【100年前の予言】これ、今のSNSじゃん…名著『大衆の反逆』が暴く“甘やかされたお坊ちゃん”の正体
スペインの哲学者ホセ・オルテガが『大衆の反逆』という本を書いたのは、今から約100年前の1930年です。
当時は産業革命を経て、科学や技術が進歩し、人々の生活がとても豊かになり始めた時代でした。
しかし、オルテガは大きな疑問を抱きます。
生活が豊かになり、自由な社会になったはずなのに、なぜ世界中で独裁者(ファシズムなど)が人気を集め、社会が野蛮になっているのだろうか?
彼はその原因を、社会の仕組みではなく、豊かな生活に慣れきってしまった「人々の心のあり方」に見出しました。
豊かさが当たり前になると、人はそれを先人たちの努力のおかげではなく、空気や水みたいに、生まれつき自分に与えられた当然の権利と勘違いしてしまうんです。
今日この本を百年後に紹介しようと思った理由は、むしろ今のほうがそうなんじゃね?!と思ったから。
詳しく紹介します。
大衆と貴族
オルテガの本を読む上で一番大切なのは「大衆」と「貴族」という言葉の意味です。
これは、お金持ちかどうかとか、身分が高いかどうかという階級の話ではありません。
心の持ちようや生き方のこと。
大衆=甘やかされたお坊ちゃん
オルテガの言う大衆とは、みんなと同じであることに安心し、自分で考えることをやめてしまった人たちのこと。
彼らは自分の行動に責任を持たず、みんなの意見(世間や群れ)に隠れて生きています。
オルテガは彼らを慢心しきった(甘やかされた)お坊ちゃんと呼びました。
権利ばかり主張する
今の平和や便利なインフラが、昔の人の大変な努力で作られたことを忘れ、自分はそれを使って当然だと思い込んでしまう人たち。
違う人を排除する
自分と同じ意見の人たちとだけ群れるため、自分たちと違う考えを持つ人を激しく嫌い、排除しようとします。
貴族=自分に厳しく、いつも悩む人
一方貴族とは、誰に強制されたわけでもないのに、社会を良くするために、あえて自分に厳しい義務やルールを課す人のこと。
「自分は間違っているかもしれない」と常に自分を疑い、複雑な問題に対してすぐに答えを出さず、ためらい、悩むことができます。
この「悩む力」こそが、他人との対話を生み、社会をまともに機能させる土台になります。
大衆の反逆が起きるとどうなる?
社会の主導権を、少数派の貴族ではなく、多数派の大衆が握ってしまうことを、オルテガは「大衆の反逆」と呼びました。これがタイトルの意味ね。
これが行き過ぎると、社会は崩壊に向かいます。
1. 専門家が追い出され、ノリで物事が決まる
大衆は、難しい話や複雑な問題を嫌います。
そのため、きちんと勉強してきた専門家の意見よりも、SNSや飲み屋での「わかりやすい極論」を正しいと信じ込み、それを社会全体に押し付けようとします。
その結果、社会から知性が失われ、わがままでルールを守らない野蛮な状態に戻ってしまいます。
2. 民主主義の暴走
大衆は「自分たちは多数派なんだから、何をしてもいい!」と勘違いしてしまう。
本来、民主主義には多数決でも少数派の権利は奪ってはいけないというルール(立憲主義)がありますが、大衆は数の力に任せてそのルールを壊してしまいます。
これは民主主義の皮をかぶった独裁。
本当のリベラル、本当の保守とは?
では、こうした暴走を食い止めるにはどうすればいいのか。
オルテガは2つの大切な考え方を提示しています。
敵と一緒に生きる決意
オルテガが考える本当のリベラル(自由主義)とは、何でも自由にできることではない。
自分と違う意見を持つ人(敵)の存在を認め、一緒に社会を運営していくという、とても我慢が必要な気高い態度のことです。
自分と違う意見の人をネットで寄ってたかって叩くような態度は、リベラルではなく大衆の振る舞いそのもの。
死者の声を聞く
今の社会のルールや平和は、何世代にもわたる昔の人たち(死者)が、失敗や犠牲を繰り返しながら作ってくれたものです。
今生きている自分たちの欲望や、今の多数決だけで、社会のルールをむやみに壊してはいけません。
昔の人たちの知恵に耳を傾けながら、少しずつ社会を良くしていこうとする態度こそが、本当の意味での保守なのです。
なぜ今、この本が読まれているのか?
1930年に書かれたこの本が、今の時代にぴったり当てはまると言われる理由は、SNSとポピュリズムにあります。
SNSは大衆の楽園
ここまで読んで分かったと思いますが、今のSNSは、自分と似た意見ばかりが表示される仕組みになっています。
これは大衆が「自分は間違っていない」と安心するのに最高の環境です。
匿名で安全な場所から、少しでも違う意見の人を数の暴力で叩き潰すキャンセル・カルチャーは、大衆の反逆の最悪の形。
わかりやすい極論を言う政治家の台頭
世界中で、耳の痛い現実を語る政治家よりも、大衆の不満を煽り「あいつらが悪い!」とわかりやすい敵を作る政治家(ポピュリスト)が人気を集めています。
お坊ちゃんを卒業するために
今平和に暮らせているのは、私たちが偉いからではなく、昔の人のおかげだという当たり前のことを忘れると、社会は崩壊するんでしょうね。
だから、いままさに崩壊し始めている。
民主主義や自由は、放っておけば勝手に続くものではありません。
一人ひとりが、自分の心の中にいる「甘やかされたお坊ちゃん」に気づき、簡単にわかりやすい答えに飛びつかず悩む力を持つこと。
そして、自分と違う考えの人とも我慢強く共生していくこと。
百年前に解決して本になってるのに、誰も読まなくて全く同じこと繰り返してるって、人間はなんて愚かな生き物なんでしょうね。
少なくともここまで読んでくれた人はこれ以上愚かになってほしくないので、是非読んでみてほしい。
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