なぜいつも人間関係でつまずくの?ドイツで300万部の大ヒット『本当の自分がわかる心理学』が教える「心の中の3人」の秘密
大人になってからの性格や人間関係には、子どもの頃の経験が大きく影響しています。
ドイツで有名な心理療法士のシュテファニー・シュタールという人は、「インナーチャイルド」という言葉で、それを表現しました。
直訳すると内なる子ども。
彼女がいう内なる子どもとは、子どもの頃(特に生後6年間)の親との関係や環境を通じて作られた、自分や世界に対する思い込みのカタマリのことです。
いまから紹介する、彼女が書いた『本当の自分がわかる心理学』という本は、その心理学の理論を、誰でも分かるようにかいたすごい本。
この本は、ドイツの有名な雑誌『シュピーゲル』の年間ベストセラーリストで、2016年から8年連続で第1位を獲得するという記録を打ち立てました。
ドイツ国内だけで300万部以上売れ、世界40カ国以上で翻訳されています。
ということで、この記事ではこの本を徹底紹介して、ぜひ皆さんに読んでもらいたいな、と思います。
ちょっと作者について解説!
シュテファニー・シュタールは30年以上にわたり心理療法士として働き、さらに家庭裁判所で心理鑑定人としても活動してきました。
離婚や親権争いなど、人間関係が最もこじれた修羅場を見てきた彼女は、「自分に価値がないと感じる不安」が、いかに大人の怒りや逃避、支配欲を引き起こすかを目の当たりにしてきました。
ちなみに、この本のドイツ語の原題は「あなたの中の子どもは、故郷(Heimat)を見つけなければならない」という意味です。
ここでの故郷とは、物理的な家ではなく、心から安心できる居場所のことです。
他人に認めてもらうことで安心を得るのではなく、自分の心の中に「安全な居場所」を作るという深いメッセージが込められています 。
「内なる子ども」とは何か?
「インナーチャイルド」という言葉は、時にスピリチュアルなものと誤解されがちですが、シュタールのアプローチはとても論理的。
彼女が言う「内なる子ども」とは、子どもの頃(特に生後6年間)の親との関係や環境を通じて作られた、自分や世界に対する思い込みのカタマリのことです。
過去に戻って、当時の経験や感情を客観的に見つめ直すことで、今の自分の行動を縛っている「見えない鎖」を解き放つのが、この本の目的です。
心の中にいる「3人の自分」
この本では、心のなかには3人の自分がいるんだよ、という解説をしています。
影子(シャドウ・チャイルド)
影子(かげこ)とは、子どもの頃のネガティブな経験や心の傷を象徴しています。
単なる嫌な記憶ではなく「私は愛されない」「私には能力がない」「どうせ見捨てられる」といった、心の奥深くにある「ネガティブな思い込み」のことです。
脳の仕組みから見ても、影子は恐怖や不安を感じる部分(扁桃体)と強く結びついています。
例えば、大人になってから誰かに少し批判されたり、メールの返事が遅かったりしただけで、影子は「昔のように見捨てられる!」と勘違いし、過剰に怒ったり悲しんだりしてしまいます。
人間関係のトラブルのほとんどは、目の前の出来事に対する大人の反応ではなく、過去の痛みを刺激された「影子」が暴走しているだけなのです。
日向子(サン・チャイルド)
影子の反対にいるのが「日向子(ひなたこ)」です。
子どもの頃の幸せな記憶や「私はそのままで素晴らしい」「世界は安全で楽しい場所だ」というポジティブな思い込みを象徴しています。
好奇心、遊び心、ユーモアにあふれ、私たちが持つ本来の魅力や強みの源です。
しかし、悩みを抱えている人の多くは、影子の不安に押し潰されて、日向子が表に出てこれなくなっています。
心を癒すためには、意識的にこの日向子を呼び覚ますことが大切。
大人の自分
大人の自分とは、論理的に考え、状況を客観的に分析できる大人の理性のことです。
無意識に暴走しがちな影子をなだめ、日向子を引き出す役割を持っています。
シュタールは、内なる子どもを癒すのは、傷ついた子ども自身ではなく、『大人の自分』が保護者として全責任を持たなければならない、と書いてます。
影子がパニックになったとき、大人の自分が「これは昔の痛みが反応しているだけだよ」と冷静に声をかけてあげることで、心は落ち着きを取り戻します。
子どもの頃に満たされなかった4つの欲求
そもそも、なぜ影子は「私はダメだ」といった思い込みを持ってしまうのでしょうか。
それは、子どもの頃に以下の「4つの心の欲求」が十分に満たされなかったから。
結びつきの欲求(愛情)
人とつながり、安心したい
満たされないと孤独だと思う
自律とコントロールの欲求(自由)
自分で決めたい
過干渉に育てられると「自分には力がない」と思う
快楽の追求と不快の回避の欲求(楽しさ)
楽しみたい
苦痛を避けたい
自己価値の向上と承認の欲求(認められること)
認められたい
条件付きでしか褒められないと「頑張らないと価値がない」と思う
子どもの頃は、これらの欲求が満たされない厳しい環境を生き抜くために、自分なりのルール(思い込み)を作るしかありませんでした。
しかし、大人になってからもその「子どもの頃のルール」を全人類に当てはめて生きようとするため、生きづらくなってしまうのです。
保護戦略とは?
