天売島・焼尻島①(北海道羽幌町)
旅行記を書こうと思った経緯
私は2023年3月に沖縄のある島に行ってから、少しずつ人のいる島を訪れ、その島の魅力に惹かれていった。しかし、このようにブログという形で残そうと思ったのは初めてである。なぜなら、自分の島での体験をあんまり共有したいという気持ちはなく(むしろ自分の心にそっと秘めたい)、訪れた島を有名にしたいという気持ちはなかった(むしろ人が少ないのもいい(でも島が存続していくためには人が訪れないと…という葛藤も))。
しかし、この4月から社会人として働き始め、夏になって自分の業務をが増えて多忙になることで、時間の流れが以前よりも一段階速くなったことを体感してしまった。もちろん旅行先でたくさん写真はとるが、写真に撮るまでもない些細なことや地元の人との会話の記憶はどうしても薄れてしまう。そういった細かな思い出も含めて離島の旅行の思い出だし、魅力だと強く思うので、こうして書き起こすことにした。ものを書くことなんてほとんどしてこなかったし、読書もあんまりしないし、変な風に読者に伝わるかもしれないし、逆に自分の中の記憶が薄れていく中で自分が書いた記事を読む事で旅行の記憶が改竄されていくかもしれない。それでも離島での思い出の数々が薄れていくのを黙って見ているのではなく、こうして抗うことには一定の意味があると思う。
ブログというものに、ちょっと文字を書き起こすだけでこんなにつらつらと理由を書かないと始められない面倒な性格になった自分が憎い。つまらなくてしょうもない自分語りなんかではなく、楽しい旅行の話をしよう。
こんなことを書きつつ、先に忠告なのだが、天売島・焼尻島とタイトルで銘打っておきながら今回のブログにはこの2つの島を訪れた日のことは書かない。そこに訪れるまでの経緯を書いていたら想像以上に筆がのってしまい(うまいかどうかはともかく)、文章が長くなってしまった。なので、次回以降のブログに2つの島の訪問のことについては記したい。
1日目 羽幌町へ
このブログに辿り着いた人がどういう方なのか自分にはまだ想像できない以上、焼尻島・天売島についてまず簡単な紹介が必要だろう。

天売島、焼尻島は北海道北西部の日本海に浮かぶ島だ。これ以上の紹介は都度していくが、とりあえず上記画像をご覧になればお分かりになると思うが何せ関東住みの私からすれば大変遠くて、アクセスの良くない場所である。旅行の1日目は、天売島、焼尻島への船が出ている港のある羽幌町を目指す。
飛行機で旭川空港へ
前日まで仕事でしかも忙しいということが分かっていたので、成田国際空港から旭川空港へ行く便をお昼過ぎでとっていた。実際前日は2時間ほど残業して疲れていた私にとって優雅に朝起きられてとても気持ちの余裕を持てた。自分の家から成田国際空港までもまあまあな距離があり(ほとんどの人にとってそうだと思うが)、長い時間電車に乗る必要がある。とても天気に恵まれ、人の少なく静かな電車の中、田んぼと沼と森がひたすら続く車窓を見ながら癒されながら成田国際空港に着いた。

電車の車内からは想像できないほど成田は混雑していて、賑わっていた。チェックインと保安検査場を通過し、搭乗ゲート前についたら、たくさんの人が座って待機しており、平日の昼間にこんなにも旭川に向かう人がいるのかと驚いた。へ〜と感心しているのも束の間、飛行機の出発が遅くなるとのアナウンスが。ゆっくり旅行するのが好きではあるので旅行中基本時間にはルーズなつもりなのだが、旭川の市街地から羽幌町に向かうバスは1日1本しかなく、それに遅れる可能性が出てきてしまったのだ。いきなり旅程破綻の危機に…
昼間に乗れる&旭川の周りは自然がたくさんで景色が綺麗そう、ということで普段はほとんどしないが座席指定に課金して、窓側の席を確保していた。今日中に羽幌町に辿り着けない、という恐怖に襲われながらも空の上で優雅に昼寝をキメて、降下中には下の写真のような畑と森がモザイク状に広がっている日本とは思えないような景色を楽しんだ(iPhone SE 第2世代の画質で恐縮ですが…)。

