自分の舌を信じる――透明人間のようなワイン
礒田保|炎駒聳孤
メルシャン「ボン・ルージュ まろやか&濃厚」。
高ポリフェノールという言葉に惹かれ、
何気なく手に取った一本である。
私はワインに詳しくない。
品種も、
産地も、
熟成年数も分からない。
だから、
専門的な評価などできない。
ただ、
私の舌が感じたままを書いてみようと思う。
口に含んで最初に思ったのは、
ブドウジュースのような飲みやすさ。
程よい苦味は感じる。
だが、
酸味は少し物足りない。
熟成を重ねた重厚な味というより、
若さを残した素直な味わい。
ワインというより、
渋みを纏った、
アルコール分のあるブドウジュース。
そんな印象を受けた。
試しに肉料理と合わせてみる。
悪くない。
料理を邪魔せず、
かといって、
存在感が消えるわけでもない。
互いを引き立て合いながら、
自然と食卓へ溶け込んでいく。
私は思う。
このワインは、
透明人間のようだ。
前へ出過ぎない。
それでいて、
気づけば隣にいる。
どんな料理にも寄り添い、
静かに馴染んでいく。
派手さはない。
だが、
それが妙に心地よい。
私はワインの知識がない。
だからこそ、
値段や銘柄では判断したくない。
安くても美味しいものは美味しい。
高くても、
自分の舌に響かなければ、
それは私にとって特別な一本にはならない。
最後にワインを味わうのは、
評論家ではない。
私自身の舌であり、
私自身の感性である。
私はこのワインが好きだ。
それだけで、
私にとっては十分価値のある一本なのである。
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