「私は愛されない」という影子の思い込みを直接見つめるのはとても辛いため、私たちは無意識のうちに自分を守るための戦略(保護戦略)を身につけます。
以下は、多くの人がやってしまいがちな行動パターン。
完璧主義
「私はダメだ」という劣等感を隠すために、批判されないよう完璧を目指し続ける
権力志向・コントロールフリーク
無力感や不安を感じないために、他人や状況を自分の思い通りに支配しようとする
攻撃と反撃
自分の弱さを指摘されそうになると、傷つく前に相手を激しく非難して自分を守る
調和志向・救済者症候群(いい人を演じる)
嫌われるのを恐れて自分の意見を言わなかったり、他人の世話を焼きすぎて相手を自分に依存させようとしたりする
逃走・引きこもり
傷つくリスクを避けるために、最初から人と深く関わるのを避ける
依存症
アルコール、ギャンブル、仕事、SNSなどに逃げ込み、影子の苦痛を一時的に麻痺させる
「あの人はなぜあんなに怒るのか」
「なぜ自分はいつも逃げてしまうのか」
それは性格が悪いからではなく、心の中の傷ついた影子が不器用な方法で必死に自分を守ろうとしているだけなのです。
影子を受け入れる
だいたいの本は「これが現実だよ、あとは自分で頑張ってねー」で終わるんですが、この本はその解決方法まで書かれてます。だから世界中で売れた。
影子を紙に描いてみる
まずは、紙に悲しそうな子どもの絵を描き、そこに自分が持っている「ネガティブな思い込み」や「よくやってしまう保護戦略(完璧主義など)」を書き出します。
ネガティブな感情が湧いたとき「私が怒っている」と自分と感情を一体化させるのではなく、「私の中の『影子』が怖がっているんだな」と切り離して考える(客観視する)ことが大切です。
日向子を育てる宝物戦略
影子の傷を受け入れたら、次はポジティブな日向子を育て、より良く生きるための宝物戦略を作ります 。
新しい思い込みを作る
影子とは逆に、元気な子どもの絵を描き、そこに自分の強みや新しいポジティブな思い込みを書き込みます。
シュタールは、「影子を完全に消し去ることはできない」と言っています。
しかし、大人の自分が日向子の力を借りながら、怯える影子を優しくなだめる習慣をつければ、影子は次第に落ち着き、暴走しなくなります。
本当の自分を見つけて、人生を変える
この本、いままで読んだ本のなかでもトップクラスに人生を変えてくれた本です。
何回も書きますが、私たちの心には、怖がって怯える「影子」と、輝くような生命力を持つ「日向子」がいます。
そして、それらを観察し、新しい道を選ぶ力を持つ「大人の自分」が私たちには備わっています。
すべての人間関係の悩みの原因が「内なる子ども」の暴走にあるのなら、解決の鍵は「他人を変えること」ではなく、「自分の心の中に安全な居場所を作ること」です。
長年、人間関係の悩みや自信のなさに苦しんできた人にとって、これほど分かりやすく、実践的な本は他にありません。
心を癒し、人生を少しでも楽に生きたいと願うすべての人におすすめしたい一冊です。
絶対読んでほしい。
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これからも毎日、本を紹介したいのですが、このnote、ずっと赤字状態です。もし本好きの方がいらしたら、チップを送っていただけると嬉しいです。