無事旭川空港に着陸し、真っ先に旭川駅行きのバスに乗り込んだ。このバスに定刻に乗って、定刻に出発すれば余裕で間に合う計算ではあったのだが、このバス飛行機と接続して運行していたため、空港にはすでにつけていたものの定刻よりだいぶ遅い出発になった。とはいうもののバスの運転手さんのドライブスキルもあってか出発時刻にしてはかなり早く旭川駅に到着。(今回は旭川を観光するわけではないが)私は旭川に来たのはこれが初めてで、旭川駅の大きさと綺麗さには圧倒されてしまった。

この巨大な建造物を隅々まで探検したくなったが、ここから羽幌町へ行くバスは予約制ではなく先着順での乗車だったため、乗れない可能性がまだ残っているのが嫌で、写真だけとって渋々バス停へ向かうことに。
いざ羽幌町へ
しかしこの駅にしてこのバスターミナルありというか、たくさんのバスターミナルがあってどれが羽幌町に行くものが全く分からず、迷子になった。バスの総合窓口のような場所があったので、そこの受付のお姉さんに教えてもらったバス停の場所は、ここに来た時に降りたバス停のすぐそばだった。
ただ自分が気づかないのも無理はなく、バス発車時刻10分前なのに誰も並んでいなかったのだ。一応高速乗合バスで、1日1本しかない路線なので、結構利用者がいるのかと思っていた。自分がそこに立って待っているとおじさんとおばあさんが2人(それぞれお一人様)並んだ。しばらくすると立派な大型バスが到着し、乗車ドアが開いた。元気のいい運転手の方から「どちらまで?」と尋ねられ、行き先のバス停を伝えた。乗客の方が寝過ごすことを防いでくれるのだろうか。結局誰も他に乗車せず、みんななんとなく前の方に着席し、後ろがガランと空いたバスが発車した。

用意されていたバス停で乗ってくる人もおらず、高速に乗る前のシートベルトの着用を呼びかけるアナウンスの後、田んぼと森の間を静かにひたすら日本海に近づいていく。流石に寂しくなってイヤホンを取り出して前日から鬼リピしている泉まくらのアルバム「アイデンティティー」を流して目を閉じた。
目が覚めたら留萌市内に入っていたようで、(先ほどまで通っていた道よりかは)都会の中にいた。留萌本線が部分廃止されてもう鉄道の通っていなくてもまだ駅と言い張るバス停「留萌駅前」で2人が降車して、バスに乗っているのはおばあさんと、運転手と、自分だけになった。
留萌市街を抜けるとバスは、いわゆる「日本海オロロンライン」という道路をひたすら走る。自分は乗車していたときには知らなかったが、ツーリストの中ではかなり有名な聖地らしい。それも納得できる。ひたすら地平線の見える海沿いを走っている道路なのだ。ちょうど日が沈む時間に北海道西岸のそこを走るバスは車窓に綺麗に夕陽を映し出した。

本当にひたすらずっと夕陽が差してくるので、眩しくてサングラスが欲しくなったほどである(カーテンを閉めろよ)。ところどころに小さな集落や街はあるものの、バスはすぐにそこを抜けてまた地平線の見える地帯に戻る。もはや永遠にこの時間が続くのかと思ったが、続いてほしくも思ったが、海から少し離れ、留萌ほどではないが栄えているロードサイドシティにバスは突入した。羽幌町である。
自分は羽幌本社ターミナルで下車した(おばあさんもそこだった)。そこでは小さな古びた待合室と時代を感じさせる観光ガイドマップに出迎えられた。

羽幌町での夜①
その待合室を堪能したい気持ち&さっさと宿にチェックインした方がいいよなという気持ちはあったが、それより少し歩いたら砂浜に出られるから夕陽をそこで見たいという気持ちの方が勝った。旭川にいるときは昼間で日差しが強くそこそこ暑かったが、羽幌町についたときには日がだいぶ暮れていて、この時期の本州とは明らかに違う涼しさを感じることができた。セミの鳴き声も聞こえず、むしろ鈴虫やこおろぎといった虫の鳴き声が響き渡っていた。海に近づくにつれ、磯の香りが強くなる中、スキー場とかでかかってそうな音楽(伝われ)が流れている場所に近づいていることが分かった。
どうやらその音楽は自分の向かっていた砂浜で流れているようだった。ただ、8月と言えど時間が時間だし人はいないだろうと思っていたら、人の気配はしないのにも関わらず、ビアガーデンにでもありそうなおしゃれな明かりが灯されている。実際砂浜に入っていくと砂浜自体には誰もいなかったものの、そこから少し引いた場所にキャンプできるスペースが用意されており、そこに何組かが夕食の準備をして、火を起こしていた。夕陽を砂浜で独り占めできると思っていたので、まあ夕陽なんてこの後島でいくらでも見られるもんね〜と強がりそそくさと退散した。

