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SNSの同調圧力に疲れたあなたへ!命懸けで信念を貫いた男の熱いドラマ『ソクラテスの弁明』

プラトンの『ソクラテスの弁明』は、古代ギリシャの偉大な哲学者ソクラテスが、裁判にかけられた際に行ったスピーチをまとめた本です。

実際に裁判を見ていた彼の弟子、プラトンによって書かれました。

タイトルに弁明とありますが、これは謝る的な意味ではなくて、ギリシャ語の本来の意味は「自分の正しさを説明すること」です。

ソクラテスは最後まで自分の信念を曲げず、堂々と自分の生き方を主張しました。

この記事では、哲学の知識がなくてもわかるように、この名著のポイントをシンプルに解説します。


なぜ裁判にかけられたのか?

紀元前399年、70歳になったソクラテスは、アテネの市民たちから裁判にかけられてしまいます。

彼を訴えたのはメレトス、アニュトス、リュコンという3人の人物でした。表向きの罪状は次の2つ。

  1. 国家が信じる神々を信じていない(不敬罪)

  2. 若者たちに悪い影響を与え、堕落させた

しかし、裁判の本当の理由はもっと複雑な政治的・個人的な恨みでした。

当時、アテネは宿敵との戦争に負け、一時的に「三十人政権」と呼ばれる独裁政治が行われていました。

その後、民主主義が復活した際、国をまとめるために過去の罪を問わない恩赦というルールが作られました。

ソクラテスの弟子たちの中には、この独裁政治のリーダーになった者もいたため、市民からは「民主主義の敵を育てた危険人物」と見られていました。

しかし、恩赦のルールがあるため過去の政治的な理由で直接裁くことができず、「神への不敬」や「若者の堕落」という口実が使われたのです。

また、告発者の一人であるアニュトスには個人的な恨みもありました。

彼が自分の息子に家業を継がせようとしていたところ、ソクラテスが「そんな教育はよくない」と忠告したため、プライドを傷つけられて強く恨んでいたと言われています。

さらに、ソクラテスが頻繁に口にしていた「ダイモニオン」という存在も誤解を生みました。

ダイモニオンとは、彼が何か間違った行動をしそうになると「やめなさい」と心の奥からストップをかけてくる「内なる神の声」のようなものです。

みんなで同じ神様を祀るという当時のアテネの宗教観からすると、自分だけの神の声を個人的に聞いているようなソクラテスの態度は、伝統への反逆と受け取られてしまったのです。

3つの演説

この本は、実際の裁判の進行に合わせて大きく3つの演説(パート)に分かれています。

  • 第一の演説(弁明篇)

  告発に対する反論と、自分のこれまでの生き方についての説明。

ソクラテスは、自分が若者を悪くしているわけではなく、神から与えられた使命として、人々の魂を目覚めさせているのだと主張しました。

  • 第二の演説(量刑篇)

有罪の判決(有罪280票、無罪221票)が出た後、自分の刑罰についての提案。

アテネの裁判では被告人も自分の罰を提案できました。

なんと彼は「自分は国に貢献したのだから、罰どころか、オリンピックの優勝者のように神殿での無料の食事(最高の栄誉)を与えられるべきだ」と主張しました。

これが裁判官たちの逆鱗に触れ、死刑が確定してしまいます。

  • 第三の演説(別れの言葉篇)

死刑宣告を受け入れた後、裁判官や友人たちに向けた最後のメッセージ。

彼はパニックになることもなく、静かに魂の不滅や死について語りました。

絶対に知っておきたい3つの名言と哲学

1. 無知の知

これが一番有名ですよね。

ソクラテスは色々な人と対話をする中で、世間の人は何も知らないのに、知っていると思い込んでいる。自分は、何も知らない(無知である)ということを自覚している分だけ、彼らよりも賢い、という真実に気づきました。

知ったかぶりをせず、自分の限界を知り、謙虚に学び続ける姿勢こそが本当の知恵だと考えたのです。

2. 魂の世話をして善く生きる

ソクラテスは、ただ長く生きることや、お金・名誉を集めることには価値がない。正しい行いをして『善く生きる』ことこそが大切だ、と語りました。

彼は「吟味されざる人生は、生きるに値しない」という有名な言葉を残しています。

周りに流されるのではなく、常に「自分の行動は本当に正しいか?」と問い続け、自分の心を磨く(魂の世話をする)ことが、人間の本来の生き方だと説いたのです。

3. 死を恐れてはならない

最終的に死刑を宣告されても、ソクラテスはパニックになったり命乞いをしたりしませんでした。

彼は「死は、夢も見ないほどの安らかな永遠の眠りか、あの世で過去の偉人たちと対話できる旅立ちのどちらかだ」と考えました。

死を最大の恐怖と決めつけること自体が、知らないことを知っていると思い込む(無知の知の反対)ことであり、真理に従って生き切った彼にとって、死は決して恐ろしいものではなかったのです。

現代の私たちにとっての意義

2400年以上前の裁判の記録が、なぜ今でも読み継がれているのか?

そして、なんで今、私が紹介して読んでほしいと思ったか?

いまってスマホを開けばすぐに答えが見つかる情報過多の時代。

情報だけを集めて「知っているつもり」になりがちな今の自分たちにとって、ソクラテスの無知の知って痛いところを突いてると思うんです。

SNSだって、結局、多数派の意見や世間のルールに同調することが求められる社会を形成してると思うんです。2400年前と同じことしてる。

死の恐怖に直面しても自分の信念と倫理観を貫いたソクラテスの姿って、そう簡単にできることじゃないですよ。

この本って、自分の頭で考え、本当に正しいと思う行動をとる勇気の大切さを教えてくれるんです。

一人の人間が、自分の命よりも大切にしたい生き方の美学を貫いた、熱いドラマをぜひ読んでみてほしい。


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