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台湾海峡がピリつく今こそ必読…国家の暴走を防ぐためのヒント『台湾海峡一九四九』

アジアの現代の歴史で、1949年って重要な意味を持つ年です。

第二次世界大戦後、中国大陸で再び起こった国共内戦(国民党と共産党の戦い)により、敗北した国民党政府の軍隊と民間人が大挙して台湾へと逃れました。

その数は約200万人に上ると言われています。

この巨大な人口移動は、50年にわたり日本の統治下にあった台湾の人々(本省人)と、新たに大陸からやってきた人々(外省人)との間に、複雑な摩擦と交わりの歴史を生み出すことになりました。

この歴史の大激動を、政治家や軍の司令官といった権力者の視点からではなくて、いたって普通の人々の目線から描き出したのが、台湾を代表する作家・龍應台(りゅう・おうたい)のノンフィクション『台湾海峡一九四九』です。

著者は長い年月をかけて世界中を歩き回り、歴史の表舞台からは消え去っていた生存者たちの生々しい声をインタビューして、本にしました。

ぜひ、読んでみてほしいので、今日はこの本を紹介!


著者・龍應台について解説!

著者の龍應台は、1952年に台湾南部で生まれました。

彼女の両親もまた、1949年の過酷な戦火を逃れて中国大陸から台湾へ渡ってきた「外省人」でした。

アメリカで博士号を取得したあと、1980年代に台湾の社会や政治を批判するエッセイを出版して大ベストセラー作家となり、台湾の民主化に大きな影響を与えました。

その後は、台湾の初代文化部長(文化大臣)を務めるなど、言論と文化行政の両面で活躍しています。

彼女がこの本を執筆したきっかけですが、ドイツ人との間に生まれた息子フィリップとの会話の中からだそう。

当時19歳になり、兵役の年齢に差し掛かっていた息子に対し、彼女は「軍隊に入るということは、国家という巨大な機械の中に入ることであり、いつの間にか戦争というマシーンに巻き込まれる危険がある」と伝えようとしました。

息子に戦争の真の恐ろしさと個人の無力さを教えるために、彼女はこれまで直視してこなかった自身の家族と、東アジアの人々の過酷な歴史に向き合うことを決意したんです。

歴史の闇に埋もれた悲劇の実態

この本、一番読んでびっくりしたのは、国家が主導する公式の歴史では語られることのない、凄惨なエピソードが次々と書かれているとこ。

大本営発表なんて、当てにならないよね。

その代表的なものが、中国東北部の長春で起きた長春包囲戦です。

共産党軍は国民党軍を降伏させるため、長春の街を完全に封鎖する兵糧攻めを行いました。

その結果、街に閉じ込められた何十万人もの一般市民が餓死するという大惨事が起きましたが、公式な歴史では無血開城(平和的な解放)として扱われ、膨大な犠牲者の存在はまるで蒸発してしまったかのように語り継がれてきませんでした。

また、当時の軍隊による兵士の集め方も常軌を逸していました。

兵力不足を補うため、農村の少年たちが無理やり誘拐されるように軍隊に連行されるのは日常茶飯事でした。

さらに残酷なのは、戦闘で捕虜になった兵士が、その場で帽子をすげ替えられ、昨日まで味方だった軍隊に向かって最前線で銃を撃つよう強要されるというもの。地獄そのもの。

貧しさから抜け出すために従軍した少年たちが、敵味方が入れ替わる極限状況下で単なる弾除けとして消費されていった悲劇が描かれています。

加えて、日本統治下で育ち日本兵として南方戦線などに送られた台湾の若者たちが、戦後は戦勝国である中国軍から見下され苦しめられた姿や、逃避行の途中の駅のホームで、生き延びるために家族があえて別の列車に乗り、そのまま一生離れ離れになってしまった…みたいなことも書かれています。

無数の白骨と平和…

戦争において、真に『勝利』する側など存在するのだろうか、というのが彼が伝えたいことだと思った。

戦争によって積み上がった死体は、時間が経てばすべて名もなき白骨へと変わります。

野ざらしになった白骨にとっては、生前にどの国に忠誠を誓っていたか、正義か不正義か、勝者か敗者かという区別は一切無意味になります。

社会への影響

台湾海峡一九四九の出版ですが、もちろん東アジアに良くも悪くもすごい波紋が起こった。

台湾や香港では、長年語ることがタブー視されてきた悲哀に光を当てたことで、40万部を超える歴史的な大ベストセラーとなりました。

日本でもかなり売れたんじゃないかな?

一方で、中国大陸においては、共産党政権にとって不都合な事実が含まれているため発売禁止処分となりましたが、水面下では海賊版が広く出回り、多くの人々に読まれ続けています。

出版から十数年経過してるいま、なぜいま紹介したのかというと、台湾海峡でまたピリピリしるので、いま読んだ方がいいのでは?と思ったから。

ちなみに著者ですが、つい最近、東京大学で講演をしました。

そこで「戦争は決して我々のそばを離れたことがない」と言ってました。

すごく深い言葉だな...と思ったんです。

これって真の意味は、どんなに時間が経っても、台湾と中国はずっと日本の隣にあるってことなんじゃないですかね。来年中国がアメリカの隣に移動することは絶対ないもんね。

台湾海峡一九四九は、国家というマシーンが再び戦争に向けて動き出そうとする時、どうやって平和を守ればいいか、のヒントが隠れていると思う。

ぜひ、ぜひ、読んでみてほしい。

【単行本】

【文庫本】

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