まじでザ・マダムという感じの宿のおばさんのもとでチェックインを済ませ、腹ごしらえをしに街に繰り出した。すでに日は暮れ、かなりあたりは暗くなっていた。田舎では早く店が閉まり、観光先で飯難民になる、ということはありがちなので、事前に探していたこの時間でも開いている町中華を訪れた。
羽幌町での夜②
その町中華の看板は光っているし、その店の窓と思しきところから光が漏れていたのでやってる〜と一安心。中から楽しげな声が聞こえてきて、少し怖気付いたが、ちゃんと飯が食いたい一心で店内に踏み込む。ごめんくださーいと言うと、私から一番近くに座っていたおばあさんが少しびっくりしたような顔をし、その奥にある厨房からどたどたと音がしたのち、店員さんが「すみません今日はもうやってないんですよ〜、真後ろにあるラーメン屋さんとかやってますんでそちらとかいかがですか?」と伝えてくれた。旅行前から少し楽しみにしていただけに落胆しつつ、そうですかすみませんありがとうございますーと別のお店を教えてくれたお礼を言いつつ店内を後にしようとした。店員さんから「おにいさーん!」と呼び止められ、「のこりもんでもよければ食べてく?時間もかかるけど」と提案してくださり、歩き回る体力もなかった私はありがたくお世話になることにした。
店の奥の方では大学生?くらいの人たち8人ぐらいのグループが焼肉(ジンギスカンもメニューにあったかな?)を楽しんでいる。その手前で日本酒を嗜んでいた人の良さそうなおばさんが「こっちに来なさい?笑」と、その隣のテーブルで料理を待っていた青年の前の席に座るよう促した。すみません相席でも大丈夫ですか?と一応青年に聞くと「全然大丈夫ですよ」と気さくに返してくれた。こっちに誘った気の良さそうなおばさんは店の出口に少し近いとこに座っていたおばあさんと楽しく会話していた。自分は気まずくなって青年の後ろあたりにあったテレビを見ることに集中していたが、青年から話しかけてくれた。
話しかけてくれた手前年下なら恥ずいなと思っていたが、自分の2つ上だった。2年ほど前にこちらに移住してきたらしい。それから毎週のようにこの食堂に通っているらしく、その度にメニューにはない色々な料理をたくさん出してくれて、おかげさまで1年で5kg太ったよ、と笑っていた。この日もおそらくはメニューにはない不思議なトッピングなそばを出され、それに加えてどんどん料理が出されていく。自分にも親子丼が出された。こういうとこで出される親子丼が一番美味いんよ結局。お腹が減っていたのであっという間に平らげてしまうと、隣にいた人の良さそうなおばさんが「若いね〜これも食べるかい?」と卵と小松菜と魚の炒め物の皿をどんと机に置いてくれた。さらには青年に出されていた塩辛をうまそう〜と眺めていたら店員さんが「あんたも食べるかい?ごはんもいるね」と塩辛に茶碗一杯モリモリのご飯を出してくださった。隣の人の良さそうなおばさんもこれきっかけでこちらのテーブルの会話に加わり、話はさらに盛り上がった。
ひと段落したところで席を立ち、お会計を店員さんにお願いすると、「800円でいいよ、800円ある?」と冗談混じりに聞いてきたけど、あまりの安さに驚いてうまい返しもできずそんな悪いですよと答え、いやいやそんないやいやみたいな無駄な応酬をしたものの負けて店員さんの言う通りの支払った。ぜひまた来てくれ、とみなさんもしかしたら社交辞令で言ってくださったのかもしれないが、こんなところまで1人で来ている異常旅行オタクは本気にしちゃうぞ?と心の中で脅しながら、今度こそちゃんと店を後にした。

一応忠告したが、今回のブログでは、島は訪れていないところで終わらざるを得ない。ブログは書くのはやぼだとかなんとか言っていたくせにもう5,000字を超えてしまったのだ。次回はちゃんと天売島を訪問したときのことを書くつもりだ。
次回↓
執筆中…
