙示録によれば、第一の死は次の四つの要因に分かれるそうです。
剣(争いで、野生で言えば生存競争に敗れ移住すること)
飢餓(食料に限らず資源不足に陥ること)
疫病(病や寄生虫に倒れること)
野獣(捕食者により狩られること)
特に飢餓は色々な意味を含み、資源は飲食、住居、群れの仲間、自然災害、快適な環境(温度、湿度、天気、等)もあたるそうです。
これらが個体数が減少する要因で、これを上回る繁殖をすることが種として生存するということ、と定義しています。
なお、自然界では老衰で亡くなるまで生きることは稀のため、老化は死因から除いているそうです。
2.ユニバース25ー理想環境の設計
そこでこれらの要因を取り除くため、以下のような工夫でネズミの死因を減少させた環境を製作したそうです。
閉鎖空間による移住の防止
資源(巣、飲食、他)の過剰供給
エアコンによる気候の安定
清掃等による疫病の予防
捕食者の排除
これらの工夫により、理論上3,840匹まで生存可能な環境を作り上げたそうです。
3.爆発的な人口増加
1968年7月9日に4番(8匹)を環境に放ち様子を観察する実験を開始したところ、108日目に初めて出産を行ったそうです。以降は55日ごとに倍増し、そのペースで約620匹まで増え続けたそうです。
ここで興味深いことが書いてあり、いくつかのチームに分かれた全体が等しく繁殖したのでなく、特定の巣箱のグループに偏っていたそうです!
各チームに縄張りを守るリーダーがいて、リーダーの支配力が強いほど出産数が多かったそうです。この最も望ましいチームには中に細かな14のチームがあったらしく、それぞれのチームでは母親からの良好なケアやチームの立ち上げにあたる経験があるとのことでした。
4.停滞と崩壊の始まり
ここまで55日で倍増するペースであったところから、315日目からは145日で倍になるペースまで鈍化したそうです。
まずは役割の飽和が起こったそうです。通常なら年長が死亡して役割が空いたり、別の場所に移動して自分でチームを立ち上げたりするそうです。が、今回の実験では移動先がない箱庭なので、社会的な役割を得ることができなかったそうです。
役割が得られなかったオス達(撤退オス)は非生産的な集団を形成して座り込んだそうです。撤退オスは縄張りを持つオスからは相手にされなくなったそうですが、撤退オス同士で(主に食事の前後で)傷つけ合い、それが連鎖する暴力の循環が発生したそうです。
オスと共に対応するメス達も撤退し、巣営に不便な位置の巣箱移動して、以下のような変化が生じたそうです。
・オス同様他者との関わりを避けるようになり
・授乳中はオス同様に攻撃的になり
・果てに自分の子供にも攻撃的になったそうです
・更には人間で言う流産や育児放棄などの行動も確認されたそうです。
5.滅亡への道
黙示録に示された4つの死を排した箱庭は、560日目約2,200日にして個体数の増加が突然停止し、その後600日までに個体数の減少が始まったそうです。
その後700日目には再起不能と判断されるまでに崩壊は進行して、1444日目には全体122匹、オスに限れば22匹にまで減少したそうです。最終的に約1580日経過した時点で最後の1匹が死亡し、実験は完了しました。
この崩壊期にて、一つの興味深い現象と、一つの興味深い別の実験が行われたそうです。
興味深い現象とは、美しき者たち。崩壊期の真っ只中で、非常に美しい毛並みのオス達が存在したそうです。彼らは一切の交尾行動も戦闘行為もせず、行動が食う飲む眠る毛繕いに終始し、社会的要素が皆無の存在だったそうです。このようなオスは、非繁殖的はメスと合わせて全体の半数を占めていたそうです。。。まじかよ
興味深い実験とは、崩壊からの脱出。崩壊期のマウスを取り出して、正常な環境下のマウスとペアリングしたそうです。その結果は、いずれのグループも社会性を築けなかったそうです。
6.人間社会への警告と結論
論文の最後は以下のように結ばれています。
肉体的な死(第二の死)が減少すると、役割に対して個体数が増え競合が生じ、やがて社会の死へとつながりました。
次いで精神的な死(第一の死)として、社会に馴染めず愛着が形成されず、過密な社会でコミュニケーションが断片化して社会行動(求愛、母性、攻撃性)が発達せず、その結果自閉症的な個体が出現する。彼らは生存のための行動こそ取れど、種の存続に必要な行動を失うと言う、第一の死を迎えたとのことです。
終盤にマウスができなくなった行動,求愛,母性,縄張り意識,社会組織や関係性の構築、個体単位の行動の崩壊が、衰退と社会の崩壊につながり集団はほろんだと結論づけていました。
社会においての役割の需要が過剰であれば肉体の死につながり、共有が余剰であれば精神的な死につながり、いずれにせよ不均衡の果ては種の崩壊につながるのかもしれません。
最後に
この実験からは無数の教訓や人間が築いてきた知恵や工夫の再発見を得ることができますが、記事が長くなりそうなのでこれらは来週まとめようと思います。
閲覧した論文のpdf(英語)のリンク置いておくので、興味がある方は是非元の論文を読んでみてください。ご覧いただきありがとうございました٩( 'ω' )و
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1644264/pdf/procrsmed00338-0007.pdf
